【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

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佐々木スレ4-747 小ネタ

2007-04-29 | 佐々木視点のss

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 05:51:05 ID:iMuQ7SIZ
暦の上では十分に秋と言える時期だったが、気候の上ではまだそれなりの暑さを残した程度の時候。
リフレッシュを兼ねた日課としている休日早朝ジョギングの最中、妙なものが落ちているのに気が付いた。

何これ――鳩の羽根? 白い鳩なんてこの辺には居ない筈だったけど。

好奇心からか、その羽根を摘み上げ、まだ柔らかい日光に透かしてみる。
空が高いな――
羽根の向こうに見えた巻積雲が視界に収まり、私はただそう思った。


卒業式のあの日以来、私達は会う事も言葉を交わす事も無かった。
「じゃあ、またな――」
「――ああ、またいつか」
『いつか』は、まだ来ていない。

彼の事が好きでは無かったと言えば嘘になるだろう。
友達としての好意は当然のようにあったし、彼と言う人間に惹かれていた事も事実。
でも――
彼との関係が途切れる事に比べたら、あの頃はそれは大した事では無いように思えた。
彼と一緒に居る時間は、私にとって最上の時間だったのだから。
それ以上を考える事など、意味の無い事だと思っていたのだ。

「キョン――」
「ん」
「――いや失敬、何でもない。忘れてくれ」
「どうした、珍しいな。何か悩み事でもあるのか?」

あの頃、彼に自分の真意を伝えるべきだったのか。そうではないのか。
ただ彼と一緒に居たかったから、私は『彼の友達』としてのロールを選び、それは為された。
切っ掛けさえあれば『彼の彼女』としてのロールを選び直す事だってできたかもしれない。
それをしなかったのは私の弱さだ。彼と一緒に居たかったからこそ、私の真意を圧殺してきた。
幾夜の間を煩悶とし、それでもなお今の関係こそが最善なのだと、そう自分を納得させながらも
どうしようもなく抑えられない気持ちが今も心の奥底で疼く。

――恋愛が精神的な病と言うのなら、私は完全にインヴァリッドだ――

彼と離れたのに、否、だからこそ、それが実感としてよく判る。
いつも近くにいたせいで、そんな事にも気付かなかったんだ――


――突然の突風が全身を煽り、私は我に返った。どれほどの間、空を見上げていたのだろうか。
右手で摘み、空に翳していたあの白い羽根は吹き飛ばされてしまっていた。
天球で控えめに光を反射し輝く月の彼方へと、まるで舞い踊っているかのように。

この空の下にいるキミに、いつか私の思いが伝わりますように――
願を掛けるなんて柄ではないけれど、飛び去る羽根を見送りながら、私は思った。


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ネタ元は茶太の『誓い』。歌から膨らませるの難しいな……
『俄雨』とかもいい感じだと思ったのだけれどPart3の678-680『雨宿り』が
相当にそのまんまだったので見送り。あれはGJだ。

というか連休初日から何やってんだ俺