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ただ学力格差を助長するだけ<センター試験、難易度別に2種類化検討

2010-10-28 01:05:09 | 教育関連

1980年代の「猫の目入試制度改革(改悪)」が終わったと思ったら、あの寺脇研による「ゆとり教育導入」が主要因となり、上位と下位の学力格差が一層ひどくなった。そのゆとり教育もようやく終わると思ったらこのニュースである。

 

センター入試、難易度別に2種類 16年導入を検討(朝日さん 10.10.25)

大学入試センター試験を難易度別に2種類にする検討を、独立行政法人「大学入試センター」が始める。新しい学習指導要領で学んだ高校3年生(現在の中1)が受験する2016年1月実施が目標になる。えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「全入時代」が迫り、受験生の学力の幅が広がったことなどから、1回1種類のセンター試験で学力をつかむのが難しくなったためだ。

現段階で想定されているのは、試験科目を主に国公立大(一部の私大も含む)の志願者向けのものと、私立大向けの基礎科目型に分ける2種類の試験。大学が二つのうちどちらかを選び、志願者が受験する仕組みが考えられる。両試験とも一定量は同じ問題を出し、それぞれの得点を換算できる仕組みにするという。

また、ペーパー試験を課さないAO・推薦入試の受験生を対象に、高校段階の学力を把握するテストを、センター試験とは別に導入するかどうかも検討するとみられる。

センター試験は今年1月、国公私800を超える大学・短大が利用し、約52万人が受験した。試験問題は平均60点水準で作られている。だが、成績分布のグラフが上位と下位の二つの山になっている科目もあるなど受験生の学力格差が広がる兆候が表れてきた。

背景にあるのは、少子化と大学の定員増だ。18歳人口が92年の205万人から120万人に減少。一方で、大学の定員は増え、AO・推薦入試は私大の入学定員の半分以上を占める。志願者数に対する入学者数の比率は90年の6割台から9割台に。「全入」も目の前に迫る。

受験生の質も変化。個を重視する教育のため、普通科高校の卒業単位に占める必修科目の比率が減り、共通の科目を学ぶ受験生が減った。

その結果、難関大学ではセンター試験での結果で差がつかなくなり入学者選びに役立ちにくい一方、学力が一定程度に達していない受験生には問題が難しいという指摘も出てきた。同一試験で全体の学力を把握するのが難しくなっていると指摘され、早めに手を打つ必要が出てきた。

センター試験については、今春の事業仕分けや、文部科学省による09年度業務実績評価でも、入試センターが入試改善を視野に入れた取り組みの中心的役割を果たすことが必要と指摘された。同時に今後の検討についても文科省は理解を示している。

同センターは11年度から始まる5年間の中期目標、中期計画に本格的な入試改善を進めることを盛り込む考えを固めている。入試改革を議論する理事長の私的な懇談会を11月中にも開き、議論を始める予定だ。(編集委員・山上浩二郎)



〈大学入試センター試験〉 例年1月に2日間の日程で実施されている。利用大学は増え続け、2011年1月は829大学・短大になる。国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の各科目から出題される。79年から国公立大が共同で利用した共通1次試験に代えて、私立大学も利用できるように90年に現在のセンター試験が始まった。参加する大学・短大が自由に教科・科目を指定できる「アラカルト方式」をとり、学部学科試験での利用方法は任されている。成績は、利用大学が志願者の試験結果をセンターに請求して、提供を受ける。 (引用ここまで)


>大学が二つのうちどちらかを選び、志願者が受験する仕組みが考えられる。両試験とも一定量は同じ問題を出し、それぞれの得点を換算できる仕組みにするという。

まだこれから検討だということだが、この点が最悪だね。

つまり、「両試験とも一定量は同じ問題」ということは、両方のセンター試験を受けることはできないということである。そうなると、難関系大学を受験する受験生は、偏差値的に中堅~下位の大学の滑り止めとして「難しいセンター試験」をせっかく受験しても利用できなくなる。なぜなら、「簡単センター試験」を選択した中堅~下位大学に合格するには、「簡単センター試験」を受けなければならないからだ。

一方で、「簡単センター試験」を受験することに決めた受験生にとっては、出願後に学力が大幅に伸びることがあっても、「簡単センター試験」を選択した中堅~下位大学の合格しか狙えない。現役生の秋~冬の変化をなめるな。春からの苦しい基礎トレーニングが冬に爆発する生徒も多い。


つまり、受験勉強において「最後までがんばって走り切る」という体験はますます得にくくなるわけだ。

現在はただでさえ、偏差値的に下位の生徒ほど、高校で中堅~下位大学の指定校推薦や各種推薦で約半数がほとんど勉強せずに大学合格を決めている状況
だというのに、センター試験まで難易別に分かれると、学力下位層はますます勉強しなくなる。

かくして、小さいときからふんだんに教育費をかけて先取り型カリキュラムで育てられた「ごく一部の高学力層」と、ゆとり教育と、公立教師大量定年退職のせいで、教務能力が格段に落ちた評判の悪い公立学校で、ほとんどニグレクト(neglect)状態で放置されてきた「約半数の低学力層」との乖離はますます広がるだけである。

こんな状況で、子どもの精神的成長にとって極めて大切な「成功体験の蓄積」などできるのか??

さらに、成功体験の蓄積がない「叩かれてもいないくせに伸びてるうどん」みたいな大学生が、将来の日本を担う人材としてどれだけ役に立つのか少しは想像してるのか役人は???



生徒の学力をできるだけ正確に測りたいという狙いであるならば、少なくとも難易両方のセンター試験を受験できるようにすべきだし、そのために日程もずらすべきである。


「両試験とも一定量は同じ問題」などという発想・・・いかにも現場が分かってない大バカが言いそうなことである。



ねえ、役人って、ホントにバカばっかりなの???寺脇研だけじゃなくて?ただの仕分け対策なら暴動起こすよ。



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2 コメント

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今は無き共通一次の世代です。 (ykimata)
2010-11-03 10:31:27
それにしても、役人の「悪しき平等主義」信仰には困ったものですね。


今となっては、単純に小泉・竹中マンセーな構造改革主義者でもないんですが、

個人的な意見ですが、試験は学力のサンプリングと考えてますので
こんなのはあくまでも統計的に実力が把握できればいいのではないかと。

そう考えると、限りなくTOEICに近い形式になれば良いのではと思ってます。

それでも試験が試験である限り、試験対策は存在してしまいますが・・・


釈迦に説法でスイマセン・・・
いえいえ (白河)
2010-11-03 23:45:06
いつもコメントありがとうございます。他の方からの言葉で、自分が気づかなかったことに気づかされることも多いですので、ご遠慮なく。

私は現場で見ていると、やはり子どもたちは試験がないと勉強はしないなぁという結論を持たざるを得ません。だからこそ、私大も多く参加しているセンター試験は、使い道が広いものであってほしいと思いこのような記事を書きました。


TOEICのお話しを、「年に数回受けられる」的なものとして受け止めて話をさせていただくと、そういうシステムになると、より高得点を求めて年中センター試験を受けまくる生徒が増えるせいで、ネームバリューのある大学はどこも、合格に必要な点数ラインが大幅に上がるでしょうね。東大などの最難関大学は、センターより2次の比重の方が重いので、足切りにならない点数だけ取っておけばいいですが、中堅国公立大学や、私大のセンター試験利用などの場合は、ほぼセンターで合否が決まることも多いため、合格ラインが大幅に上がることで、生徒への負担は今と変わらないどころか、落ち着いて実力をつけようという雰囲気がなくなる分だけ、さらに現場は教えにくくなるでしょうね。

今後は教育現場ネタも少しずつ増やせればいいですが、政治ネタが多すぎて大変というところです(苦笑)。

今後ともよろしくお願いします。

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