市民大学院ブログ

京都大学名誉教授池上惇が代表となって、地域の固有価値を発見し、交流する場である市民大学院の活動を発信していきます。

智恵のクロスロード第53回「倉吉の魅力『はこた人形・ウイスキー倉吉・くらしよし』」近藤太一

2016-11-25 15:38:00 | 市民大学院全般
 倉吉市は、2016年10月21日鳥取県中部地震で大きな被害をうけた。倉吉市の観光名所「白壁土蔵群」も無残な姿を見せていた。しかし、この白壁土蔵群の一隅で、「はこた人形」が清楚なそして上品な人形として創作されている。
 最初に、「はこた人形」は、赤い着物をまとった少女の立ち姿を示す張り子で、郷土玩具愛好者で、数ある張り子人形の中でも格別のかわいらしさを感ずるという。
 創始は江戸中期天明年間(1781~89年)、備後の国から行商に来た備後屋治兵衛が倉吉のつつましやかな娘に惹(ひ)かれ、これを人形にしたと言い伝えられている。桐の木型に和紙を張り重ね、張り子を型から抜き取り、胡粉で下地を塗り、染料や日本絵具で彩色し、ニカワでツヤ出しした張り子である。「はこた」は、「這(は)う子」から転化した名前で、日本古来の信仰人形「這子(ホウコ)が起源と考えられている。
 倉吉では、「は~こさん」の愛称で親しまれ、古くは子供の遊び相手であり、持ち主の災厄を肩代わりしてくれるお守りでもあった。この白壁土蔵群の一角で製作(はこた人形工房)されている。
 二番目に倉吉という名称のスコットランドのモルトと国内で蒸留された原酒とヴァッティングし、大山山系の伏流水で仕上げたウイスキーを倉吉市のメーカー(松井酒造合名会社)が売り出している。18年ピュアモルトウイスキー倉吉は、ある洋酒専門店でも海外で駐在した人には、人気があるという。大型総合電気店の酒類コーナーでも販売している。
 三番目には、三朝温泉があり、三徳山三仏寺と国宝投げ入れ堂がある。三徳山は、慶雲3年(706)修験道の創始者役(えん)の行者(ぎょうじゃ)によって開かれ、嘉祥2年(849)慈覚大師が講堂を建て、阿弥陀・釈迦・大日の3仏を安置したことから三仏寺の名が起こったと伝える。昔は、鉱山のあったところで、山の上にも足場と宿泊場所そして祈念する寺院を作った。投げ入れ堂の本尊蔵王権現像は、躍動感に溢れ、実に上手(うま)く激しい憤怒の様相を示している。
 倉吉市内の打吹山(うつぶきやま)は、204mの山で、天女伝説のある山で残された天女の子供が、この山の頂で太鼓や笛をふいて天に帰った母親を想い偲んだと伝えられている。裾野には重要伝統的建造物群保存地区の打吹玉川がある。
 4番目に、この地方の古老は、生活が暮らしやすいところから「くらしよし」が「くらよし」になり、漢字は、倉吉になったという。
 自宅では、このブランド名「倉吉」のウィスキーとその横に「はこた人形」を置き、風呂を三朝温泉と想えば、山陰文化の一端に浸れるかもしれない。
               ハルカス阿倍野近鉄百貨店文化サロン講師 近藤太一
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智恵のクロスロード第52回「ロシア大使館セミナー (期日2016年12月21日(水))の開催について」近藤太一

2016-11-10 19:18:24 | 市民大学院全般
 本年は、12月にロシアプーチン大統領の来日が予定されています。ロシア国と日本の外交史を紐解くいい機会として、今回ロシア大使館セミナーを催行いたします。
 今まで、50ヶ国駐日大使館や大使閣下公邸で、駐日特命全権大使・同令夫人のお話しを聴かせていただき、その国の少しでも深い理解の機会を設けております。歓談は、大使館専属のシェフが担当したお料理を召し上がっていただきます。また、今回だけは日本国内のインターナショナル学校へ通学されている学生さんにロシア民謡も歌唱していただき、音楽からの理解も深めていただきます。
 尚、終了後ロシア大使館のある麻布台には外務省飯倉公館があり、その付属館として外務省資料館別館もあり、その展示物を外務省専門員に解説していただきます。当日展示
されている日本・ロシア1875年(明治8年)、サンクトペテルブルグで樺太・千島交換条約のコピーの展示について解説をいただきます。この時の駐ロシア日本公使は、陸軍中将として赴任した榎本武揚が調印しました。第二次世界大戦後1951年(昭和26年)吉田茂首相は、アメリカを中心とした西側陣営諸国との「単独講和」を決断し、サンフランシスコ講和会議に参加。ソ連代表はサンフランシスコ講和会議に出席しましたが、ポーランド・チェコスロバキア・ソ連の3国は、共に日本国との平和条約(対日講和条約)への調印を拒否しました。このような歴史を背景に現在の概況も加え、解説していただきます。当日の催行(集金や集合・解散)は、クラブツ-リズム(03-5323-5566、費用15,000円、集合場所地下鉄銀座線虎ノ門駅一番改札口出た地上1階集合時間09:30)が担当いたします。セミナーは駐日大使館になり、地方では開催できないことになりますが、貴重な体験になると存じます。満員の場合は、ご容赦下さい。
          大阪ハルカス近鉄阿倍野百貨店文化サロン講師 近藤太一
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智恵のクロスロード第51回「三越日本橋本店の『三囲神社』の分霊」近藤太一

