【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

2chの佐々木スレに投稿されたssの保管庫です

佐々木スレ4-468 「暗黒天使妹ちゃん」

2007-04-27 | その他中学時代ss

468 :暗黒天使妹ちゃん 1/4:2007/04/27(金) 02:51:22 ID:dmbtsEuw
「暗黒天使妹ちゃん」

 ベッドに寝転がって、携帯電話を開く。クリスマスに憧れの携帯電話を買ってもらって
からもう1ヶ月以上経っている。指は完全に操作を覚えていて、軽快にメイルの文章を
打ち込んでいく。

to:ミヨキチ
subject:今日のキョンくん
大ニュース、今日キョンくんが女の人を連れてきたー(はぁと)

 とりあえず、ここで送信っと。
 あたしは、今日、キョンくんが連れてきた、佐々木さんのことを思い出す。
 綺麗な女(ひと)だったなぁ。

 はい、こっから回想。

「ただいま~っと、早く閉めてくれよ、寒いって」
「あ、ああ。でも、本当に僕ならかまわないのだよ」
「俺がかまうっての、さ、上がった上がった」
 ん? キョンくんが誰か連れてきたのかな。
「おっかえり~、キョンくん」
 あたしはいつものように居間から顔を出して、キョンくんに挨拶をする。習慣半分、お客さん
の顔を見たいのが半分、キョンくんの妹としては不甲斐ない兄に変わって、きちんとご挨拶
しないとね~。ってあれー、あれれー、キョンくん、彼女連れてきたんだ~。受験生なのに~、
イケナイんだぁ。
 スリッパを引っかけて、直接ご挨拶に向かう。知らない女の人、これはよっく観察しないと。
「キョンくん、誰ぁれ?」
 玄関に上がった、キョンくんの袖をつかんで、おねだり。女の素性は確かめておかないとね。
「ああ、まぁお前は初めてだよな、たぶん。佐々木ぃ、コレ、俺の妹。こっちは中学のツレの
佐々木、ほれご挨拶しろ」
 よし、可愛いとご近所でも評判の笑顔を浮かべて先制パンチだ。
「はじめまして~」
 ぺこんとお辞儀でコンボ。
「はじめまして、佐々木と言います。お兄さんには中学と塾の方で、お世話になっています」
 おお~~~、美人だ。美人だよ、肩口で切りそろえられた柔らかそうな髪の毛、つぶら
な瞳は黒い宝石みたいに輝いている。睫毛もなっが~い、肌しろ~い。体つきは今いち
だけど、中学生なら将来に期待でしょ。すっきりと細身で、キョンくんの中学の野暮った
い制服もすらっと着こなしている。それになんと言っても、小柄なのに足がなが~い。
いいなぁ、アコガレちゃうよ~。この人があたしのおねぇさんになるのね~ってそれは
ハヤイ、早すぎる。
「ああ、それじゃ着替えてくるから、居間で待っててくれな。
おい、佐々木にコーヒーでも淹れてやってくれ」
 おいってあんだよ~、まぁお客さんの前でケンカするのはアレだから、後で覚えて
おけよ~、算数ドリルやらせるぞー。
「えっと、じゃあこっちです」
 佐々木さんを居間に通す、出しっぱなしの新聞片づけて~、あ、その辺に座ってくださ
い~、今コーヒー淹れます~。インスタントですけどー。
「あ、ああ、お構いなく」
 佐々木さんは興味深げに周りを見回している。まぁ恥ずかしくなるのはおかーさんだか
ら別にいいやー。え~と、お客さん用カップとお皿、キョンくんのマグカップ、あたしのお気
に入りのカップを取り出す。何も言われなくてもお兄ちゃんの分まで用意するなんて、よく
できた妹ですねー。

 あ、返信来た。
 回想ココまで。


470 :暗黒天使妹ちゃん 2/4:2007/04/27(金) 02:56:14 ID:dmbtsEuw

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
え、どういうこと、なの? 嘘、まさか、お兄さんの彼女さんなの?

