おゆみ野文化祭で、映画「普通に生きる」を見て、プロデューサーの貞末麻哉子さんのお話を聞きました。
この映画は、重度心身障害の子をもつ親たちが力を合わせて日中の居場所を作り、さらにショートステイやケアホーム、グループホームを行政に働きかけ、地域の理解を図りながら進めるプロセスを追ったドキュメンタリー映画です。
この映画を見て、私は揺さぶられています。
ここまで真剣に何とかしよう・・・と向き合ったことはあっただろうか?甘い人生を送っているのではないか?と。
食卓を囲み、笑い、怒り、音楽を楽しみ、祭りに歓喜し、美しい光に感動し、人の話をじっと聞き、主張する。
そういった普通の生活を全介護の子どもたちも送っています。
全介護だからという理由でそういった生活が送れなくなるとしたら、そんな理不尽なことは無い。
このシンプルな思いに人生をかけている人たちの記録ですが、気負いも悲壮感もありません。
むしろ、見ている私たちを幸せにし勇気づけます。
プロデューサーの貞末さんは二つのことを仰いました。
・いろいろな普通がある中で、普通に生きるということを考えてほしい。この人たちは普通に生きられているだろうか?
・自立とはその人が自立するのではなく、周囲や社会が自立させることであり、そのためには誤解と偏見と無知を無くしていかなければならない。
この映画に登場する何組もの親子の関わりを見て、子どもたちの表情の豊かさ、喜怒哀楽の表現に心打たれます。
多くの人に関わることで重度障害の子どもたちの表情も豊かになり、彼らに関わることで周囲はその細かな感情に気づいていくという関わり合いの大切さが伝わってきます。
この子たちは、普通に生きているのだと。
親亡き後のために自立させなければならないという親の思いは、障害児をもつ親には特に強いかもしれません。
自立とは、一人で生きていけることではなく、頼れる場所や人を増やしていくということだということを、もう一度社会の共通認識として持ちたいと思いました。
「一人でがんばりなさい」とか、「人に迷惑をかけないように」というのは美徳でも何でもない単なる独りよがりではないかと感じていましたが、まさにその通りだと確信し、助けて!と言いあえる寛容な社会にしていきたいと、あらためて自分自身に言い聞かせています。