職場に釣り好きの上司がいる。海での船による釣りであるが。
とは言っても、釣りが好きなのは我々と同じ。
これまで、何度かお誘いを受けていた。
色々な人間に尻尾を振ることができる・・・いや、気遣いのできるタロー先輩はこれまでに何度も釣行している。
自分はタロー先輩のような「できる人間」ではないので、行き渋っていた。
しかしあまりにも何度も断れない。
今年になってから何度か行こうと試みたが、その都度天候不順で中止になってきたが、ようやく釣行できる時が来た。
船の釣りは場所取りが肝心らしく、早朝出船の場合、前日夜から船宿で席名簿に名前を書いておかなければならないらしい。
そのため、上司は前日の夜には船宿に到着していないとダメらしい。
しかし今回は、上司に先発してもらい場所取りをお願いした。
これまで行きから行動を共にしていたタロー先輩はどれほど気が楽だろうか。
よって、今回は結構気楽な形での参戦となった。
船宿があるのは千葉県の飯岡である。
ゆっくりと言っても23時には飯岡に到着。港を見ると、ベイトフィッシュが盛んに何かに追われている。
バス用のルアーで狙ってみるも反応がない。
タロー先輩はメバル用のルアーなども用意していたが、そちらも反応がないようだ。
すぐに飽きて、寒いこともあり、車内で過ごす。
自分はこういう時に簡単に眠りは訪れない。
しかしこの週は飲みが重なっていたこともあり、連日寝不足であったのですぐに眠りに落ちることができた。
翌午前3時。上司からの電話で目覚める。
「乗船受付始まったから、宿においでよ」
タロー先輩も起きだし、船宿に向かう。今回利用するのは「幸丸」という船宿である。
乗船名簿に記入し、代金を支払う。貸し竿代を含めて¥12,000である。
今回の狙いは一つテンヤという仕掛けでマダイを狙う。
朝食を済ませ、船宿から漁港へ向かう。身支度を整え、マダイ船である「第25幸丸」にいざ乗船。
まだ夜明け前の4時過ぎである。真っ暗の中、太公望たちがそれぞれの船に分かれて準備にかかる。
自分は船の釣りは初めてではないが、ハゼ釣りやアジ釣りといった湾内の小物釣りだけのものだったので、外海に出るような本格的な船釣りは初めてである。
そして5時5分前に港を出港する。
港は各方面、各魚種を狙う釣り船で活気があふれていた。
ポイントは港から30分ほど走った波崎沖あたりを狙う。
ポイントに到着すると、船頭さんの合図とともに一斉に釣りが始まる。
しばらくすると夜が明けてきた。
水深はだいたい20m~30m。今回は5号おもりのテンヤ仕掛けを使い、様子を探る。
潮の流れなどでなかなか底をとりづらいが、徐々にやってくると慣れてくる。
そして我々のファーストフィッシュは自分であった。小ぶりであるが鯛である。
この時は「ハナダイ」だと思っていたのだが、帰ってから調べてみると「マダイ」であった。
ハナダイとマダイの違いは尻尾が黒く縁どられているのがマダイである。
その後、タロー先輩、上司にも小型の鯛がヒットする。
アタリが止まるとポイント移動。その都度、船の中ではどんどんと釣り上げていく。
中にはいいサイズのマダイをヒットしている人もいた。タロー先輩もまずまずのサイズを釣り上げていた。
外道好きのタロー先輩にはタイ以外にもフグやウマヅラハギなども釣っていた。
自分は途中から底をとりやすくするため、1号重くして6号サイズのテンヤを使う。
やはり底をしっかりと取るとアタリが多くなる。
バイト→電撃合わせはバスと同じ要領である。グングングンという小気味いい引き味が楽しめる。
1度、これまでと違う大きい引き味があったが、上げている途中でばらしてしまった。
お昼の12時には上がりである。結局5本の鯛を釣ることができた。
船宿に戻ってから、カレーの昼食とシラスの味噌汁で体を温め、船釣りは終了となった。
予想以上に面白かった。また違う魚種で参戦してみたいものだ。
しかしタロー先輩がいるとこれで終わりではない。午後は利根川に行き、バス釣りである。
前回でファイナルであったはずであるが、こういったチャンスを逃すわけがない。
横利根川入口で開始する。
もはやここのレポートは必要ない。
自分はやる気もなく、ノーフィッシュ。タロー先輩はまたしてもコバッチーを釣り上げたらしい。
結局、純輝で早目の夕食をとり、帰宅。
翌日、釣り上げた鯛を調理する。と、いっても実家に持っていき、板前である父にやってもらう。
焼いてもらった鯛は1つはそのまま食べ、1つは鯛めしにした。
土鍋で炊く。ちょいと水分が多くなってしまったが、おこげもできて鯛のうまみもいい感じででている。
鯛をほぐしてかきまぜ、彩りと風味づけで小ねぎとミョウガの千切りを散らす。
実家でもらった大間のマグロとカツオのたたきとともに、豪勢な夕食となった。
しかし、やはりどれだけおいしい食材の料理でも孤食では虚しいだけである・・・。