醸楽庵だより

芭蕉の紀行文・俳句、その他文学、社会問題についての評論

醸楽庵だより  382号  白井一道

2017-04-27 14:00:03 | 日記

 過去を知るにはまず時代区分

侘助 日本史の時代区分について考えてみたいんだけどね。
呑助 時代区分ですか。
侘助 過去のことを知るためにはまず過去の時代を区分することから始めなくちゃならないんだろう。
呑助 区分することは物を知る第一歩なんでしようね。
侘助 そういうことになるね。まず江戸時代とは、どのような時代だったのかを知るために長い日本の歴史の中で江戸時代とはどのような社会だったのかを他の時代と区分けしてみる。これが時代区分なのかな。
呑助 高校三年になって初めての日本史の授業が時代区分だったのを覚えていますよ。記憶に残っているのは、原始・古代・中世・近世・近代というものだったようにうっすらと覚えているな。
侘助 江戸時代はどこに出てくるの。
呑助 近世だったように思うな。近世って聞いた時、変な気がしたのが記憶にありますよ。
侘助 どうして変だなと感じたのかな。
呑助 高校二年の時の世界史の授業では、近世という時代区分はなかったからですよ。
侘助 そう、世界史というか、西洋史では近世という時代区分をしていないからかな。
呑助 どうして日本史には近世という時代があるですかね。
侘助 ヨーロッパには絶対主義時代というのがあるでしょ。江戸時代はその絶対主義王政に似ているから近世と言った学者がいたようなんだ。
呑助 じゃー、どうして西洋史では近世という時代がないんですか。
侘助 だから西洋史の場合もルネッサンス以降の西洋の社会を近世と表現する場合もあるんだ。
呑助 へぇー、歴史と言うのは解釈なんですか。
侘助 歴史とは現代の人が過去の社会を理解することなんだ。
呑助 歴史とは現代に生きる人の創造物なんですか。
侘助 まぁー、そうなんじゃないの。
呑助 それで過去を知ることは現代を知ることだということになるんですね。
侘助 尾藤正英という人の『江戸時代とはなにか』を読んだんだ。この人の時代区分は全然違うんだ。日本の歴史は大きく分けて二つに分けて考えることができると主張している。
呑助 どのような区分なんですか。
侘助 古代・中世はほぼ同じような社会だったと主張し、戦国時代を境にして近世・近代という時代の社会には共通した特徴があると言っているんだ。
呑助 へえー、江戸時代と明治時代には共通したものがあると主張しているんですか。
侘助 この尾藤氏の主張を読み、成程と納得する部分があったんだ。例えば、芭蕉が生きた時代はまさしく江戸時代、五代将軍綱吉の時代だった。今からおよそ三七〇年前に生まれ、五一歳で亡くなっている。今から三百年前の句、「古池や蛙飛び込む水の音」、「荒海や佐渡に横たふ天の川」が現代の中学生にもすっきりと分かる。これは現代文とも言っていいような句じゃないかと思うんだ。芭蕉の俳句は近代の俳句だとも言い得る文章だと思う。近代日本語は芭蕉に始まると言っても過言ではないと感じているからね。

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