短歌：流（閏）

神流湖を臨む夜深のドライブは金比羅橋から新井さん家へ



Hail Sathanas.

短歌：転（閏）

観測史上２位の暑さの春の日に回転扉の軽さに魂消



Hail Sathanas.

短歌：間（閏）

朱に染まる野間トンネルを１ハロン下りて眺めるしおき場の朝



Hail Sathanas.

短歌：部（閏）

さかさまの顔が見ていた朝４時に矢部マンションの黒い部屋から



Hail Sathanas.

短歌：理（閏）

天理ダムバス停横の電話室の受話器の赤はきっと口紅



Hail Sathanas.

短歌：軽（閏）

軽井沢大橋に車を停めて天狗神社の鳥居を潜り



Hail Sathanas.

短歌：先（閏）

七日間引っ越し先の各部屋に置いた日本酒飲み比べたり



Hail Sathanas.

短歌：割（閏）

廃屋を刺す蒼天のホームラン割れた窓から飛び去る鬼火



Hail Sathanas.

短歌：イタリア（閏）

ナポリから来た先生も苦戦するサイゼメニューの間違い探し



Hail Sathanas.

短歌：猫と犬（閏）

人間は餌をくれ、撫で、愛でてくれる ― 彼らは神に違いないワン／やはり私は神に違いにゃい



Hail Sathanas.

短歌：様（閏）

組長の部屋の掃除を命じられ発掘したるああっ女神さまっ



Hail Sathanas.

短歌：四角（閏）

親指のやや長かった５人目を誰ひとり見ていないスクエア



Hail Sathanas.

短歌：連（閏）

四尾連湖（しびれこ）の岸で楽しむ焼肉と時空を越えた牛の怨念



Hail Sathanas.

短歌：喫茶店（閏）

目の端にあの顔がある宮古島喫茶いずみの二階の窓の



Hail Sathanas.

短歌：焼きそば（閏）

UFOが口から溢れ涙した折のモノクロ写真がこわい



Hail Sathanas.