昨日が水曜割引デーだったので、早起きしてテアトル新宿で見てきました。
入りは7割くらいだったかな? 男性は数人。
入り口でデイジー缶(780円相当)をもらえたので、1000円の入場料はかなりお得でした(笑)。
さて。
この『デイジー アナザー・バージョン』ですが、今は頭の中は疑問でいっぱいです。
なぜ日本公開版がこのバージョンではなかったのかと…。
私は一般公開されたインターナショナル・バージョンの『デイジー』は正直言ってあまりいい出来だと思っていませんでした。
| 刑事が殺し屋を捕まえようとする方法が愚かすぎてリアリティがない(ヘヨンへの責任を感じて自暴自棄になったジョンウが言い出すならまだ許せるけど)。 |
| パクウィがデイジーの本当の送り主だと気づかないヘヨンが鈍感すぎる(ジョンウの持っていたデイジーとパクウィが贈っていたデイジーは微妙に違うでしょ! それに目をつぶるとしても、船上でデイジーを見たら普通そこで気づくでしょ、とか)。 |
| 実際に会うようになってからも決して自分からはヘヨンに手を触れないようにしているパクウィが理解できない(好きな女が泣きだした時くらい抱きしめてあげなさいよ、とか)。 |
| ヘヨンはヘヨンでジョンウ、パクウィ、デイジーの送り主、それぞれに対する気持ちの変化がよくわからない。 |
| 大事にしている部下をなぜ始末しようとするのか、殺し屋のボスの気持ちもよくわからない。 |
ってな感じで、突っ込みどころが多すぎて全然登場人物の気持ちにも物語にも入り込めませんでした。
ところが、この韓国バージョンは見事なまでにこれらの疑問がクリアになっていたのですよ。まあ最初のジョンウの上司がオバカっていうのだけはどうにもなりませんが(笑)。
つまりインターナショナル版は余計なモノローグを多用していた上に、物語にとって非常に重要なセリフやシーンを何ヶ所もカットしていたんですね。
| 415という数字はパクウィにとってはヘヨンと出会った日付であり、ヘヨンにとっては毎日デイジーが贈られていた4:15の時刻ということで特別な数字だった。そのために同じ時刻に広場にデイジーを持って現れたジョンウをすぐ誤解した。ふたつも偶然が重なったので、ヘヨンはかなり強い確信を持ってジョンウをデイジーの送り主だと思っていた。 |
| パクウィは映画が始まってすぐにボスに「殺し屋にとって女は危険な存在だ」と忠告されていた。またヘヨンと直接会うようになって仕事を干されていた後にボスに再会した時も(1年後の字幕なし)、女についてちくりと警告された。要するに殺し屋としての道を外れてしまったパクウィをボスは早い段階で見限っていたわけ。 |
| ボスに最初から女について警告されていたので、パクウィは直接ヘヨンと会うようになっても、けっして友達以上の関係にならないように自制していた。 |
| ヘヨンは咽を撃たれてからも病院にデイジーが届いていたり、退院後おじいさんに撮ってもらった写真に自分を見ている男の人が写っていたりしたので、ジョンウがそばにいるのに姿を現さないと思っていて、姿を消したと思うよりも苦悩が大きかった。 |
こんな感じで、各キャラクターの背景がよくわかるので物語にもすんなりと入っていけるのです。
他にもヘヨンがお茶を飲んで倒れた時にパクウィのモノローグで「少しの間眠っていてくれ…」というセリフが挿入されて睡眠薬入りだということがはっきりしますし、ジョンウの墓参りのシーンで上司はヘヨンにラジオのチャンネルがクラシックに変わっていたこと以外に「殺しの合図は黒いチューリップ」まで言っていますし(黒いチューリップはインターナショナル版で登場する前にヘヨンがパクウィのボートを訪れた時にもすでに登場して強調されています。ちなみにその時パクウィは「これは友人から僕へ贈られたプレゼント」と弁明していました)、最後のボスとの決闘の後、
パクウィが生きていることもわかるので、エンドクレジットに流れる、あなたを置いてひとり旅立ってごめんなさいという歌詞がもっとぐっと来ます。
というわけで、愛している女のそばにいながら自制しているパクウィが本当に切なくて、またヘヨンの辛さもよくわかって、またアンドリュー・ラウ監督らしい黒社会の厳しさも感じられて、インターナショナル版ではあくびしか出なかった私も、後半ボロボロと涙があふれてしまいました。
このアナザー・バージョンなら、もう何度でも見たいです。テアトル新宿では7月1日(土)からは11:30の回も追加されますので、インターナショナル版には不満の方もぜひ見に行ってもらいたいと思います。
ところでこのスチールは台湾の映画サイトからのものですが、台湾での題名は『愛無間 DAISY』なんですね(笑)。『無間道(インファナル・アフェア)』のアンドリュー・ラウ監督作品らしくて、気に入ってしまいました。
なお、6月27日には『猟奇的な彼女』もリメイクするアメリカのゴールドサークル プロダクションにこの『デイジー』のリメイク権が売られたと報じられました。この殺し屋を捕まえるために自らを囮にするというプロットをどう料理するのか、今から楽しみです。
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