徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 人名の世界地図 21世紀研究会

2019-05-22 12:15:47 | 日記
徐仙日乗 読書 人名の世界地図 21世紀研究会 文春新書
読了 読書メーターと重複

ヒトの名前ってのは恐らく社会の成立と共にあったはずで、その考察、記録は膨大な量にのぼり、その中に分け入って、大きな傾向のようなものを紹介している。結びの「人種とか民族、宗教が異なり、それが問題になった時には、名前は先鋭的な意味をもってくる」なる一文に集約されている。印象に残る記述、生まれたばかりの子供には悪い名前をつけて悪霊とかに取り憑かれ無いようにする(西欧以外で多く見られるらしい)。ユダヤ人の苗字には当時の領主から買い取った由来の物がある。欧米の黒人奴隷の命名とかアイヌの命名とか歴史が新しく、宗教の権威外の話なので、リアルな歴史の事情が読み取れる。これは収穫であった。名前の研究は各地の民族の古層を掘り起こすってことらしい。日本にいては分かりにくい感覚。

徐仙日乗 読書 帝都物語〈9 喪神篇〉 荒俣宏

2019-05-21 06:55:48 | 日記
徐仙日乗 読書 帝都物語〈9 喪神篇〉 荒俣宏 カドカワノベルズ
読了 読書メーターと重複

執筆は昭和の後期。昭和天皇がかなりヤバイ方法で長寿を保っているって設定が面白いというか酷い。世紀の変わり目辺りで践祚、遷都が実行され「東京」は捨てられるって芳ばしい計画が権力者の側からチラリホラリ。この小説は各巻書下ろしなので、途中で崩御があったらどうするつもりだったのだろう。結果としては昭和の内に完結したのだが、その二年後に昭和は終わる。色々と想像を刺激する話ではないか。

徐仙日乗 読書 あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅 城戸久枝

2019-05-20 07:25:57 | 日記
徐仙日乗 読書 あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅 城戸久枝 文春文庫
読了 読書メーターと重複

良書にして労作。満州残留孤児でその後帰国を果たした父親のことを娘が描いたノンフィクション。重くて劇的なテーマだが、それだけに距離の取り方が難しいと推測できた。父親に聞く娘、娘に話す父親って関係だけでも一筋縄では行かないのが分かる。「人を得た」ことによってこういう貴重な記録が残されたってことは言える。全編金持ちも都会も全く出てこない。逞しい草の根の記録、記憶が抑制された筆致で淡々とつづられている。例えばチャイナ・文革の記録とか少し前の旧満州の田舎の描写とかが印象に残った。どちらも庶民目線からの物。

徐仙日乗 読書 帝都物語〈8 未来宮篇〉 荒俣宏

2019-05-09 12:07:27 | 日記
徐仙日乗 読書 帝都物語〈8 未来宮篇〉 荒俣宏 角川文庫
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とうとう執筆当時を追い越してしまったみたい。今読むと、想定された時代すら昔になってしまい、しかも近未来というか近い将来なので、執筆当時の歴史を確認・思い出しながら読み進めるという屈折した読書となった。オマケに通俗的に言うと「内輪受け」のノリもかなりあり、屈折は更に角度が大きくなる。帝都を滅ぼそうって話なので、終末感が漂うわけで、例の「ノストラダムスの大予言」も入っていたのだろう。ネタバレだが三島の将門の夢の対決もさることながら、東京がスラム化する設定と理由がユニーク。作者の好きそうなテイストに脱帽。小生も好き。築地本願寺スラムに住む老巫女、似合いすぎでしょ。

徐仙日乗 読書 リング・リング・リング―女子プロレス純情物語 つかこうへい

2019-05-07 20:18:56 | 日記
徐仙日乗 読書 リング・リング・リング―女子プロレス純情物語 つかこうへい 角川書店

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図書館本。70年代後半から90年位までの つかこうへいの勢い・ブームをリアルタイムでに見てきた世代なので、懐かしさは当然としても、破壊力のある言葉遣いを改めて確認出来た。芝居側だった人間としては「小劇場の雰囲気」が心地良い。映画、小説よりやはり劇場で鑑賞するべきって気がする。本作は多分、当時全盛の女子プロレスラー長与千種とのタイアップの様な企画から生まれた作品だと思うが(映画を見た様にも思うが感心しなかった)、まぁ酷い描き方は目を覆うばかり。まぁ、つか作品の登場人物になってしまったら仕方がないわけだけど、何となく納得させられてエンドを迎えてしまう。始末が悪いことに「酷い描き方」自体が異常に面白かったりする、ここら辺は作者の独壇場。今風に云うとドS、ドMってまとめで済ませることもできそうなのだが、それは余りにも表層的であると気が付いた。当時の社会に溢れていた圧倒的な差別と貧困と挫折を考慮しなければならない。昔の女子プロレス
の持っていたいかがわしさはつかこうへい的世界そのものってくらい親和性が高い。登場人物が皆んな生き生きしている。