Make a case forは「擁護論を唱える」というイディオムだ。
WSJにAsia's stalling exports make the case for stimulusという記事が出ていた。
「失速するアジアの輸出が景気刺激策を擁護する」という意味だ。
先週金曜日に中国が発表した4月の輸出額はドルベースで前年同月比6.4%減少した。また台湾の輸出額は11.7%減少。これは過去5年間で最大の下落幅だった。韓国と台湾の輸出額は今年に入って下落を続けている。
第1四半期冬の悪天候のため、著しく鈍化した米国景気は第2四半期には反発する可能性が高い。欧州では需要回復の兆しはあるが、ユーロ安で輸出需要は弱い。
中国・韓国・台湾などの輸出主導型の経済は大きな曲がり角に差し掛かっている。幸いなことに、インフレが鈍化していることと、アジア諸国の公的債務比率が相対的に低いことを考えると、一層の景気刺激策を取ることができる余地は大きいというのがWSJの見立てだ。
韓国・台湾の輸出額の1/3は中国向け。中国に輸出されるのはセミコンダクターや自動車部品で、中国はそれらを組み立て米国に輸出している。だから米国の景気が鈍化するとアジア諸国の輸出が鈍化するという構図が続いている。
円やユーロは米ドルに対して下落しているが、アジア諸国の通貨は円やユーロほど弱含んでいない。このため円安が進んだ日本に較べると相対的に輸出競争力が低下しているという問題もある。
中国ではすでに金融緩和策が実施されているが、舵取りを間違うと不良債権が積み上がる可能性が高い。
4月の雇用統計は米国の経済は「温帯域」に着地しそうなことを示唆するものだったが、温帯域では恩恵がアジア諸国の輸出を拡大するには弱そうだ。アジア諸国にとって抜本的対策は時間がかかるが、国内消費拡大策を模索するしかないのである。
それには個人や環境優先の発想転換が必要なのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます