恋の方程式が解けません in goo

よくわからないまま引っ越してみた?

寄稿文の改訂版  提出分

2020-05-04 08:08:15 | 日記
『夜のハイウェイ』

高知では二種類の人種にわかれるという。

「高知県立短期大学に通った者と高知県立短期大学に通わなかった者。」

好奇心を刺激する愉悦を求めようとする手が

18歳という年齢が更に遠く僅かに高い場所を目指していた。

何か人と違うことがありそうで、

何か人と寄り添うことで、

そこに理想とした自分を求めていたのかもしれない。

夜の街の真ん中で大人達が集う大学は

高校卒業間もない小僧にどんな夢と現実を見せるのか。

多分、普通の大学生になっていれば、きらきらとした生活も待っていたかもしれないが、

自分の周りには輝きこそしないが、鈍い銅褐色の光を放つ人々に出会えた。

もちろん、中にはキラキラした虹色に光る女の子にも出会えてはいる。

その銅褐色の人々は個としての存在の意味を叩きつけてくる。

突然に年齢、性別、思想がバラバラの中に身を置くようになったが、

手を出す場所も足を踏み入れる場所も見当すらつかないまま、

視線の止まる先を探していた。

その先に映るのは大なり小なりどこか自分の未来であるに違いないと信じ、

そうであるが当然の如く歩くようになった。

歩いていこうとする先に立ちはだかる銅褐色の背中の群れ。

皆がその足跡で道を作っていく。

開拓精神などと幼稚な発想なのかもしれない。

自分の未来将来は否応なしに自分が決定するものだと思っていたが、

もう誰かの踏みしめた道を歩いていくしかない認識と覚悟。

習う事、教えられる事。それでも何かを為し越えるためには、

その背中を追い、踏みしめられ出来た道を歩いていくしかないのだ。

歩けただろうか。もう三十年も前の話だ。

意外にもその頃の記憶は思うほどは薄れていない。

かといって、そこまで大事な記憶でもない。

昨年、令和元年の夏。

恥ずかしながら心筋梗塞を患い天に召されかけていたのだが、

その入院生活で、短大の頃の友人数名がお見舞いに来てくれた。

本当に嬉しかったし、助かり、救われた。

結局はそういうことなんだろう。

夜だからこそ見える星たち。

夜だからこそ出会えた星たち。

決して一等星ばかりではなかったけれど、

とても大事な暖かい星たちです。

自分も誰かのあったか星になれただろうか。

去年、あやうく星になりかけた自分の言うことではないけどね。


おしまい。