陳情に行ってきた。
昔は、といっても1年前のことだが、官僚のところへ出向いて、それから副大臣、大臣という順番だった。
「政治主導だから役人は飛ばそう」
政権が変わって、そうすることにした。
農林水産省、財務省と一回り、たったの30分くらいかな。あっという間に終わってしまった。
政務官、副大臣、大臣だけの陳情だった。まあ、長く話し込めばうまくいくというわけではないし、とは言いながら少々のさびしさがある。
これでいいのか、というのが実感だった。
民主党は陳情なるものはすべて幹事長が仕切るということだ。
それぞれの議員は地元のことも団体も関与しない。じゃ、国会議員は何を仕事にしているのか。
賛成要員だけじゃあ、あまりにかわいそうである。
「刷新会議」では新人が切られた。意味はわかるような気もするが、予算執行の段階でちぐはぐすることになる。
各省庁は絞って予算をつくった。概算要求で95兆円、これじゃあ、赤字国債(中身のない借金)をたくさんつくる。将来をガタガタにしてしまう。
「刷新会議」は予算の削り役というところか。
省庁側にしてみれば、「お手並み拝見」というところか。
44兆円以内の国債(借金)発行で済ますと鳩山総理は明言した。
ということは、国に入る税収は40兆円を割るらしい。税収の上をいく借金というのが健全財政であるかどうかは別にして、総額で84兆円しか持ち金のない予算ということだ。
概算要求が95兆円、そして持ち金が84兆円、11兆円足らない。
11兆円は「刷新会議」がそぎ落とすわけだ。
予算をつくった方からみれば、「一割以上も落とすなら、俺は知らない。好きにやって」という気になる。自分の責任以外でバッタバッタ予算を切る。閉ざされたところで一部の議員が、浅い知識しか持たない一部の人間が、自分たち7人だけの判断で「これはムダ」とやるわけだ。
他人がいじった予算を執行する責任と自分で工夫した予算では、効率的な執行という観点からは雲泥の差ができる。
子どもに小遣いをくれるのとはわけが違う。
そんなやり方では確実に景気は悪くなる、素人でもそう思う。
「自民党からは言われたくない。こんなにきびしい財政にしたのは自民党じゃないか」
これを時々総理は言うが、これを言ったらおしまいだ。自分だって参加して、それは反対していたかもしれないが、予算は通ってきた。イヤなら総理などやらなければいい。
負の遺産も、蓄えられた遺産もいっしょに引き継いでいくのはあたりまえではないか。
今日は農地防災地すべり対策で、全国から首長が集まっての陳情。
「何も知らないだろうね、議員は」群馬県から出た民主党の議員なんか、事業をやっていることさえ知らないのではないか。そんなつぶやきがあちこちで出ていた。
「議員に話しても時間の浪費」という声もあった。むなしい。
大臣陳情を最後に早々に退散した。
太田市の農地防災事業は幸いにしてほとんど終わった。
来年、残された課題を片付けて、農林水産省の役人は引き上げる。
「国の方針が変わってきた。国がつくった事業だから国が主たる管理責任(池の周辺の草刈など)を負ってもらいたい」そう事務所の所長には話した。
調整池を管理するのに、業者委託すれば5千万円が予想される。太田市ほかで管理することを超える金額である。
イオンの北側、大谷幹線の端にできた大きな池、そして韮川の東など平坦地に水害防止の池をつくってきた。総額で300億円にもなるが市は微々たるお金しか負担していない。私はよくやってきた、と思う。農林水産省の市に対するヒット事業であったと思う。
鳩山政権では到底できることのなかった事業である。確実に、ムダの部類に入ってしまっていた。
まだ、半年も経っていないのに自民党政権がなつかしく思えるのは・・、急激な変化がそうさせているのだろう。