わがまま日記~外伝~

徒然なるままに日々のこと、熱く、ロマンティックに、毒をもって、心のままに書き綴ります。

舞台「ミザリー」

2005-06-26 20:49:27 | 舞台
「ミザリー」大阪公演を観て参りました。
あらすじは…雪山で車事故によって、意識不明に陥った人気作家ポール。彼を助け出したのは、偶然にも彼の小説「ミザリー」の大ファンだった元看護婦、アニーだった。自宅に連れ帰り、献身的に看護し、ポールは意識回復。ただ、アニーは外界との連絡を取ってくれず、小説「ミザリー」に固執し、次第に狂気に満ちた言動を…監禁状態のポールが脱出するまでの恐怖を描いています。
映画「ミザリー」は1990年作品で、こわ~と思いながら見ていたのは、15年前の、まだうら若き時だったのですわ。この頃っていうのは、スティーブン・キング原作っていうだけで、何か期待していたような気がします。配役もジェームズ・カーン&キャシー・ベイツという、個性派俳優の最たる2人の共演で、怖さも倍増。私は、この映画でキャシー・ベイツのファンになったほどです。太っちょの中年のおばさんなんですが、よく見ると知性派美人です。この2人が日本版舞台になると、小日向文世&渡辺えり子になった訳ですね。渡辺さんはわかりますわ。もう、渡辺さん以外にはいないでしょ?まあ、将来は大竹しのぶさんでもいいかもしれませんね。大竹さん出演の「黒い家」は震えましたから…話戻りまして、小日向さん、このキャスティングは、映画を見ている私には違和感ありましたね。カーンと比べると、ちょっと軽め?実際、舞台を見ても、ちょっと作家って感じしませんでしたね。
どれくらい、コワ面白いのかと思っていたんですが、以外や普通のテンションの芝居でしたね。何だろ、小細工無し、渡辺さんの存在感と演技だけで、恐怖と笑いを醸し出すという感じ。ある意味、地味過ぎて期待外れな感もあり。ただ、直接的にグロテスクな場面は、映画はぼやかしていましたが、舞台は見せていて、それはそれで、ちょっとイヤ。そういう直接的な怖さじゃなくて、狂った心の、ざわざわっと鳥肌が立つような怖さに徹して欲しかったです。監禁されているっていう、ポール=小日向さんの恐怖がイマイチ、伝わって来なかったですね。後半、ポールが、狂気に近くなってくる辺りは、いい感じでした。
1番怖かったりは幕の下りる直前。アニー=渡辺さんが看護婦姿で、微笑みながら車イスを押してくるっていう演出。おお、ぞわぞわっとしたぞ~。
めっちゃ良かった!とは言えないが、全然アカン!とも言えない舞台でしたね。何か、一味足らない薄味な感じでした。とはいえ、渡辺さんを舞台で初めて見ることが出来たことが、大きな収穫です。

TEAM-NACS「COMPOSER」名古屋公演

2005-06-26 00:32:30 | 舞台
TEAM-NACS「COMPOSER」名古屋公演を観て参りました。すでに3公演目の観劇です。
大阪公演の時は広島公演と、名古屋公演の時は大阪公演と、どうしても比較してしまいます。大阪公演では、広島とは、台詞や、ちょっとした演出に違いがあり、がさがさしていた部分がスッキリとシャープになったと感じましたし、今回の名古屋は、大阪に比べて、しっとり感があって、テンションは低めだけれど、じっくりとストーリーを楽しめるように思いました。しかし、やっぱり、私は大阪公演が良かったと思ってしまいます。これはもう、芝居の内容どうこうではなく、関西人気質に因るものだと思います。まあ、なんていうか、盛上げ上手なんでしょうな、関西人は。相手を盛り上げて、自分も楽しむという…DNAに組み込まれている、商売人気質だと思う訳です。広島公演の時もNACSメンバーのテンションは高かったのですが、これは地方公演初っぱなの、緊張感・意気込みによるテンションの高さに見受けられました。大阪公演では、舞台の広さと、観客の数に負けないように、という気負いもあって、テンションが高かったのかもしれませんが、私は、舞台の大きさ・広さによる解放感と、同じくらいに開けっ広げで、何が何でも楽しもうとする関西人テンションに、感応したのだと思います。外タレが東京より大阪でライブする方が好きだという噂を聞いたのですが、これはマジだと思います。現に私も数年前、マリリン・マンソンのライブに行った時に、本人の口から聞きました。アホになれる関西人に囲まれると、きっとのれるんでしょうな。
今回の前半戦最後の名古屋公演は、その点、1番素材の美味しさがわかる舞台だったかもしれません。華美ではないけれど、厳選された材料で、真心込めて作られた素朴なお料理のように…ただ、毎日だと物足りない。たまには、おたふくソースたっぷりのお好み焼きとか、キムチ鍋とか食べたい訳です。なんで、後半戦、多少、浮ついた感があっても、テンション高く、演じ欲しいものです。
また、今回は席が2列目で、間近にメンバーを見ることが出来てラッキーでした。なんでしょ、見る度に、全員カッコよくなっている気がするのですわ。こっちの受け止め方が変化しているせいもあるし、注目されているという、本人達の自負もあるのかもしれない…よーするに、男は、やっぱり最後は仕事で見せるっ!ってことですかねぇ…?