 うぷぷ、ぱにくってる~。ミヨキチちゃんはキョンくんが好きなのだ。初恋なのだ。
あたしにだけ教えてくれた。ミヨキチはあたしの一番の親友で、友達の中じゃ一番の美人
さん、まぁ成長したあたしの敵じゃないけどね~。ふふ、ミヨキチめ、そうやって足踏みし
ている間に、キョンくんはどっかに行っちゃうのだぞ。まぁ、あたしはついて行くからいいけど。

to:ミヨキチ
subject:re:今日のキョンくん
それがね、すごい美人のお姉さん♪ 
キョンくんと同じクラスで、優しくて、物静かで、頭いいんだって。

 はい、ここらで送信っと。
 くつくつ、見えないライバルにドキドキするのがよいのさ。

 回想その2ッ

「お砂糖はいくつにしますか~、ミルクは~」
「あ、そのままで、入れなくていいです」
 おお~、ブラック。大人だよお姉さん。
 自分の分にはミルクたっぷり、お砂糖も山盛り三杯、キョンくんのマグにはミルクを少し。
 さてと、キョンくんが降りてくるまで後、5分。この時間で、洗いざらい聞かせて頂きますよ~。

 コーヒーを居間のテーブルに運ぶ。
「ご一緒してもいいですか~、お姉さん。はい、どーぞ」
 カップをきちんと佐々木さんの目の前に置く。
「ああ、ありがとう。偉いね、いま幾つ」
「今年、小五、だから10歳です」
「彼も安心だね、こんなにしっかりした、妹さんがいるんだし」
 えへへ~と愛想笑って、さってとどこから切り込もうかなぁ。
「お姉さん、キョンくんの恋人?」
 あ、お姉さん、咳き込んだ。ティッシュ、ティッシュ。こぼれたコーヒーを拭き取る。
「あ、ありがとう。まぁ、女の子の方が早熟なのは、分かっていたけど。キョンは、友人
だね。一番の親友といってもいいかな」
 男と女で一番の親友? なんだよ、それ~、信じらんない。男と女の間に、友情はないんだぞ。
「そうなんですか、あ、そうか。お姉さんが佐々木さん、お母さんが言ってた佐々木さん
がお姉さんなんですね」
 困ったなって感じの顔をした。自分のことが家族の会話になってるなんて思いもしな
いに違いない。ふふ、びっくりするぞ。
「ウチのお母さんね、キョンくんに、“そんなんじゃ、佐々木さんと同じ大学に行けないわよ”
っていつも言ってるんだよ」
「あ、え? そうなの?」
 あ~~、赤くなった。ふ~~ん、やっぱ嘘じゃん。
「お母さんとは会ってるの~?」
「ええ、夏頃かな。やっぱり、こんな風に、お邪魔したことがあるの、その時はあなたは
いなかったみたいね」
 ほほ~、親への紹介はすでに終わっていますか~。やりますなぁ。
「でね、お母さん、言ってたの。こんなんじゃ、佐々木さんに振られちゃうって。
も、もしかして、もうキョンくん、振られちゃった?」
 下を向いて、涙を溜めてっと、うるうるおめめで、見上げれば、どんな大人もイチコロよん。
「いや、振るとか、付き合うとかそういうんじゃなくてね、あ~、どういえばいいのかな。
私と彼は恋人関係じゃないの。いい友人関係を続けさせてもらっているわ」
 なんだ、満更でもない感じ、脈ありだよ、キョンくん。ミヨキチ、ピンチ。あたしはいつだって、
あなたの味方よ。と、泣きそうになっている脳内ミヨキチにエールを送る。

 回想ココまで。
 さっきから、何本か着信してるな~、そろそろ答えてあげましょう。


472 :暗黒天使妹ちゃん 3/4:2007/04/27(金) 02:59:39 ID:dmbtsEuw
>>467
 あ、しまった。投下タイミング被った。
 申し訳ない。あと二つなんで、待ってくれ。
 まじ、すまん。

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
ね~、どういうこと?

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
まさか、ホントに? 彼女さんなの?

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
まだ、告白もしてないのに(;_;)

 余裕あるジャン。まったく、だから、この間のお泊まりの時に、キョンくんをゆーわく
しろってけしかけたのに~。さてと、少しは安心させてあげましょ~。まったくあたしは
イイ友達だよ。幸せだね、ミヨキチ。

to:ミヨキチ
subject:re:今日のキョンくん
ん~、どうも恋人じゃないみたい。友達以上、恋人未満ってヤツ? マンガみたいだよね、
ちょっと憧れちゃうかも。でも、なんかちょっと揺らしたら、あっという間に恋人になっちゃうかもね。

