【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

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佐々木スレ8-354 「流様が見ている」(2)

2007-05-16 | 佐々木×キョン×ハルヒ

354 :流様が見ている :2007/05/17(木) 23:53:26 ID:qRRDhCWm
結局その日の団活は昨日と代わり映えしなかった。
俺は昨日と同じでハルヒに無理矢理着替えさせられた。今度は婦警だ。勘弁してくれ。
長門も朝比奈さんも古泉も止めようとしない。絶対面白がっていやがる。
団活中、佐々木に呼び出しのメールを送った。本来なら次の休日が望ましいのだろうが、そこまで待ってい
たら男に戻れそうにない。
今週中にケリを付けねば。

団活後すぐに光陽園駅前公園に向かった。
ハルヒが一緒に帰ろうと言ったが大事な用があると断った。
すぐアヒル口になったがそれだけで引き下がってくれた。

駅前公園に着く頃には辺りが薄暗くなってきた。
少し心細い。………いやいやいや、待て待て待て。なんでそうなる。元は男だぞ、俺。
長門に呼び出されたときは平気だったではないか。しっかりしろ。
そんなことを考えていると気付いたことがある。今の俺は女であり、佐々木は女に告白したことにならない
のか?しかし告白した時は男だったし、などと心配したがそれは杞憂だった。

「佐々木………と橘と九曜か」
光陽公園には佐々木の他に橘と九曜もいた。こいつらを呼び出した覚えはない。
「えっと……キョン………かい?」
佐々木は戸惑っているな。
こいつらのことも聞きたいがまず確認だ。
「佐々木、今の俺はお前にどう映っている。俺だと分かるか」
「キョン……キョン子?いや、確かにキョンだとは認識出来るが。しかし男性のはずだったが…」
とりあえず佐々木は違和感を感じ取っているな。次に確認すべきことは
「なんでこいつらもいる」
「ん?ああ、彼女達はこの時間の女の子の一人歩きは危険だとついてきたんだ」
「佐々木さんとあなたの行動は出来得るかぎり捕捉しています」
「―――――」
女の子一人は危ないからと言って付き添いに女の子を付けるのはどうかと思うが…こいつらは普通じゃなか
ったな。まあ、佐々木の安全のためなら納得出来る。しかしボディーガード要員なら九曜だけでも充分なは
ず。それに橘本人が出張らなくてもSPぐらいこっそりつけれるだろうに。
「それでしたら、私も直接確認がしたかったのです。あなたに異変が生じているという報告があったもので」
「そう、わた…僕もそれが聞きたい。キミは確かに男性だったはず。それがどうして……」
佐々木はいったん言葉を切って俺を下から上へと見回した。
「いったいキミに何が起きたんだい」
実はだな…





356 :流様が見ている :2007/05/17(木) 23:56:01 ID:qRRDhCWm




「と、言うわけなんだ」
説明を聞き終えた佐々木は年がら年中事件に巻き込まれる名探偵のように顎に手をあてて
「まさかこんなことになるとは。涼宮さん発想には驚かされるよ」
俺も驚かされたよ。今まで散々珍妙なことに巻き込まれて、ある種、諦めの境地にまで達していたがまだま
だ経験が足りなかったようだ。こんな事態は受け入れられない。
「くっくっ、それは僕をふる前ふりかい。キミが元に戻るにはそれが最短かつ確実な手段らしいが…そんな
理由では僕はキミがこれから言う言葉は耳に入りそうにないよ」
「………そうだな、確かにそれは不謹慎だな」
少し焦っていたようだ。自分ために佐々木をふるのはいくらなんでも誠実さに欠ける。
しかし俺は佐々木の告白に対する決定的な答えはまだ出していない。
普通なら佐々木みたいな魅力的な女の子に、しかも頭もよく小難しくあるが話題に欠けることのない奴に好
きですなんて言われたら彼女がいなかったら二つ返事でOKするところだが、悲しいかな生まれてこのかた
およそ十七年、異性から告白なんてされたことがない俺は的確な返事を返すことが出来なかった。
しかも状況が状況だ。あの場で何か出来る度胸は俺はなかった。
それに佐々木とは中学三年での一年間に及ぶ友人としての付き合いがあった。
その佐々木のさらに一年ごしによる告白だ。俺もそれに対して真剣に考える必要があった。
だが昨日今日の騒動で焦った俺は答えを出す前に佐々木を呼び出してしまった。俺の不手際としか言い様が
ない。ならどうするか。
決まっている。
今の俺の正直な気持ちを言うしかない。
俺は佐々木を正面から見つめる。
「佐々木、聞いてくれ。お前に告白されたことは正直嬉しかった。だが、今の俺はお前に対する返事をもっ
ていない。YESともNOとも言えない」
佐々木は静かに佇んで聞いている。
「それなのに、焦ってお前を呼び出したのは謝る。すまなかった」
佐々木の瞳はずっと俺だけに向いていた。
「これから先どうなるかは分からない。お前を好きになるかもしれないし、もしかしたら別の奴かもしれな
い。だからそれまでは…答えが出るまでは『親友』でいてくれないか」
俺が言えたのはそれまでだった。
佐々木は瞳を閉じ「ふぅ」とため息を吐いた。
「まったく。キミという奴は、優柔不断だね。いや、卑怯と言うべきか」
う、それは謝る。しかし今はそうとしか言い様がないんだ。
「くっくっ、だがまぁ、それならまだまだこれから機会はあるということだ。これ以上の関係になるには僕
の努力次第というわけだ」佐々木は目を開いてこちらに歩み寄った。
「ならば今暫らく、よろしく頼むよ『親友』」
そう言って片手を差し出してきた。
「ああ、こちらこそよろしく」
俺は佐々木の手を握り返した。


