とある綾野剛ファンの思い出語り

気がつけば人気俳優の綾野剛さん。たまたまデビュー以来見ていたものとして、少しだけ思い出を語っています。

実写版「ルパン三世」~昭和アニオタの繰り言~

2016-01-26 23:32:35 | 綾野剛
 地上波放映もされたことだし、先日某ジブリ作品の話題をきっかけにアレコレ記憶が掘り起こされたので、ちょっと垂れ流してみようかと。
 綾野さん成分ほとんどないです。
 かつてのアニオタの独り言。

 「ルパン三世」が小栗旬氏主演で実写化されると聞いたときの自分の反応は「ふーん」だった。それ以上でもそれ以下でもない。
 そのニュースに対する世間の反応についても「ふーん」だった。

 イメージが崩れる?
 じゃあ、あなたのイメージするルパン三世はどれ?

 自分が把握しているだけで
 ・原作
 ・テレビ第1シリーズ(1971~72)通称「旧ルパン」
 ・劇場版第1作「ルパンVS複製人間」
 ・テレビ第2シリーズ(1977~80)通称「新ルパン」
 ・劇場版第2作「カリオストロの城」(1979)通称「カリ城」
 ・テレビ第3シリーズ「ルパン三世 パートIII」(1984~85)
 これ以降の劇場版や膨大な数のテレビスペシャルについてはまったくわからないが、少なくとも上に挙げただけでもそれぞれまったく作品の雰囲気もキャラクター造形も異なっている。

 おそらく現在最多数のイメージのもととなっているのはカリ城ではないかと思う。
 寡黙な五右衛門とか埼玉県警な銭形とか。
 でもね、リアルタイムを経験した自分の体感として、カリ城は興行的に大失敗でした。
 一部のアニメファンからは圧倒的に支持されたけれど、やらかしてしまった宮崎駿氏はその後しばらくアニメ界から干され、支持者であるアニメ誌の編集長からマンガの仕事をもらった…というのが、事実がどうなのかは知らないけど、当時のリアル厨房である私の目にはそう映った。(ちなみに私は支持していた口)
 人気のあった新ルパンは全体に軽いノリで、五右衛門だってけっこう軟派でおしゃべりだし、埼玉県警のさの字も出てこないですよ。

 長々と書いてしまったけど、要するに、アニメ版だけでも多様なイメージがあるのに、実写版が一つ増えたくらいでガタガタいうこともなかろう、というのが最初の自分の印象でした。

 が。
 しかし。

 しばらくして監督の名前を聞き、頭を抱えることになる。
 自分、綾野さん以外の役者さんにもハマった経験ありで、出演作を漁っていて北村監督の「VERSUS」も見たのですよ。
 海外の評価のすばらしく高い作品なのですが、目まぐるしく移り変わるアングル、臨場感を求めた手ぶれカメラ、すさまじいアクションの応酬に、わたくしあっという間に酔ってしまいまして。ついでにグロ成分てんこもりで。
 ふらふら状態で横たわり吐き気をこらえつつ横目で画面を視野の隅に入れる、という状態でした。
 別の作品を見たときはそこまで体調不良に陥らなかったけれど、ものすごくオシャレでカッコイイ、けど画面の動きが凄すぎて何が何だかさっぱりわからない、というのが北村作品のイメージとなりました。

 というわけで、監督名聞いたとき途方にくれましたね。劇場でいつかみたいに死にかけになったらどうしようと。

 でも劇場公開になると「意外とよかったよ」という声がちらほら聞こえてきたので、重い腰を上げました。

 ええ、意外と悪くなかった…けど…これはガッチャマンでアニメ作品実写化に対するハードルが恐ろしく低くなっていた…という気も無きにしもあらず。

 画面はやっぱりアクション凄すぎてアングルもカット割りも凄すぎて何が何だかよくわからなかったけれど、「おーすごいー」とつぶやける程度には見やすかった気が。そりゃ十数年経っているから洗練もされますよね。

 個人的には脇役のおじ様おじい様あたりがかっこよくてよかったなと。おじさまじいさまがカッコイイ作品には点数が甘くなるのです。

 小栗さんは頑張ってました。ええ。プレッシャー大変だったと思うのですが、頑張って雰囲気作っていたと思います。むしろ雰囲気作りすぎていてなんとなく気の毒になりました。ルパン一味の前日譚ということであそこまで設定を好き勝手しているなら、従来のイメージに引きずられる必要はないのではないかと自分なんかは思うのですが、そうなってくると作品が「ルパン三世」である必然性も薄れるというわけで、難しいところです。

 ルパンと次元が組んで泥棒家業を始めたところの描写が、銀行からの紙幣強奪やカーアクションなどがもろにカリ城リスペクトだなあと。

 で、五右衛門ですが。
 インタなどによると撮影がすごく大変だったらしいのですが、その辺あまり伝わってこなかったのは私の目が節穴ですかそうですか。
 潜入のタイミングを見切るためにボロボロになっていく描写とか、正直よくわからなかったのですわ。
 全体に1970年代的空気が満ちていたのに、ところどころものすごく最先端のハイテクなのがなんだかちぐはぐに思えてしまって。
 自分の目の届く範囲で「ぴったり!」と叫ばれていたほどにはジャストなイメージではなかったように思うのですが、なら他の誰かがもっとよく演じられただろうかと考えると、やはり綾野さんしかいなかったかなとも思うのです。
 クローズ2で綾野さんが露出し始めたころ「バガボンドの小次郎そっくりでね?」と言われまくっていて、今回ある意味その疑似体験となった気も。

 まあなんだかんだ言いつつ楽しめたのですが、見終わって自分の頭を支配していた思考は「これゲストキャラとルパンの薄い本が出そう」だったという(苦笑)