アトリエ・きき

ここから何が始まる?

冬のシンフォニー

2017-01-05 23:50:40 | Weblog
世界に、力強く冷気のBass。

風が欅の枝のタクトを振れば、
霜柱立ち上がり、
凍った椿の葉が歌い、
苔はかすかなビブラートでそれに応える。

街の光の洪水は、胸踊るプロローグ。
夜に流れる回転木馬の残像は、
まるでとりどりの色のカノン。

回れ 回れ まだまだこれから。
夜はこれから。



どんよりした曇り空に奏でられるのは、第2楽章アダージオ。
時間も、風も、
歩をゆるめて内省を促す。


地鳴りのようなシンバル、
太陽がひとたび顔を出せば、
世界は再び色彩にあふれ、
野イバラの芽や水仙のつぼみ、凍った小川のセリの根が、
一斉に命に目覚める。

そして冷気のBassが、ほんの少し軽くなり、
冬のシンフォニーは、
太陽の動機と空気の展開によって、
終章に向かい始めるだろう。



足踏み 足踏み。

心はとどまりたくても、
待ってはくれない季節の流れ。

重厚な冬将軍の轟きが鳴り響いているその間に、
生き方のCDEを復習する。

やがて来る春にとまどわぬように。
明るい陽射しに、向き合っていけるように。

冬を恋うる気持ちを、封印することができるように。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする