眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

ハイビスカス

2024-05-12 | 
ハイビスカスをお風呂に浮かべて
 賛美の歌を口ずさむ
  君の呼吸音は一定で
   静かにただ呼吸していた
    真昼の三時頃
     湯船にお湯をはって
      ぼんやりと景色を想った
       子供たちの捧げる歌

       空は気だるげに飛翔した
        カモメ達の世界
         僕らは空を愛す
          壊れかけの複葉機で
           世界の果てまで飛行する
            地上がゆっくりと回り
             世界は球体だった
              たどり着いた亜熱帯の地は
               不快指数が高く
                水浴びにちょうど良かった
                 
                 君の昔を
                  想っていた
       
                 ハイビスカスの咲く頃
                僕らは宙空を舞う魂だった
               ね
              忘れないでいてね
   
             そう云った君の視界から僕が消え失せ
            惰眠が僕から
           君の存在を曖昧にする
          ページをめくった
         あたらしい知覚の扉が開くのだ
        気だるい深夜
       バーボンを舐め自堕落に世界を紡ぐ
      子供達がはしゃいでいる

     月光
    青い月明かりの世界で
   帰りを待っている
  カモメの世界
 日常を凌駕した恣意のもと
僕らは明確な存在足りえるのだ
 必要な栄養素を蓄え
  呼吸を備蓄する
   酸素マスクの向こう側
    皆がオレンジ色の蛍光灯の舌で
     お茶会を開くのだ
      いっそ
       小さなお茶会
        誰かが去り
         残された我々がマスターに任命された
          暖かな紅茶を淹れなければ
           ね
            忘れないでいてね

            忘却の仮面を被った嘘
             君は忘れたはずの記憶を所持していた
              君の昔を

              ハイビスカスの花を知っているの?

             少女が緻密なデッサンを描きながら尋ねる

            うん
           僕の島の花だからね

          どんな色をしているの?

         忘れたよ
        遠い記憶と共に

       匂いは?

      それもとっくに忘れたよ

     あなたの島は何処にあるの?

    地球儀を回し

   僕は答えるのだ

  忘れたよ

 忘れてしまったんだ

やがて海だった領域は

 埋め立てられ

  コンクリートの壁になる

   それは誰にも止められないのだ

    カモメたちは飛ぶ空を忘れ

     僕らは僕らの島を忘れてゆくのだ

      静かに

       静かに

        記憶のハイビスカスを想い

         君の憂いに僕は泣く

          琥珀のウィスキーを舐めながら

           僕は

            記憶の中のハイビスカスを想う

             消えてしまったよ

              くすくす

               子供達の無邪気は砕け散る

                くすくす

                 誰かが笑っている

                  ごらん

                   嘲笑された世界

                    僕らの忘れ去られた花の物語

                     僕らは


                      僕らは











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