2016-09-01 17:38:33 | 市民大学院全般
 七福神とは、言うまでもなく7柱で構成されている。神の出自も、日本(恵比寿・大黒)、インド(弁財天・毘沙門天)、中国(布袋・福禄寿・寿老人)の3国に跨り、神道・仏教・道教のシンクレティズム(諸教混淆)だから、巡りの効果も信用したくなるというものであろう。
 今回、三越日本橋本店9階屋上に三囲神社の分霊にお参りした。三囲神社は、隅田川七福神の一つである。恵比寿と大黒天を祭神にしている。
 三井家では、享保年間(1716~1732年)に三囲神社を江戸における守護社と定めた。三井家を3回も廻ってくれると掛け合わせたのである。
 七福神は、歴史的には、初めから7福神ではなく、恵比寿・大黒天の2神から始まった。室町時代、関西の都市の町衆の経済的実力が付き、金運に応じる神が求められた。京都の祇園祭を作り上げるような町衆であるから、その力は並のものではない。毎年7月は、この祇園祭りが開催され、その経済的効果は非常に大きい。宿泊・飲食・お土産の販売と関係者は大きくそろばんを弾(はじ)いている。
 東京へ行かれた時には、三越日本橋本店屋上の三囲神社の見学と参拝そして祈祷してみていただくのも、新たな探索になるかもしれない。
 先日は、東京証券取引所、日銀貨幣博物館、三越本店での食事、奈良「まほろば館」(情報と物産斡旋)で奈良時代の金融と社会、日本銀行券に見られる神代の人の肖像として取り上げられた(日本武尊・神功皇后・武内宿祢)について解説をさせていただいた。東京金融特区の特徴を持つ地域である。七福神も大きな役割を果たしてきた。
            ハルカス近鉄百貨店文化サロン講師  近藤 太一

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文化政策セミナー2016プログラム

1 日 時 2016年9月3日(土)~9月4日(日)
 なお、9月2日(金)には「サントリー山崎蒸留所現場見学・試飲セミナー」がございます(下記参照)。
2 会 場 1日目 成徳学舎2階セミナー室、2日目 京都府庁旧本館議場
3 共通テーマ “地域再生のための文化政策
         ―文化庁京都移転後の京都発の文化政策を視野に―”

4 スケジュール
9月3日(土)於 成徳学舎2階セミナー室

司会 小野秀生氏(京都府立大学名誉教授)
10:00-11:00  古武博司氏(「西陣の町家・古武」主宰)
「京都1220年・市街地の変化と上京町の魅力を発信して」
11:00-12:00 池田清氏(神戸松蔭女子大学)
「地域(神戸)の固有価値とJ.ラスキンの固有価値論」

昼休み12:00-13:00 理事会

司会 中谷武雄氏(市民大学院講師)
13:00-14:00 鈴木茂氏(松山大学)
「バーミンガムの都市再生」
14:00-15:00 鳥羽都子氏(岐阜県文化振興課学芸員)
「創り手・享受者・場をつなぐ創造的マネジメント:
郊外型都市におけるアートセンターの活動事例から」
15:00-16:00 近藤太一氏(市民大学院講師)
「薩摩藩の宝暦治水は封建体制から町民・職人による近世経済体制を作り出す」

