わがまま日記~外伝~

徒然なるままに日々のこと、熱く、ロマンティックに、毒をもって、心のままに書き綴ります。

唐沢寿明「コリオレイナス」in大阪 2月17日

2007-02-19 00:22:19 | 舞台
久々久々の観劇と外伝更新です。
唐沢寿明さん主演の「コリオレイナス」を観てまいりました。
まず、オープニング、幕が開いた途端、舞台上が鏡張りで、客席が映し出されたことに、ビックリ。観客のどよめきと、拍手もチラホラと起りました。シンプルでありながら、ド派手な演出です。本当の鏡では無く、光の屈折を利用しているのか、何かの仕掛けのある素材なのかわかりませんが、徐々に透明な板になり、向こう側にいてる俳優達が見えてくるのです。そして、最後に扉のように左右に開かれて行き、舞台は始まります。舞台上には階段が設置され、最上段には四天王の仏像が置かれています。蜷川さんの演出は時々鬱陶しいと感じる事があるのですが(オレステスの雨とか、シアターコクーンの搬入口とか…)、今回は、私のツボにははまっておりました。
さて、唐沢さんですが、今まで「マクベス」「天保十二年のシェイクスピア」で拝見しておりますが、今回のコリオレイナスが、一番のはまり役のような気が致しました。勇敢で高潔で、プライドの高い戦士。しかし、石頭で融通が利かず傲慢で毒舌家。今風に言うと「損をする性格」ですね。長所と短所が表裏一体の人物。観ていて、あー、可愛くない奴、と思いました。可愛くない奴ではあるが、純な男で、これが唐沢さんにピッタリとあっていた気が致しました。今まで、相手役が大竹しのぶさんだったり、主役だけど、脇役がオールスターキャストだったりして、なかなか強烈な存在感を感じられずにいたのですが、今回は、文句無く「アンタが主役」って感じでした。テンションの高い不器用な男…イイ感じっす。
コリオレイナスのライバル、オーフィディアスの勝村政信さんも、相変らずカッコいい。とにかく声がイイですよねえ。唐沢さんとの殺陣も決っていて良かった。
しかしっ!男優ばかりがカッコいい訳じゃない。やっぱり今回もやってくれた…恐るべし、白石加代子さんなのでございます。常に舞台では女王なのです。脇役でも女王なのです。憧れてしまう存在感。弟子にして欲しいです…白石さんはコリオレイナスの母親ヴォラムニア。「母と子の破壊的な絆」とストーリー説明の一文にありましたが、破壊的っていう表現は如何なもんかと?そんなにマザコンぽくも無く、別に普通の親子関係だと思いましたけど?ただ、非常に知的で父親の役割も兼ねている強い母親ではあります。コリオレイナスを民衆に謝罪するように説得するところは、思わず感心してしまう台詞が続き、賢母ってこういうことね…と妙に納得してしまいました。
ストーリー的には、めっさ、イライラ致しました。コリオレイナス、ったく、融通の利かねぇ男だねぇ!絶対、こんな男と結婚せーへんわ。稲穂は実るほどに頭をたれるっつーだろ?謙虚って言葉を学ぶべきだね。高潔を貫き通す男って…最近はおらへんけども、おったらおったら面倒くせぇーな。でも、最後に身内の情に心動かされるところが、許せるわ…非常に母性的な立場に立って観ていた舞台でございました。