 はい、送信送信。

 回想その3ッ

「お、俺の分もあるんか、ありがとよ」
 履き古して味の出たジーンズにタートルネックのセーター、革のハーフコートに着替えた、キョンくん登場。
「ああ、もう準備はいいのかい?」
「コイツ、なんか失礼なこと言ってなかった?」
 ぷ~、なんだよ~、この可愛い妹ちゃんのことをそんな風に見てるのかよ~。
「いや、いや、キミに関する興味深いお話を聞かせて貰っていた所だよ、キョン」
 ん? あたしの時とキョンくんの時でリアクションの温度、違くない、お姉さん。しゃべりも堅いし。
「それじゃ、キミがコーヒーを飲み終わったら、もうひとつの学舎へ向かうとしようか」
「ん、わりぃな、まぁちっと急げば十分間に合うだろ」
 ほうほう、ふたりは塾も一緒だっけね。
「こっから、直接塾行くんですか?」
 先ほどの疑念を確かめるべく、佐々木のお姉さんに聞く。
「うん、キョンくんの自転車に相乗りさせてもらってるの。バス代が浮いて助かっちゃうな」
 あ、この人、ヘンな人だ。なるほどぅ。キョンくんが興味持つはずだ。
「え~、いいなぁ憧れちゃうなぁ、男の子の後ろで、ふったりっのりっ」
 ど~んと、キョンくんの腰に抱きつく。
「こんな感じ~?」
「こら、熱い物持ってる時にぶつかってくんな危ないだろ」
「横乗りだから、そんな風には抱きつけないのよ。左手だけで掴まる感じ」
 うわ、普通に返された。やばい、兄譲りの好奇心が沸いてくる。この人、面白いかも。
 そんなことを考えてると、キョンくんはごくごくと乱暴にコーヒーを飲み干して、マグをテーブルに置いた。


473 :暗黒天使妹ちゃん 4/4:2007/04/27(金) 03:01:23 ID:dmbtsEuw
「ぷはぁ、うし、佐々木、行こうぜ」
 ゆっくりと、佐々木さんは、カップを置いて微笑んだ。
「ああ、こっちもいいよ、妹さん、コーヒーごちそうさまでした」
 優雅に一礼、う~ん、やっぱ美人はお得だ。何しても格好が付く。
「いえいえ~、おかまいもしませんで、またきてください」
 お母さんのセリフを真似っこしていう。ぺこんとお辞儀。
「そんじゃ、行ってくるな」
「はい、いってらっしゃ~い、きをつけて~」
 こうしてあたしはふたりを見送った。

 回想、全部終わり。

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
え~~~、そんなの、やだようぅ○rz

to:ミヨキチ
subject:re:今日のキョンくん
 ヤダとか行ったって仕方ないジャンさ。行動あるのみだよ、ミヨキチ。キョンくんは鈍い、
犯罪的だね。あんな美人さんと二人乗りで、一年近くも同じ塾に通ってるのに、お友達な
んだよ。チャンスはあるよ。まだ。ほら、来月はバレンタインじゃない。ここできっちりと
意思表示すれば、大丈夫だって。

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
そりゃ、お兄さんにチョコあげようと思ってるけど。でも、その彼女さんも同じかも。

to:ミヨキチ
subject:re:今日のキョンくん
 キョンくんには、なんて言うのかな、普通にやっちゃダメなんだよ。その美人のお姉さん
もやっぱヘンな人だった。そうだな~、たとえばさ、「わたし、あなたのセックスフレンドに
なりたいんです」とかいっちゃうのどう?

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
え? なに、そのせっくすふれんどって? お友達?

to:ミヨキチ
subject:re:今日のキョンくん
え~と、お友達の四段階くらい上の単位かな?

to:×××××××(プライバシー保護の観点から伏せさせて頂きます)
subject:re:今日のキョンくん
それ、いいかも☆

 通った。真に受けたよ、この娘。この子も純だな~。あたしゃ、親友として、あんたの
将来が心配だよ。悪い大人に騙されないようにあたしが気を付けてあげるね。感謝し
てよね、ミヨキチ。バレンタインまであと二週間ちょっと、この間に、きっちりとミヨキチ
の気分を盛り上げてあげなければなるまい。そう、決意するあたしなのだった。

 でも、その間にあのふたりに何もないといいねぇ。
 あたしゃ神さんじゃないから、そればっかりはわかんないのよ。