酒造コンサルタント白上公久の酒応援談 

日本文化の一翼を担い世界に誇るべき日本酒(清酒)および焼酎の発展を希求し、造り方と美味さの関係を探究する専門家のブログ。

米の味と酒の味

2018-03-01 18:11:19 | 総合
清酒の原料は米である。米の味と清酒の味との関係はどうなっているのであろうか。明確に示した記述は寡聞である。ワインと原料ブドウの品種ほどの原料品種差が分からない。きき酒して原料を言い当てられるほど米の味と香りの品種間の違いはわずかなのだ。きき酒して原料品種を聞いてなるほどと納得すことがしばしばだ。でも品種の差は明確にきき分けているのだ。具体的に差を表現できないだけなのだ。酒造用米の代表は山田錦である。山田錦と他の米を原料にした酒との品質格差は比べてみれば多くの人がきき分ける。良い例が鑑評会である。経験のある審査員は山田錦の酒をピックアップし金賞受賞酒は圧倒的に山田錦の酒である。統計学的に検証すれば有意の差があるのは明らかだろう。
山田錦のご飯の味は一般米に比べれば淡白ではあるが酒造用米としては淡白でもなく濃いわけでもない。酒造用米のもう一つの代表である五百石と比べて見れば五百万石は淡白な味であることが分かる。酒にしてみても味の差ははっきりする。山田錦の酒はすっきりした味に上品なうまさが広がる。五百万石はただきれいなすっきりした味しかない。もう一つの酒の味の要素である滑らかさうまさが山田錦に比べ足りない。この差を埋める技術はたぶんないだろう。原料米の品種は酒造りにとって重要な選択である。