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アンフェア the answer ネタバレなし編

2011-09-19 04:33:57 | 映画などのエンタメレビュー

近所の映画館は比較的混んでいるようだったので、4年前の『アンフェア the movie』と同様に、新宿バルト9で観る。(以下敬称略)

 

・・・いろいろ考えたが、この映画は「ネタバレなし編」を書くのが非常に難しい。しかし書く。書くのだ!!(ネタバレあり編はこちら。)

 

前回と比べて、各キャラクターができるだけその役柄に基づいて、必然的に行動し、かつその行動ができるだけ自然に見えるように演出を工夫した点が良かった。前回は40/100点としたが、今回は私としては75/100点。パンフレットに、加藤雅也の談話(笑)として、

「篠原涼子の色気がすごい!」

と書いてあったが、私は色気は感じなかった。むしろ前回の方が色気を出そうとしていたような感じ。セックスの後にそのアイラインで語りが入るってのはないでしょ、というツッコミをついしてしまうタイプなので、そういう点で興ざめであった。そこはナチュラルメイクぎみでメイクしないと・・・色気にはリアリティが必要なのだよ。というわけで、そういう部分がなくても75点はあげたい。

と書いててふと思う。今の化粧品はそういうものなのかと。違っていてほしい。頼む!違っていてくれ!!

 

まず、この前の記事から問題にしていた、警視庁の刑事がなぜ北海道警にいるのかについての説明は一切ナシ。おそらく、省庁間の人事交流ということで流しているのだろう。どんな事情があるかとワクワクしていただけに、その点は落胆。

 

次に、北海道出身者としては、モロ師岡さんの北海道弁がヘタクソだったため、北海道パートは興ざめだった。

「退屈だべさ」

「うちの署長じゃしかたねーべ」

など、語尾を口調として北海道弁にしただけ。しかもそこを強めに言う。オイ、スタッフに北海道歴が長い人はいなかったのか?方言指導のイロハのイ、

「方言は、口調ではなく、アクセントである!」

を完全に忘れている。師岡さんの口調は北海道人のアクセントではない。師岡さんは西紋別署のリアリティを高めるためには必須のバイプレイヤーであるだけに、ここは北海道人を大きく落胆させるだろう。検問に出てきた一巡査の方が、よほど北海道弁のイントネーションがうまく出ていた。もしや、現地の人を抜擢したのか?

 

次に、この映画は年齢制限がなかったが、序盤から精神的にきつい映像がちょこちょこ出てくる。いわゆる「残酷シーン」である。中学生以下は、保護者同伴で観るか、高校生以上になってから観ることを勧める。おそらく、このせいで、この映画は地上波放送はされないと思う。せいぜいCS止まりかな。

 

これとも関連するが、私が期待していた吹越満さんは、ほとんど演技の活躍の場を与えられなかった。『容疑者 室井慎次』で見せた憎らしさの一片でも、警察関係者役として見せてほしかっただけに、大変残念だ。

前回の「the movie」で、阿部サダヲまたは加藤ローサを期待して観た人ががっかりしたであろうのと同様に、今回の「the answer」では、吹越満に期待して観ると大変がっかりするであろう。そりゃ吹越さんはノリにノっていたであろうが・・・。

 

75点の源となったのは、阿部サダヲと香川照之のしっかりした演技。ぶっちゃけ「ここでそんな台詞吐くか?」というシーンは何度もあれど、「この映画ではこういう位置づけ」という監督のディレクションを最もよく理解し、演技として実践していたのが良かった。特に阿部サダヲはいい役者になってきたとしみじみ感じる。私は『マルモのおきて』は3秒くらいしか観ていないのでわからないが、そういう「企画モノ」も含めて、阿部は役者として、確実にステップアップしていると感じる。今後は、シリアスな役柄での阿部を、テレビではなく映画で観てみたい(阿部サダヲは、『踊る大捜査線』のテレビシリーズで、犯罪被害者の兄で織田裕二を刺す役として、ちょっとだけ出ていた。あれよりもっと「普通」な役を演じているのを観てみたい)。

香川照之は、もともと役柄に「入る」タイプの役者さんなので、連続ドラマの時から存在感をオーラとしてバリバリに出していたが、この映画では、その存在感を少し引っ込めた感じ。これが、役者慣れの結果なら残念だが、役作りとして意図的に行っていたのなら、これまた阿部サダヲ以上に、今後ももっともっと化ける期待が持てる。

 

二人について、これ以上語るとネタバレになるので、これ以上のことはネタバレ編で。ただ、元夫婦の絆、そこへの嫉妬という骨組みは、連続ドラマシリーズでの安藤(瑛太)の場合とはまた違った味が出ていて良かった。これがなければ、全体が非常に安っぽくなったであろう。

 

一方で、この映画から参入(笑)し、なおかつ重要キャラとして動く、佐藤浩市、大森南朋、山田孝之の3名は、こんな言い方で申し訳ないが、楽な役柄をおいしくいただいている感じ。ただし、これは配役や演出方針がそうであるため、役者としての評価ではない。しかし、この映画出演で、役者としての引き出しが増えたというわけではないのがこの3人である。これも詳しくはネタバレ編で。

 

 

加藤雅也はドラマや the movie の方が軽さがちょうど良かった。今回は重く演じすぎ。加藤の役者としての強みもそこだと思うので、今後に期待。

寺島進も本当に惜しい。「あと1ミリ軽めに」でベストポジションだったと思う。ってか1㍉ってどのくらいだよ。いやでも監督ならわかってくれると思う!!

 

そして「主役」の篠原涼子・・・あれから4年のブランクで、これだけ「the movie」と同じような立ち居振る舞いを再現している体力、精神力、演技力は大したものだとは思うが、これもあえて言わせていただくと、北海道に行った分だけ、確実に老いていていいと思う。この映画で、背中に影がある雪平夏見を観たかったが、あの予告編ではそれもないものねだりというものか。その一方で、織田裕二ばりの「目ヂカラ」が芽生えてきたのが率直に面白かった。あれ、できそうでなかなかできないんだよマジで!!

しかし雪平・・・拳銃うますぎだろマジで(by小久保捜査一課長)。

 

ネタバレなし編としては最後に、「世界の亀山ブランド」こと製作の亀山千広さんや広報さんやスタッフに言いたいのが、予告編でいい絵を見せたいがために、強引にストーリーを曲げたり作ったりするのはやめてほしいということ。こういうところを重く見れば、この映画を「クソ映画」と言う人が増えるだろう。これも詳しくはネタバレ編で。

 

ネタバレなし編としてギリギリ書けるのはこのくらいか。また思いついたら書き足す。

 

あ、エンドロール、中島美嘉の曲と同時にズバッと終わるのはカッコよかった。



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