渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

市原 ひかりと懐かしき銀座スウィング(下)~府中の森で発見!~

2008年10月15日 | ジャズ・ライブ
停泊地)銀座スウィング(08.9/19)
メインアーティスト)市原 ひかり(tp), 杉本 篤彦(g), 阿部 篤志(p),
岸 徹至(b), 岩瀬 立飛(ds)

(前回のつづき)
20数年ぶりに銀座スウィングの扉を開けると、懐かしい光景が広がってきました。
恐らく内装は当時とほとんど変わってないんじゃないかな。ステージをつつむように大きなカウンターが楕円形に配置され、その後にソファーとテーブル席が有ります。客数は70~80人ぐらい。
働いていたときは、社会人になったら、今度は客としてここに来て、サーブされる側になるぞ、とは思いつつも、結局今まで一度も来る事はありませんでしたね。
特に避けていたわけではありません。考えもしなかったということでしょうか。
長年、生き馬の目を抜くシェアー争いの激務に忙殺されて、全く気持ちに余裕がなかったんでしょうね。

さて、ステージのほうは既に1曲目が始まっています。若手期待のトランペッター、市原 ひかりさんが、こ気味よくスタンダードの「It could happen to you」を演奏しています。

前回、市原ひかりさんのことを、ゆかりのあるミュージシャンと書きましたが、こちらが一方的にゆかりがあるだけで、直接、ひかりさんとゆかりがあるわけではありません。(フ~、このフレーズ考えてて、3日も経ってしまった!)

山野楽器ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストというのが、毎年8月に府中の芸術の森で開催されます。ビッグ・バンドファンなら誰もが知ってる、大学対抗のバンド合戦ですね。今年で39回目ということですから、大変な歴史です。昔、いち時期だけコンボ(小編成)のジャズコンテストがTBSラジオ主催?であったけど、あっという間になくなってしまいました。まして大編成のビッグバンドです。これを運営・維持し、継続していくのは大変な労力が必要です。

伊東毅(AS)、本田雅人(AS/Fl)、池田篤(AS)、近藤和彦(AS)、五十嵐一生(Tp)、新澤健一郎(P)、谷口英治(Cl)。
凄いメンバーですね。これらのミュージシャンは、この大会で、個人賞をとり、その後プロとして第一線で活躍しているミュージシャンです。

今から4年前、ちょっとした気まぐれから、この大会を観にいきました。
こういったコンクールに、全く利害関係のない立場で、野次馬的に観るのは実に楽しいです。何しろ伝統ある大会です。出演バンドは、予備審査を通過した全国からの選りすぐりのバンドばかり。本人達の意気込みも尋常ではありません。大げさではなく大学生活のすべてをかけると言ったいったテンションで臨んでいるのが伝わってきます。まして、ここから将来の伊東毅や池田篤が出現するかも、という期待感もあって各バンド目が離せません。
審査委員は、前田憲男、本田雅人、守屋純子といった、大物がずらり。
各バンド毎に講評があるんだけど、これが結構辛らつなんです。
思ったような演奏が出来なかったときなどは、舞台で講評を聞きながらみんなでしょんぼりしています!

そしてこの日、ひと際輝いていたのが、早稲田大学ハイ・ソサエティ・オーケストラのトランペット・ソリスト、市原ひかりさんでした。ビッグバンドにありがちなハイトーンで行きまくるタイプではなく、シルキートーンというのかな、とても美しい音色で、唄心たっぷりにスウィングするラッパでとても好感持ちました。
そしてその後数年のうちに、メジャーデビューし、青山BODY & SOULや銀座SWINGでリーダーライブをする売れっ子ミュージシャンになるとは、想定外の大躍進ですね。
ちょっとした気まぐれから、「俺なんか、ひかりちゃんのことを20歳の頃から知ってるぜ!」という貴重な自慢話を拾ってくることになった次第です。

さて、ステージに戻ります。
選曲の方は、昨年発売されたアルバムから、「I will wate for you」「星に願いを」などのスタンダードやオリジナルの「走馬灯」などが続きます。
あの美しい音色にさらに、磨きがかかって、ステージングにも余裕が感じられます。
そして今回驚いたのが、MCがとても旨いこと。曲の前に簡単な解説をするんだけど、これがすごく的確で、なかなか見事です。練習しているんでしょうか?
特に銀座スウィングのお客さんは、年配のエスタブリッシュメントが結構多いので、ここらあたりも評価されてますよ。

そして、ユニークにアレンジされた「グレーターラブ」の後は、オリジナルの「太陽の光」で締めくくり。

今回、ひかりさんのリーダーライブは初めてでした。実は、来る前は、この急激な躍進に少し戸惑ってました。きっと、「小柄でキュートな若い女の子、でもトランペットも凄いんです!」的な、半分色物的に受けているのかなと思ってました。
でも全然違いましたね。ジャズドラマーの父親譲りでしょうか、お客の乗せ方というか、若いのにエンターテインメントのツボみたいなものを習得しているんですね。
だから銀座スウィングのようなステージでも全く違和感がありません。
若いミュージシャンで、ここにマッチングするのは極めて珍しいですよ!

きっと、円熟しながら、息の長いプロミュージシャンになりそうですね。
ひょっとすると、30年後とかには、もっとこのセリフの価値が上がるかな。

「俺なんか、ひかりちゃんのことを20歳の頃から知ってるぜ!」
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