特別講演 司会:岩田均氏(市民大学院講師)
16:10-17:30 葉山美夫氏(前琳派400年記念祭準備室)
「何のために文化政策はあるのか」

総会    17:30-18:00   

懇親会   18:00-19:30(司会:池上惇氏)           
9月4日(日)於 京都府庁旧本館議場
記念講演 司会:鈴木茂氏(松山大学)
10:00-10:50 佐々木雅幸氏(同志社大学)
「文化庁移転とこれからの文化政策」
コメント: 北村信幸氏(京都市文化市民局)

閉会挨拶 
11:50-12:00 金井萬造氏(文化政策セミナー2016実行委員長)

5.参加費
両日参加費2000円(1日1000円)、懇親会費3000円になります。
受付にてお支払いをお願いします。

6.エクスカーション
①.日時・集合場所
      2016年9月2日(金)午前9時20分(時間厳守)
       JR大山崎駅改札を出た所
②.行程
      徒歩15分でサントリー山崎工場到着
      9時50分から約80分間、ウイスキー製造工程見学、テイスティングを楽しみます。なお、山崎ウイスキー館      も利用できます。
      セミナー終了後はJR大山崎駅周辺で昼食、懇談会を予定しております。その後は各自自由行動できます。
③.参加申し込み期限
      2016年9月1日(木)
④.参加費
      一人2000円、先着13名までです。
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智慧のクロスロード第50回「鎌倉時代のマザーテレサとも言える“忍性”」近藤太一

2016-08-24 21:15:57 | 市民大学院全般
 このたび、奈良国立博物館では、忍性生誕800年を記念して特別展を展開している(平成28年7月23日~9月19日)。住民の身体の救済はもちろんの事心の救済に生涯を奉げた。建てた伽藍83か所、供養した御堂154か所、描いた地蔵菩薩像1355像、病人・貧者に与えた衣服33000着、架けた橋189橋、修築した道71か所、掘った井戸33か所、開いた湯屋・療養所5カ所、雨乞い・祈祷数知れず、だったと書物『性公大徳譜』で記されている。建保5年(1217)に大和国城下郡屏風里(現在の奈良県磯城郡三宅町)で生まれた。早くに亡くした母の願いを受けて僧侶となり、西大寺の叡尊(えいそん)を師として、真言密教や戒律受持の教えを授かり、貧者や病人の救済に真っ向から取り組んだ。特にハンセン病患者を毎日背負って一通り、人が多い街筋(奈良坂街道東大寺転害門(国宝)に通ったという(元亨釈書(げんこうしゃくしょ))。慈悲深い人柄を滲み出している。後半生は活動を鎌倉に移し、より大規模に戒律復興と社会事業を展開した。鎌倉が新幕府で社会通念や倫理が不足していたからである。忍性が先生とした行基、聖徳太子と鎌倉極楽寺に自分骨蔵器を収めた。あたかもインドで病人の救済にあたったマザーテレサの鎌倉版のような気がする。小生もマザーテレサがキリスト教の代表者として来日し、比叡山に入ったときの航空券や宿舎にかかわった。三重県の椿神社宮司から要請を受けたご縁であった(1981年)。
 マザーテレサは、1979年にノーベル平和賞を受賞している。忍性は、87歳、鎌倉極楽寺で死去した。しかし、25年後時の後醍醐天皇は忍性に菩薩尊号を勅許している。生まれたところではなく、マザーテレサと忍性は遠く離れたところでそその地域の住民と生死を共にした。
 本年、忍性像が、奈良県三宅町生誕地の近くにある浄土寺に納められる。東京芸術大学彫刻科出身の吉水快聞(よしみずかいもん)師(正楽寺住職)の工房(奈良市般若寺町)も尋ねさせていただいた。奈良には1体の忍性像も存在しないことを浄土寺藤田住職は、癒してくれる(近鉄橿原線石見下車徒歩15分)。忍性のもう一つのお墓も行基と一緒に奈良生駒市竹林寺(近鉄生駒線一分駅下車15分)にあり、聖徳太子との関係が深い額安寺は近鉄橿原線石見駅下徒歩20分にある。一本道で歩きやすい。近鉄橿原線結崎駅員に聞いてもらえば、地図まで下さる。奈良坂近くにある北山18間戸に近くにある「お好み焼きさんかくや」(電話予約は必要だが、0742-22-2594)に事前に予約しておくと北山18間戸を見せて下さる(寸志は必要だが)。やはり今回の忍性に関する「観光文化資本」は貴重なクオリティを有している。ボランテァ精神の極点かもしれない・・・・。
          ハルカス大阪阿部野近鉄百貨店文化サロン講師  近藤太一
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国際文化政策研究教育学会の文化政策セミナー2016のご案内
1 日 時 2016年9月3日(土)~9月4日(日)
 なお、9月2日(金)には「サントリー山崎蒸留所現場見学・試飲セミナー」がございます(下記参照)。
2 会 場 1日目 成徳学舎2階セミナー室、2日目 京都府庁旧本館議場
3 共通テーマ “地域再生のための文化政策
             ―文化庁京都移転後の京都発の文化政策を視野に―”

4 スケジュール
9月3日(土) 10:00-11:00 古武博司氏:京都1220年・市街地の変化と上京町の魅力を発信して 

        11:00-12:00 池田清氏:地域(神戸)の固有価値とJ.ラスキンの固有価値論

         昼休み12:00-13:00 理事会

         13:00-14:00 鈴木茂氏::バーミンガムの都市再生 

     14:00-15:00鳥羽都子氏: 創り手・享受者・場をつなぐ創造的マネジメント:

郊外型都市におけるアートセンターの活動事例から

15:00-16:00近藤太一氏:薩摩藩の宝暦治水は封建体制から

町民・職人による近世経済体制を作り出す

特別講演  16:10-17:30 葉山美夫氏(前琳派400年記念祭準備室) 何のために文化政策はあるのか

  総会    17:30-18:00   

  懇親会   18:00-19:30(司会:池上惇氏)

9月4日(日) 10:00-10:50 記念講演 佐々木雅幸氏:文化庁移転とこれからの文化政策

          コメント:京都市関係折衝中

          コメント:調整中
閉会挨拶   11:50-12:00 金井萬造氏(文化政策セミナー2016実行委員長)

5.エクスカーション
①.日時・集合場所
      2016年9月2日(金)午前9時20分(時間厳守)
       JR大山崎駅改札を出た所
②.行程
      徒歩15分でサントリー山崎工場到着
      9時50分から約80分間、ウイスキー製造工程見学、テイスティングを楽しみます。なお、山崎ウイスキー館      も利用できます。
      セミナー終了後はJR大山崎駅周辺で昼食、懇談会を予定しております。その後は各自自由行動できます。
③.参加申し込み期限
      2016年9月1日(木)
④.参加費
      一人2000円、先着13名までです。
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智恵のクロスロード第49回「近年高まっている「バウハウス芸術運動」の再評価」近藤太一

2016-07-12 19:46:15 | 市民大学院全般
 第一次世界大戦後、アール・デコ芸術運動と同時代のバウハウス芸術運動が、再評価されだした。このバウハウス芸術運動は、「機能がフォルムを決定する」というシンプルなスローガンに集約された表現形式を生み出した。ヴァルタ―・グロピウス(Walter・Gropius 1883~1969)によって創始されたミニマリストの建築・装飾芸術はこのことを忠実に表現している。その結果、美しさと機能性が融合した作品が生まれたのである。1919年に統合された国立バウハウス学校が開校し、初代校長を務めた。ブロピウスは、以後イギリスへ亡命、最後は、1937年米国ハーバード大学に招かれ、当時超高層ビルのパンナムビルも設計した。
 このバウハウスの芸術・デザインは、スイス超高級時計パテック・フィリップにも採用され、シンプリシティを「カラトラバ」という商品名で売り出している。
 このバウハウスでは、「付加価値」という言葉はいらないという。「価値」とは、モノの外側に付け足していくようなものではない。モノと人との関係を隙間(すきま)もないほど融合し見出すことこそが「価値」である。価値をつけてやろうとする欲望があるときは「ゼロ原点」に立ち返り、インスピレーションを得たフォルムが必要な時が来たようだ。
 削ぎ落とされたシンプルな美しさは、その表現として独創的とは奇抜なことではなく、誰よりも先にスタンダードを創り上げることである。自動車でも高級ドイツ製には、このバウハウスの芸術性が見て取れる。食器でも北欧諸国には、シンプルとクオリティを融合させている。
 一方、自然界では、水が空間を落ちる大滝は、飛沫と音を作り出し、一つの芸術空間を創り出している。海と陸地の波打ち際でも一つの芸術空間を作り出している。音を作り出す動きと重なり合っている。その境遇が、バウハウスの世界を一層深く進化させる可能性を秘めている。
        ハルカス大阪近鉄阿倍野百貨店文化サロン講師  近藤太一

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一般社団法人文化政策・まちづくり大学校(通称・市民大学院)の7月の授業計画は以下のサイトにアクセスして下さい。
http://shimindaigakuin.wix.com/bunka-machi
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