357 :流様が見ている :2007/05/17(木) 23:58:34 ID:qRRDhCWm
パチパチパチと拍手の音がした。
音源の方を見ると橘と九曜がいた。
「いやぁ、素晴らしいのです。青春なのです」
「――親友―――いい」
ぐはっ!そういえばこいつらがいたんだった。すっかり忘れていた。
「『これから先どうなるかは分からない。お前を好きになるかもしれない』」
「――親友―――親友―――」
ええい止めろ。くそ、自分の顔が耳まで真っ赤になるのが分かる。
なんで佐々木は平然としていられるんだ。とんだ羞恥プレイだ。
橘は一通り笑ったあと
「これで用件はすみやしたか?」
いや、待て。そもそも俺は男に戻るために佐々木を呼び出したんだ。このままではなんの解決にもならん。
だいいち俺が女のままでは佐々木も困るだろ。元は男だとはいえこのままでは佐々木は女が好きだというこ
とになる。
「キョン……いや今はキョン子か。それは些細なことだよ。僕はキミというパーソナリティーに好意を抱い
ているのであって、キミが男であろうが女であろうが大した問題ではない」
なんで俺のまわりは男の威厳というか矜持を軽視するんだ。俺が女のままでいいということか?
あいにく俺は元に戻りたいんだよ。
「ふむ。今のキョン子は外見上からして魅力的にすぎる。変な男に言い寄られるのは不愉快だな。明日ぐら
いに涼宮さんに忠告しておくかな。そうすればキミも元に戻るだろう」
本当か?スマン頼む。
しかしハルヒに言うだけで元に戻るのか?
あいつは人の言うことはほとんど聞かないぞ。
「なに、簡単さ。キミが女性であることの無意味さデメリットを伝えればいいだけさ。涼宮さんが聞く耳を
持たないのは彼女にとってくだらないことだけだよ。それが多いから聞き分けがきかないように見えるだけ
さ。まあ、人は見たいものを見たいように、聞きたいことを聞きたいようにしてしまうからね。なにも彼女
だけに限ったことでさないさ」
そうか。まあ、佐々木は俺が知るかぎり弁論に関してはこいつの右に出るものはいない。
佐々木に任せておけば大丈夫だろう。
「悪いな、佐々木」
「なに、お安い御用さ」


「さて、これで用件は全てすみましたね」
そうだな、最後は佐々木に頼む形になって情けないがなんとかなりそうだ。
「ではこれで解散ですね。私は佐々木さんを自宅までお見送りしますので、九曜さんは彼女をお願いします」
いや、そんなことしてもらわなくてもいいぞ。一人で帰れる。
「それはダメです。今のあなたは女の子なんですから。もう、日はとっくに暮れてます。こんな時間で女の
子一人では襲われちゃいますよ。なんのために私と九曜さんが一緒に出張ったと思っているんですか」
なるほどそういうわけか。