ミュージカル「Mozart!」

2005-06-10 22:05:20 | 舞台
ミュージカル「Mozart」大阪公演を観て参りました。初演を見逃しているので、比べる基準が無く、予備知識も無い状態で観ました。なので、かなり独断と偏見になるかもしれませんが、ご容赦を。
オープニング、ははは、何故か、エリザベートを思い出しましたねぇ。墓場からのスタート。まさにエリザベートじゃございませんか?脚本のミヒャエル・クンツェ氏は、人の生死に重きを置く方なんだと推察致しました。エリザベートみたいと思ったのは、メイン以外のアンサンブルの方々もエリザベートで見知った役者さんが多数、出ていらっしゃったからです。あっ、この人、エリザベートのお姉さんだ!あっ、マダム・ヴォルフの娼館の女の子だ!とか…どんだけ、私がエリザベートに足を運んだか、おわかり頂けるでしょう?曲も、やはりエリザベートと同じく、シルベスター・リーヴァイ作曲なので、メロディアスで聞きやすい。って、エリザベートは置いといて、モーッアルトだよっ!
キャストが豪華…市村正親、山口祐一郎、高橋由美子、西田ひかる、久世星佳…市村&山口の劇団四季OBの顔合わせはゴージャスですよね。そして、私、山さん(山口祐一郎)が歌うのを、初めて生で見、聞きました。やっぱ、迫力ありますねぇ。あの体格から出す声だもの。しかし、思っていた通り、ビブラートが多いので、イマイチ、歌詞が聞きづらい。その点、市村さんは、歌はそこそこでも、ちゃんと明瞭に歌詞が聞こえました。高橋由美子さんは、ほんと、いつも感心する。安定した音程と歌唱力。ミュージカルスターはこうでなくっちゃ。以外とっていうと失礼ですが、西田ひかるさんも良かったですね。アイドルだったときは、こんなに歌が上手いとは思いませんでした。演技も良かったです。
さて、中川晃教君。やっぱり歌は上手かったんだけど、年始に観た「SHIROH」の方が、彼の魅力が出ていたような気がする。まあ、単に私の好みなんでしょうけど…とはいえ、モーツァルトの、天真爛漫というか天衣無縫、無邪気で純なキャラは、彼にピッタリ合っていると思いました。
で、舞台自体はどうだったのかと言うと、結構、醒めて見てました、正直…敵役・山さんとの対立も、父親・市村さんとの葛藤も、感情移入出来るほどでは無かった。ただ、前半中盤になってから、吉野圭吾さんが登場されたところから、興味を持って観ることが出来ました。吉野さんは「SHIROH」にも出てらっしゃって、その時にも、この人誰?と、非常に気になったのですが、今回も、あっ、あの人ぉ~!と、テンション上がりました。ダンスがカッコいい。手足が長い、顔も長い…?とにかく、非常に魅力的な役者さんです。話戻しまして…
比べる意味無いんですけど、やっぱりエリザベートと比べちゃう。どちらの主人公も自分の自我に目覚めるも、どうしようもない環境と状況、運命に翻弄され、自分らしく生きられず、葛藤する。エリザベートの場合は、女だから同調も同情も出来るのかもしれません。嫁・姑問題、世継ぎ・子育て問題、夫の浮気、子供の死と、感情移入するなって言う方が無理。そこに、妖しいフェロモン全開の死神に誘惑された日にゃぁ、ねぇ。そして、エリザベートの日常は牢獄のように自由が無い。
モーツァルトの場合は、自分の自我を押し通し、親兄弟も不幸にして、自由を得るために飛び出して行く。ちょっと言い過ぎですが、破滅して行くのも自分の身から出た錆も大部分ある。だって、結構、良い人生なんだもん、モーツァルト。
閉ざされた世界で自我を押し通すのと、飛び出した世界で自我を押し通すのとは、質が違う。その質の違いがイマイチ、乗り切れなかった最大の原因かもしれません。
また、むかつくわ、コイツゥ~ほどの山さんのイジメも無いし、切ないわぁ~と言うほどの親子間の親密さも表されてなかった。山さん演じるコロレード大司教は、有名な芸術家の脳をコレクションしている変態(キッパリ)。山さんの企みに満ちた顔が憎たらしい。だから、もっともっとモーツァルトを追いつめて欲しかったなぁ。
映画「アマデウス」、あれはやっぱり名作ですね。類い稀な天才で、強烈に下品なモーツァルト青年が、活き活きとしていた。彼の才能に嫉妬するサリエリも良かったし。死の床で、父親の亡霊に怯えながら「レクイエム」を作曲するモーツァルトには、天才の悲劇を感じることが出来た…「アマデウス」、もう一度見たくなりました。
「アマデウス」のラストにも出てくる、「レクイエム」の作曲を頼みに来る仮面の男。市村さん、仮面をつけて出ていらっしゃいましたが、確か、劇団四季時代には、「オペラ座の怪人」を演じられたことがあったはず。そのこと思い出しちゃって、1人ウケてました。
結局、もう一度、ストーリーが分かった状態で、再度見ることが出きたら、今度は細部にまで目が行届いて、楽しめるかもしれないな、という感じですね。

