徳川将軍の中で特に将棋好きだったのが十代家治で、熱狂的だっ
たといわれる。自らを“御七段目”を名乗り、九代大橋宗桂や五代伊
藤宗印を城内に招き対局している。

「御撰象棋攷格」は、その家治が晩年に編んだ詰将棋集。将軍の作
品らしくおおらかな気品の漂うものと高評価されている。その表紙
は征夷大将軍らしく、泥金が塗られたものである。
家治の時代は田沼意次が老中として活躍した頃で、経済活動が重
視され、庶民が自由に、また穏やかな生活を楽しんでいる。しかし、
その反面、賄賂が横行する負の面もあった。
(国立公文書館:千代田区北の丸公園3-2)