小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

なぜ永田町で解散風が吹き出したのか? 安倍総理の狙いが分かった。

2016-10-17 09:33:47 | Weblog
 働き方改革はまだ政府内で具体策が固まっていないので、とりあえず10月に入って永田町で唐突に吹き出した解散風の意味について考えてみたい。(文中、敬称略)
 通常、解散風が吹き出すのは、解散の1か月ほど前である。たとえば前回の衆院選(2014年12月2日公示、14日投開票)でも、安倍がAPEC首脳会議を皮切りにASEAN関連首脳会議、G20など海外の主要会議に連続して出席するため日本を離れている間(11月9~17日)に、永田町で唐突に吹き出した。出発当日、安倍はメディアの番記者の質問に「解散のことはまったく考えていない」と断言して日本を飛び立ったが、安倍の海外歴訪中に永田町で一気に解散風が強まり、帰国直後安倍は「アベノミクスの継続について国民の信を問う」という“大義名分”(?)で解散を決めた。
 そもそも安倍が自民党内で浮いている状況だったら、「鬼の居ぬ間に洗濯」といった類の反安倍勢力によるクーデター的解散風ならいざ知らず、同年9月の内閣改造で総裁選でのライバルだった石破茂を幹事長から外して地方創生相に追いやるなど、すでに安倍の強権体制は自民党内でほぼ確立しており、安倍の意向を無視して解散風が吹き出すわけがない。おそらく高村らの安倍に忠実な取り巻き執行部が、携帯電話やメールなどで海外にいる安倍の指示を受けながら計画的に解散風を強めていったと考えられる。今回の解散風も当時の状況と似た感じがするが、3か月以上も前から風が吹き出すのは異例中の異例だ。

 安倍は当初、先の解散・総選挙で民主党との争点を消費税再増税の延期問題にするつもりだった。民主党が3党合意に基づいて14年10月に再増税すべきだったと主張するだろうと考え、一気に民主党潰しを考えていたと思われるが、肝心の民主党が3党合意による消費税10%の延期にこだわっておらず、やむを得ず安倍は「アベノミクスの継続について国民の信を問う」という、争点になりようがない解散・総選挙に踏み切ったのだ。
 自慢話を書くつもりではないが、このときの公示日の翌日(12月3日)に投稿した『総選挙を考える④ アベノミクス・サイクルはなぜ空転したのか』と題したブログの末尾で、私はこう書いた。

 いずれにせよ、今回の総選挙は憲政史上空前の低投票率を記録することだけは間違いない。結果として国民に選択肢がないため(野党が効果的な経済政策を打ち出せないため)、自公連立政権は継続することも間違いないが、はっきりしていることは選挙の低投票率は、国民が突き付けたアベノミクスに対するNOであることだけは言っておく。私の周辺には「今回の選挙には投票に行かない」という人たちが大半である。昨日から選挙戦は本番に突入したが、「こんなに盛り上がらない選挙は、かつてあっただろうか」という有権者の反応の実態がもうすぐ見えてくる。

 実際、このときの投票率は戦後最低の52.66%だった。メディアが「戦後最低」と報じたので憲政史上最低だったかどうかは不明だが、おそらくメディアが正確に調べていれば戦前・戦中を含め明治維新以降の憲政史上で最低の投票率だったのではないかと私は思っている。
 それでもこのときの投票率は私の予想より高かった。投票日直前に各メディアが世論調査により「自民300を超える勢い」と報じたため、びっくりした無党派層が投票所に足を運んだ結果、私の予想を上回る投票率になり、その無党派層が消去法で共産党に票を投じた(比例代表区)と考えられる。その結果自民の当選者は300をかなり割り込み289人にとどまった。
 おそらく今予想されているように、来年1月の通常国会冒頭で安倍が衆院解散・総選挙に打って出れば、投票率は50%を切る可能性すらあると、私は考えている。ただ先の解散・総選挙のときのように、メディアが投票日直前になって自民大勝の世論調査結果を報道すれば、投票所に足を運ぶつもりがなかった無党派層が急きょ足を運ぶ可能性もある。その時までに新進党が実現可能な魅力的なマニフェストを打ち出せれば、無党派層の支持を受けることが出来るかもしれないが、それが不可能だった場合はやはり共産党が漁夫の利を得る可能性が高い。ただし先の参院選のように小選挙区で野党協力が機能すれば、民進党は小選挙区で当選者を増やす可能性はある。が、その場合でも比例代表区では新進党はかなり苦戦すると思われる。
 ただ野党共闘が実現するかは、まだ不明だ。民進党は小選挙区で共産党の力を借りたいだろうが、総選挙は国民に党の考えをアピールする最大の場である。これまで共産党は勝ち目がなくてもすべての選挙区で立候補者を立ててきた。共産党への支持率が少しずつでも上がってきたのは、そうした粘り強い戦いの結果でもある。先の参院選の1人区で共産党が立候補したのは香川県のみ。共産党が強い選挙区ではない。民進党にとっては形ばかりの借りを返したにすぎない。そうしたことへの不満が共産党員の中で渦巻きだしても不思議ではない。私は来年1月の総選挙の小選挙区で無条件で民進党議員を応援するとは思えない。もし野党共闘から共産党が外れたら、民進党は無残な結果になる。

 12月15日にはロシアのプーチン大統領が来日する。北方領土問題を巡って一定の進展が期待されてはいるが、外交はふたを開けるまでわからない。蓋が空いても、ひっくり返ることさえある。また外交の勝利で自民党の当選者が増えるという保証もない。過去の例を見ても、沖縄返還直後の総選挙では自民党は議席を増やしたが、日中国交回復直後の総選挙では自民党は議席を減らしている。来年1月の総選挙も、先の参院選のように野党協力が行われれば民進党は小選挙区でかなり議席を増やす可能性があり(比例代表区では減少するだろう)、一方共産党は無党派層の風を受けて比例代表区では議席を増やすことも考えられる。つまり、日ロ外交の成果が自民党にとって必ずしも有利な選挙状況をつくってくれるとは言えないのだ。

 ところで現在国会では、自民党の憲法改正草案を巡って、衆参で与野党の議論が盛んに行われているが、もし来年1月に解散・総選挙を強行すれば、安倍は何を選挙の争点にしようとするだろうか? 
 前回と同様、アベノミクスの継続を国民に問うのか。それとも憲法改正を無理やり争点にするつもりなのか。少なくとも「働き方改革」は争点にならない。
 すでに民進党は安倍の手のひらで踊らされている。民進党代表の蓮舫は自民党の憲法改正草案の一部について安倍に何度も噛みついている。たとえば家族の在り方も、蓮舫が主張するように憲法が国民に強いるような話ではないのは自明だ。そもそも大家族時代が崩壊して核家族時代に移行し、それに伴って少子化が急速に進んだのは先進国に共通した時代の流れであり、自民党草案はあたかも大家族時代への回帰を目的にしていると考えられないことはない。そんなことは、憲法でどんな家族論を打とうが不可能なことだ。
 憲法と法律の関係は、欧米を中心に議会制民主主義政治が世界各国に波及して以来、憲法は権力者(立法府)を縛るものであり、立法府(国会)で成立した法律は国民を縛るというのが大原則である。
 たとえば殺人罪についての刑の軽重は憲法で決めるべきことではなく、かつては自分の祖父母・両親・おじ・おばなど親等上、父母と同列以上にある血族(尊属)に対する殺人を、尊属以外への殺人より重罪としていた「尊属殺」は、憲法14条が定める「法の下の平等」に違反した法律だという判断が1973年4月、最高裁で下されて廃棄されたことすら憲法改正草案を作った自民党議員たちは忘れているようだ。
 さらに自民草案は「個人の自由」にも制限を盛り込もうとしている。つまり自由や権利には責任と義務が伴うというのだが、そんなことは民主主義社会では憲法に盛り込む必要のない自明の原理原則であって、法律は憲法で保障された自由に対しても憲法に抵触しない範囲での制限を設けている。憲法は基本的人権に基づいて個人の自由を認めているのであって、窃盗や殺人など犯罪の自由まで認めているわけではない。言論の自由にしても、現在の法律は無制限に認められているわけではなく、憲法で自由に制約をつくれば、それはもはや民主主義国家の憲法ではなく、共産主義国家の憲法と言わざるを得ない。
 安倍は蓮舫の自民草案批判に対し、「草案は谷垣総裁の時代につくられたものであり、私は関与していない。私は憲法改正のたたき台と位置付けている。民進党は自民草案を憲法改正のたたき台にしたくないのであれば、民進党の憲法草案を提出していただきたい。そのうえで、憲法審査会で大いに議論しようではないか」と余裕すら見せている。すでに安倍は、民進党が党として憲法改正草案などつくれっこないと読み切っているからだ。
