京極夏彦「姑獲鳥の夏」

少し前に買った京極夏彦さんの小説「姑獲鳥の夏」を読み終えました。

「20ヶ月もの間、子供を身篭っていることができると思うかい？」

文士、関口巽が古本屋にして陰陽師である京極堂こと中禅寺秋彦に投げかけた質問。

「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」

昭和20年代夏。東京、雑司ヶ谷の久遠時医院の娘梗子は20ヶ月も身篭ったままで
その夫は1年半前に密室から姿を消し以来行方不明になっているという。
人の記憶が見える榎木津探偵、元軍人木場刑事らと共に
京極堂が不可解な事件を解き明かす、京極堂シリーズ第1弾。

最初「心や脳、意識」のくだりは医学書でも読んでいるような気さえしてくるほど難解で
ちゃんと理解出来てるかは1回読んだだけでは自信ないです
京極堂のセリフの一つ一つがものすごく長いせいもあって
前半は割りとゆっくりしたテンポで進んでいきますが
後半は一気に畳み掛けるように展開していきます。

非現実のこの世のものではない何かがそこにあるのではなく
そこにあるものが見えない恐さ。
常識や倫理観が吹っ飛びそうな話しで、何度か頭の中がゴチャゴチャになりましたが
すっかり京極堂ワールドに引き込まれてしまいました。

ハッキリ言って「えげつない」ので人に勧めようとは思いません。
が、私は榎木津探偵のキャラにハマってしまったので（笑）
他の京極堂シリーズも読んでみたいと思います。

一昨年、映画化もされてますが、私は残念ながら見ていません。
映画を見た方は辛口な感想の方が多いですが　
これをどうやって映像化するのか？約2時間という時間の中でどう見せるのか？
非常に興味深いので是非見てみたいと思いました。

とりあえずもう一回ゆっくり読んでみたいと思います。