とある綾野剛ファンの思い出語り

気がつけば人気俳優の綾野剛さん。たまたまデビュー以来見ていたものとして、少しだけ思い出を語っています。

「日本で一番悪い奴ら」

2017-06-01 00:07:30 | 綾野剛
 北海道警で実際に起きた不祥事をもとにした映画だそう。
 柔道の成績を買われて警察に入った主人公が、拳銃検挙のヒーローとなり、実績を上げ続けるために組織ぐるみで平然と悪事を行っていく。

 軋んだ正義感に飲み込まれそうになる自分を律するのが大変だった。

 以前に、「そこのみ…」の記事でだったか、ブレイク前と後の綾野さんの質感・重量感が変わった、と書いたかと思う。
 増量し、オヤジ臭さを出すためにアレコレ不潔な工夫を凝らしたというこの映画での綾野さん…。固太りしたぎらつく目の男は自分が恋情に堕ちた儚い風情の佳人とは対極だった。
 でもこのころはすでに自分の中で質感の違いに折り合いをつけていた。他愛のないおとぎ話を作り出して自分で自分を救ったのだけれど、それはまた別の話。別の機会に。
 スクリーンを見ながら、なんというか、ああずいぶん遠くまで来ちゃったな…と思うだけだった。

 綾野さんの人気が出て。
 出過ぎて。
 いろいろ好き勝手なことをいう人はいるんだろうな、と思う。
 特にプライベートなことに関して。
 懸命に目をつぶり、耳を押さえるようにしていても、うっすらと感じ取れる。
 でも、役者は演じたものがすべて、と自分は思うわけで。
 作家は小説が、音楽家は曲が、画家は絵が評されるべきすべてであり、本人がどうであろうと構わないと昔から思っていて、役者は演じた結果がすべてで。
 あの若さであそこまで体当たりでハッちゃけた演技をする役者がいるなら、作品を作る側は使いたいだろうと思う。全身全霊で作品に向かい合おうとする役者であれば。

 そんなことをうっすらと頭の片隅で思いながら、ガクブルへっぴりを虚勢でドーンする場面とかゲヘゲヘ笑いながら悪いこと考えるとことか支離滅裂無茶振りするとことかアヘ顔とか見てたわけですが…。
 最後の最後のほうで膝を抱えてちんまりと座っている場面が。
 「孤独な惑星」で踊り場に猫のように座っていたころと肩や背中のラインがおんなじで。
 この極北までたどり着いてしまった男の中に、あの細こい青年がいるのだと急に気づいてしまって。
 ツイートに「胸の奥で鈴が鳴ったように感じた。」と書いた。
 うまく言葉にできなくて、そうとしか表現できなかった。