 実際、蓮舫は代表選で勝利した後、「批判するだけでなく、提案・対案を出して国民に信を問う」と宣言したが、現実問題として野合政党に回帰した民進党で安全保障問題や憲法改正問題など、日本という国の在り方を巡っての民進党としての一致した政策を出そうとすれば、民進党は再び四分五裂しかねない。
 自民党もアベノミクスの崩壊によって経済政策や社会保障政策で行き詰ってはいるが、民進党も「では、どうすべきか」という対案が出せないままだ。選挙の際に各政党が掲げるマニフェストは、単に「絵に描いた餅」にすぎず、本当に食べられる餅にするにはどういう政策をとるべきかはどの政党も国民に語ろうとしない。が、政権の座に就いたら「実はマニフェストは絵に描いた餅でした」とは言えない。実際に食べられる餅にするための政策を提案し実行に移さなければ国民から見放される。実際、戦後衆院選で最大の308議席を獲得しながら、結局絵に描いた餅を食べられる餅に出来ず(つまり政策を提案し実行に移すことが出来ず)、国民から見放された旧民主党政権時代の反省抜きに再び野合政党に復帰した民進党への国民の信頼を回復するのはきわめて厳しいと言わざるを得ない。
 自民草案も、現行9条について現在の矛盾を解決しようと、自衛隊を「国防軍」と改め、自衛権を盛り込んでいるが、すでに現行9条は解釈改憲を何度も重ねてぼろぼろになっている。いまさら「国防軍」に名称変更しようが、自衛権を挿入しようが、事実上そういう状態に今の安全保障体制はなっている。ま、確かに「国防軍」に名称変更すれば、これまでのように「実力」などと外国人には理解できない位置付けを止めることが出来るようになるが…。
 
 現在自公だけでは参院では3分の2以上の議席に達していないが、日本維新の会や日本のこころなど改憲支持の野党との協力体制が確立すれば3分の2以上を占める。すでに衆院は自公だけで68%を占めており、現時点でも衆院では改憲の発議を行える状態にある。しかし総理の解散権は衆院にのみ認められており、いくら絶大な権力を誇る安倍でも参院を解散することは不可能だ。ではなぜ来年1月に衆院を解散する必要があるのか。安部にとって…。
 実は自民党の党大会は毎年1月の通常国会の前に行われている。その党大会を安倍は3月に延ばした。来年の党大会で重要なことを決めなければならないからだ。はっきり言おう。総裁任期についての党則を変更するには、総裁任期を2年しか残していない安倍にとって、再来年の党大会まで待てないからだ。
 つまり安倍の真実の狙いが、権力のさらなる強化を図り党則を改正すべく解散・総選挙をやるというのなら、安倍は小泉劇場の再現を目指しているのかもしれない。小泉は郵政民営化を実現するため、衆院ではかろうじて法案を通過させたものの、参院で過半数の支持を得ることが困難な状況で衆院を解散して総選挙を強行し、衆院で法案に反対票を投じた自民党議員(全員除名)の選挙区に落下傘部隊を投入し(例えば反対票を投じた小林興起の選挙区である東京10区では小池百合子を自民党公認候補として擁立し小林を落選させた)、衆院における小泉支持勢力を一気に拡大した(この選挙で当選した新人議員を小泉チルドレンという)。結果、参院では民営化に反対する自民党議員が一人も出ず、小泉は郵政民営化に成功した。
 安倍は小泉劇場の再現によって来年の党大会で党則を改正し、長期政権を図ろうとしているのだろう。論理的に考えると、そういう結論しかありえない。


 

 









 

 
 
 
 
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