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日々の雑感

SOIL ~現場を分析することからつながるストーリー(ネタバレあり)

2011年05月22日 11時10分30秒 | 映画DVD
 マンガ版と実写版(DVD)の両方みました。
 ストーリーについて詳しくは触れませんが、テーマは、”荒々しい生の衝動がどこからくるのか?”ということになるのでしょうか。それが「非日常(虚構)の外側」からやってきて、虚構を作り出し、「日常」を維持する力となっている。
 「そいるニュータウン」はそんな力が生みだした街。哲学者のジジェクは日本についてのインタビューのなかで、「アメリカではヒッチコックの『サイコ』のように狂気が現れる場面で、日本では普通の家族が出てくる」と話している。サイコホラーなら、不幸な生い立ちや精神異常など登場人物の精神の中で完結してしまうのだろう。SOILはそれを家族~コミュニティの中で展開している。ストーリーは、日常から非日常(虚構)へ、そして虚構の外側へと展開する。そこは、ラカン的な意味での「現実界」である。それは外側に行くようでもあり、現場のほんのすこしの手がかりを分析することからつながる現象を掘り下げる旅でもある。山頂付近への旅であるようでもあり、地下深くへの旅でもあるように描かれている。楽園なのか地獄なのか。

 そのどちらでもない。辿り着けない現実が日常の中で徴しを介してほのめかされるだけ。
 マンガの場合、隕石が落下して街も記憶も消滅して、別の現実が再構成されるが、実写版では、街が再構成されて、一部の者に記憶が残り繰り返される。いずれにしても、この「めんどくせえ」日常が回帰してくる。『ツァラツストラはかく語りき』(ニーチェ)がモチーフなのかも。あるいはZAZEN BOYSの「繰り返される諸行無常。甦る性的衝動」でもいいけど。

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