358 :流様が見ている :2007/05/18(金) 00:01:13 ID:qRRDhCWm
しかし九曜と二人で帰るのか。
「大丈夫ですよ。九曜さんと私達があなたに直接危害を加えることはありません。これを機にもっと仲良く
なって下さい」
「僕もそれを願うよ。それではまた」
「失礼します」
佐々木は片手を振って、橘はピョコンと頭を下げて去って行った。

あとに残されたのは俺と九曜だけだ。
「―――」
相変わらず何考えているか分からないな。
「………」
こうしていても仕方ない。帰るか。

自転車を引いて九曜と家路につく。
「―――」
しかし………間が持たない。こいつとの接点がないから会話の種がない。
まあ、あったとしても親睦を深めようとは思わないが。
「………」
自転車に乗らずに引いている家に着くまで時間がかかる。
自転車でさっさと行ってもいいが、それはさすがに九曜に悪いだろう。
でも、スーと平行移動しているこいつを見ると自転車の速度に構わずに、ついてきそうだ。
………それはちょっと不気味だな。
「乗るか?」と言おうかとしたが、髪が長すぎるから車輪に絡まりそうだ。
「………」
「―――」
結局、気まずい空気のまま家まで着いた。

「玄関先まで見送ってもらってありがとな」
とりあえず礼だけは言っておく。
「―――」
しかし九曜はその場に立ったままだ。どうしたんだ。
「―――親友――――」
手を差し出してきた。握手しろということか?
いや、佐々木の真似か。
「親友ってのはな、友達同士が互いに信頼出来て打ち解けあう仲たんだ。俺とお前は違うぞ」
言って聞かせる。
しかし九曜は全く微動だにしない。これは握手するまで帰りそうにないな。
「とりあえず友達からというところから」
握手をした。
「―――友達―――?」
首を傾げた。
「ああ、友達だ」
暫らくそのままにしていたがやがて満足したのか、またあの平行移動で夜の闇に溶けるように去って行った。
長門とはえらい違いだな。いや、長門もはじめは結構機械的だった。今ではかなり人間らしいが。
九曜はまだ知らないことが多いのだろう。いろいろ経験していけばあいつも人間らしくなっていくだろう。
そういえば九曜はどこに住んでいるのだろう。いくら宇宙人とはいえ屋根のないところに住んでいては体に
悪いなどといった心配はあいつには余計かな。

自室に帰った俺はベッドに倒れこんだ。
今日は疲れた。昨日は昨日で疲れたが、今日のはこの三日間で最大だ。
自分を誉めたいよ。
佐々木のおかげで元に戻る目処もついた。
無事に戻ったらあいつになにか礼でもしないとな。
などつらつら考えていたがいつの間にか眠りについていた。


359 :流様が見ている :2007/05/18(金) 00:03:25 ID:iyPQnFHA
翌日
制服のままで寝てしまったから服とスカートにしわが出来ていたがもともとの不精スキルが発動してそのま
まで登校した俺を見たハルヒが余計な世話焼きスキルが発動して長門と朝比奈さんとおまけに鶴屋さんまで
交えてちょっとした騒動があったがこれは蛇足だな。

その日、ハルヒは用があると放課後部室には来ずにすぐに帰った。
佐々木が呼び出したのだろう。佐々木とハルヒがなにを話し合うか気になるが、ここはあいつに任しておこ
う。

その夜、ハルヒから電話があった。
『今日、佐々木から呼び出しがあったんだけどさ』
それは知ってるとは言えないからうなずいておく。
『昨日あんた、佐々木と会ってたんだって』
佐々木のやつそんなことを言ったのか。
『あんたと佐々木、中学の時仲良かったらしいけど……そういう趣味?あんた男に興味持ってないようだか
ら』
なんだ、そういう趣味とは。佐々木よ、ハルヒになにを吹き込んだ。
『あたしは別にそういうのは否定しないけど。個人の自由だし。それにあたしも………』
急にゴニョゴニョと声が小さくなった。聞こえないぞ。
『とにかく!あんた、慎みなさい。SOS団員なんだから!』
と、だけ言って切りやがった。
………佐々木、本当にハルヒになにを言ったんだ。
ハルヒもなんだか変だったし。不安だ。
こんなんで俺は元に戻るのか?
今日やることのない俺は寝るしかなかった。

