昨日東京にて肺癌に関する研究会に行って来ました。
近年肺癌薬物治療と進歩が目覚ましいのですが、その新しい薬剤を使用するとき、効果予測のために腫瘍組織の再生検が必要になります。全員が肺癌ですから、初診時の組織学的検索はほとんどの症例で気管支鏡下生検にて診断が可能ですが、再発時の組織採取となると、原発巣の検索が容易ではありません。当然ながら原発巣は治療により縮小してしまっていることも多く、また原発巣が増大していても、前回の治療により線維化を来し、初診時のようには組織が採取できないことが多くなります。それでは、どのように再生検をするかというのがこの研究会のテーマです。
①原発巣については、CT、PETなど画像所見を詳細に検討しながら検査施行の是非について検討していきます。もし気管支鏡下生検をトライすることになったとしても、出血などの合併症の頻度が上がることから、ガイドシース使用下での生検が望ましいと思います。また、確実なる組織検体を採取することを考えると、CT下生検も有用ではないかとのことでした。(ただ、組織自体が線維化を起こしているという意味では、CT下生検においても初診時よりは若干テクニックを要するとのことでした)
②縦隔リンパ節腫大などがあれば、EBUS-TBNAにて組織採取は可能ですので、我々呼吸器内科医が行えると思います。
③肝転移については、エコー下生検にて組織採取は可能です。医療安全を考慮したら、消化器内科の先生に依頼した方が確実かと思います。
④副腎転移はいかがでしょうか?今回の研究会にてEUS(超音波内視鏡)にて組織採取が可能であるとのこと。左副腎については1センチ以上あれば相当の確率で診断がつくようです。右副腎については左ほど容易ではないようですが、トライしてみる価値はあるとのことでした。
⑤骨転移については、肋骨転移などは我々のエコー下生検にて安全に検索出来るかと思いますが、椎体の転移についてはどうでしょうか?IVRを専門にしている放射線科医ならば、CT下生検にて容易に組織採取が出来るようです。(もちろん検索部位などは整形外科医にアドバイスをいただくようですが)
⑥脳転移についてはさすがに実臨床では組織採取は難しいですね。
ということで、再生検するとなると、自分たちだけの力ではなく、消化器内科医、放射線科医、整形外科医など他科の医師とコラボして、組織採取をしていくことが重要であることが本当にわかりました。その研究会でも「他科の先生方と仲良くしていきましょう」という言葉でまとめていました。
幸運にもわがさいたま赤十字病院呼吸器内科は他の科との関係は非常に良好であり、今後今以上に他科の先生方と連携をとって、肺癌診療を行っていきたいと思います。もちろん自分たちが行っている気管支鏡、EBUS-TBNA、エコー下生検、局所麻酔下胸腔鏡などの技術向上は言うまでもないですが。これからも精進していきたいと思います。
追伸。
今年の冬は本当に寒いですね。北陸、北海道など行くが大変のようです。2月は北海道では雪まつりの時期ですね。我が家も子供が小さいころはさっぽり雪まつりだけでなく、層雲峡、阿寒湖などの雪まつりによく行きました。層雲峡の氷瀑祭りの帰りに旭山動物園にも足を運んだこともありました。なつかしく思います。また、余裕が出来たら行ってみたいと思います。北海道の寒さに耐えられるかだけはちょっと不安ですが。