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伊達公子

2009-05-13 20:03:33 | 日記
昨年4月、12年ぶりに現役復帰したクルム伊達公子(エステティックTBC)。同月カンガルー杯でシングルス準優勝、ダブルス優勝を飾ると、6月の東京有明国際では、復帰後初となる、シングルスで優勝を果たす。さらに、今年1月には、全豪オープンに予選から参戦し、3つ勝ち星を重ねて本戦に出場。3時間におよぶ大熱戦で惜敗したものの、38歳の挑戦に世界中が注目した。

 5月24日から開幕する全仏オープンを前に、改めて復帰した理由、そして目指すゴールについて語ってもらった。

■「失うものはないし、いける所までいってみよう」
――まずはどのような経緯で現役復帰を決めたのか教えてください。本格的なトレーニングを行うきっかけになったのは、2008年3月に行われたシュテフィ・グラフ(ドイツ)らのエキシビション・マッチだと聞いていますが、その時点ですでに「現役復帰もいける」という手応えを感じたのでしょうか?

 トレーニングを行う段階では「いける」という感触まではなかったのですが、「現在の自分の実力を試してみたい」という思いになったのは確かです。ただその時点ではまだ「日本での試合」の挑戦を考えただけであって、「世界へ挑戦したい」という気持ちは1パーセントも持っていませんでした。自分が戻れるレベルの場所ではないと思っていたし、とにかく国内大会で現在の自分の力を試してみたいと思っていました。

――スポーツ選手は上のレベルを目指す事でモチベーションを上げて、常に自分を緊張状態に置きたいという気持ちもあると思いますが、伊達選手の世界挑戦も同じような意味合いなのでしょうか。

 私も緊張感は嫌いな方ではないです。そもそも、復帰してもまったく勝てない可能性がある中で、「現役復帰」という難しい決断をしました。それが実際に試合を重ねていくと、思ったよりも体が順応するし、成績も少しずつ良くなって、ランキングも上がりました。だったら、そもそも失うものはないし、いける所までいってみようと。
全豪オープンについても、テニスの世界はランキングですべてが決まるので「出たい」と思って出れるものでがないし、実際に予選を狙える位置にきた段階で初めて視野に入ってきて、だったら行かない理由はないなと考えたんです。

――今年4月にスペインで優勝(※4月12日、スペインのモンゾンでITF7万5000ドル大会優勝)したことによって、モチベーションが上がっているんじゃないですか?

 このところ、けいれんがあったり肉離れをしたりと試合の度にアクシデントが起きて、リードしている試合も勝ち切れませんでした。もどかしい状況がずっと続いていただけに、7万5000ドル(約750万円)というITFの中では2番目に大きな大会で、しかもヨーロッパの中で勝てたというのは、自分にとってさらに上を目指すいいきっかけになったと思います。ただWTAの大会(ITFはWTAの下部大会)というのは本当にタフなので、今の自分のテニスではまだまだ通用しない。WTAの大会の中でもまれる機会が増えればいいんですけど、このランキング(137位、5月11日付)だとそういった機会も与えてもらえない。ですので、どこかでギャンブルをしないといけない。次のポルトガルで生かせれば、100位あたりが少し見えてくると思います。

――伊達選手にとって世界挑戦とは?

 引退前は世界のトップを夢見て走り続けていました。今も基本的なスタンスは昔と変わらないんですけど、トップ10を目指しているわけではありません。一度テニスを離れたことによって、テニスというスポーツの魅力を私自身が再認識したんです。
 日本では、テニスの競技人口は多いけれど、ポピュラーなスポーツになり切れていない部分がある。だから今は、「テニスという競技の魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたい」という気持ちで続けています。世界の子供たちにテニスの楽しさを知ってもらうイベント「キッズテニス」を引退後に始めたのも、その気持ちからだったんです。
自分への挑戦という部分では、38歳という年齢や12年というブランクを理由にして自分自身で限界を作ったりせず、これからも可能性を広げていきたいと思っています。以前は試合に負けたり自分が納得できないプレーをすると、「この世の終わりが来た」みたいに落胆していました。当然今も負けることは嫌いだし、楽しくはないですけど、すぐに切り替えられるようになりました。