朝、妹に叩き起こされた。
「キョン君おっはよー」
キョン君じゃない、お兄ちゃんと言いなさい。
ん?キョン君?
もしや、と洗面台に直行した俺はそこにいつもの顔を見た。
良かった。戻っている。
佐々木はうまくやってくれたようだ。
とりあえず佐々木に電話して礼を述べた。そしてハルヒとなにを話したのか気になっていたから聞いてみる
と『女同士の会話には秘すべき秘密があるのだよ。詮索は無用だ』とはぐらかされた。
まあ、聞いてはいけないならば無理強いはするまい。
俺は久しぶりにブレザーに袖を通して登校した。

いつもの目線、まわりの奴らも女扱いしない。いいね。
教室にはやはりハルヒが先にいる
「おっす」
挨拶した俺を胡散臭げに見た。
「機嫌いいわね。なんかいいことでもあった?」
「まあな。」
「あっそ」
興味ないのかそれだけ言って机に突っ伏した。


360 :流様が見ている :2007/05/18(金) 00:05:19 ID:qRRDhCWm
放課後
ハルヒがまだ来ていない部室で
「おやおや、戻ったようですね」
なんだそのもの言いは、戻らなかった方がよかったみたいだな。
「いえいえそんなことは。ただ、もう少しあのままでもよろしかったと」
洒落にならんことを言うな。面白くない。
「残念」
長門、お前まで。
というかお前が情報操作すればすぐに解決出来たのではないか?
「まさか」
長門、棒読みだぞ。
「でも、少し残念です。せっかく仲間が出来たのに」
朝比奈さん勘弁して下さい。俺はもうコスプレなんてしたくありません。
三人とも無責任なことばかり言ってくる。
あかほり〇とるや高橋〇美子もびっくりな、リアル性転換なんてもうこりごりだ。

次の日の放課後、俺はとんでもないのを見た。
「ハルヒなんだそれは」
「これ?なんかね、有希とみくるちゃんと古泉くんと、あと佐々木さんの友達の京子ちゃんだっけ、みんな
から面白からってくれたの」
部室の机の上に置いているのは
ら〇ま1/2、MAEZ、かしまし
等々ある方向に偏りがあるDVDやら漫画、文庫等だった。

………………………………………………………………………………………………

ホント…もう、マジやめて。



その後、俺の性別が宙を舞う紙より不安定になったのは言うまでもない。



END


361 :流様が見ている :2007/05/18(金) 00:07:49 ID:iyPQnFHA
『おまけ』
駅前広場にて

「さて、もう一つ確認したいことがある」
ガシッと後ろから羽交い締めされる。
なんだ?橘!いつの間。何をする。そして佐々木がにじり寄ってくる。
なんか場の空気が急に変わったぞ。
「そのなんだ、キミ胸部はおかしくないか?なんだか僕より大きく見える」
佐々木は俺の胸を凝視している。目付きがヤバイ。渦巻いている。
「これはもう直接確かめるしかない」
むんずとわしづかみしてきた。
ちょ、やめろ。
「これは!やはり!」
もみもみもみもみって、おい!
「くっ!この!いけない、こいつはいけない胸だ」
マジ………やめて。
「ふっ、ふあ…っく」
マズイマズイマズイ。
変な気分になってきた。
「ふー」
って、橘!耳に息を吹き掛けるな。離せ。
「はむっ」ゾクゾクゾクッ
だーっ、耳たぶを噛むな。「はぁはぁはぁ」
佐々木、お前もいい加減やめろ。お願いだから。
「…………」もみもみ
くそ、聞いちゃいねえ。
あああああああ!
お前ら、やめろーーーーー!
・ ・ ・
・ ・


「はぁはぁはぁ」
あ、危なかった。
いけない世界の扉が開くところだった。
「ふむ、僕の精神衛生上、すぐに戻ってもらう必要があるね」
「私としてはこのままでもいいのですが」
お前ら、言いたいことはそれだけか?人の体を弄びやがって。
「僕はただ確認したまでさ」
「私はもっと楽しみたかったのです」
ああ、もう分かった。
橘、お前はガチレズだ。

「―――出番―――なし――」



お わ り


362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 00:11:11 ID:iyPQnFHA
とりあえずこれで終わりです
なんか佐々木分少なくてゴメン

この先キョン子ネタが思い付くようだったら
この話しを基本設定でやろうかと思ってます



お粗末さまでした




ササッキー、百合ンゲラー橘京子、キョン子は百合ん百合ん