余談。梅田芸術劇場メインホール(旧・梅コマ)で「モーツァルト」の公演が行われていますが、その内2日間、地下のシアタードラマシティではTEAM-NACS「COMPOSER」の公演が行われていました。地下ではベートーベンの話、上ではモーツァルトの話…地下のモーツァルトは悪霊と化していたので、NACSの皆さん、上で高尚に上演している「Mozart!」に申し訳ないとコメントして、観客を笑わせておられました。

TEAM-NACS「COMPOSER」大阪公演

2005-06-07 23:34:31 | 舞台
とうとう、大阪公演!すでに広島公演を観てるとはいえ、やはり地元の劇場にやって来てくれるのって、単純に嬉しいです。また、広島公演では、舞台の高さが低かった為、前の方の列だと、役者の足下が見切れてしまうという…よー、そんな中途半端なステージで、芝居の興行なんか打とうと思うなぁ、ああぁ?と、設計者に心の中で凄んでしまいましたが、今回は、シアタードラマシティ。芝居を見せる為の劇場でございますもの、広島で感じたストレスは全くございませんでした。そして空間が広い。劇場は広けりゃ良いってもんじゃなく、どちらかというと、狭い方が、役者との距離感が縮まる気持ちがするし、密室感もあって、内容が濃く感じられるのですが、私はシア・ドラ(シアタードラマシティ)のサイズが好きです。そして、TEAM-NACSには、このサイズがいいと、何故か思っておりました。それは前作「LOOSER」のDVDを観た時に、ああ、この芝居、シア・ドラで観たいなぁ…と。きっと、よりダイナミックさと、風を感じられるだろうなぁと。今回の作品は、そんなに動きがある訳では無いのですが、クラシックをふんだんに聞かせるので、より良い音響は必要な作品。その点でもシア・ドラ向きだと思いました。劇場はさておき…
地元で観ているという安心感からか、また、TEAM-NACSの芝居が、公演毎に練られて進化しているせいかもしれませんが、非常に感情移入出来ました。なんだか、ささくれがとれて、滑らかな演技になっています…?うーん、何ていうか、広島では、「頑張ってる感」が強かったのですが、大阪では「川の流れ感」というか…まあ、美空ひばりの歌かっちゅう話ですけど…お芝居自体にも音楽を、旋律を感じられます。時には柔らかく、時には激しく、楽しげに、孤独にと、すべてが、美しい流れで演じられているような気がいたしました。これは、ストーリー自体にも、役者にも叙情的な感性があるからだと思います。大泉洋さんは、キャラや声や動きが、元来、すでに叙情的ですが、この大阪公演では、私、佐藤重幸さんにも叙情を感じました。広島公演から、また一枚、薄絹を脱いだような気がした、大阪公演でした。大変満足でございます。ただ、一点!これはリーダー森崎博之さんも言っておられたのですが、3公演だけでは少ないと…そーだろ、そーだろ?そー思うよねぇ、普通さぁ。ったく、もっと、ファンの数リサーチして、公演数考えろよなっ!と、森崎さんに激しく同意致しました。