さいたま赤十字病院呼吸器内科 『こちら彩の国 呼吸器科』

さいたま市近隣での呼吸器診療に興味のある、
若手医師、医学生の見学(平日)を歓迎します。ご連絡ください。

空洞陰影の良悪性の判別

2015年05月31日 | カンファレンス室

空洞陰影(空洞性腫瘤、結節)においては良悪性の判別が日常診療では重要とされています。実際良悪性の判別に難渋することもあるかと思います。文献的にはどのように言われているのでしょうか?色々調べてみたのですが、最近の報告はほとんどなく、古い文献になってしまいます。

文献的には最大空洞壁厚を測定し、①1mm以下はずべて良性、②4mm以下は92%が良性、③5~15mmは良性、悪性は各50%、④15mm以上は92%が悪性としていました。では、実臨床で評価してみると、4mm以下の肺癌、15mm以上の肺化膿症の症例を経験します。また、ほとんどの症例が5~15mmの症例でどちらとも言えないという厚さです。実を言うと空洞陰影の良悪性は判別が難しいと認識しておいた方が無難なのではないでしょうか?画像的には他の副所見の評価、臨床的、細菌学的、病理学的検討を加えながら診断していくスタンスを持っていくことが必要なのではないかと思います。では、実際空洞を伴う肺癌って多いでしょうか?一生懸命探さないと見つからないような気がします。もしかしたら肺癌の空洞はそれほど多くないのでは?そのあたり今後症例を見ながら検討できたらと思います。

ここでもう一度空洞を来たす疾患(CAVITYで覚えよ)も復習してみてくださいね。

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結核性胸膜炎における胸腔鏡の意義

2015年05月31日 | カンファレンス室

先日当院における結核性胸膜炎症例における局所麻酔下胸腔鏡の有用性について検討してみました。当院では今まで結核性胸膜炎症例7例に局所麻酔下胸腔鏡を施行しました。その7例全例が胸水リンパ球有意の細胞数増加、ADA上昇などから結核性胸膜炎を疑い、確定診断目的に胸腔鏡を施行しています。全例安全に検査を施行できましたが、3例はフィブリンネットワークを認め、そのうち1例は著明であったため、胸腔内全体の観察が困難でした。全例に胸膜小結節散在を認め、生検にて6例に類上皮細胞肉芽腫が検出、4例に組織培養陽性になり、7例全例が組織学的または細菌学的に確定診断可能でした。結核性胸膜炎の確定診断において局所麻酔下胸腔鏡は有用であると考えました。当院では今まで原因不明胸水症例において上記7例を含め55例に局所麻酔下胸腔鏡を施行してきましたが、残り48例は結核性胸膜炎を疑った症例はなく、その48例中結核性胸膜炎と診断された症例は1例もありませんでした。結核性胸膜炎においては胸水検査を総合的に評価することによりある程度診断に近づいているのではないか、胸腔鏡は確定診断、薬剤感受性の評価に有用と思いました。ただ、感染症ですからフィブリンネットワークの程度によっては胸腔内全体の観察が難しくなることも念頭においておくことが大切と思いました。これからも症例の蓄積をしていけたらと思います。

当科では原因不明の胸水症例に局所麻酔下胸腔鏡を行っています。胸水貯留症例で困っている先生がいましたら連絡いただけると幸いです。

 

先日北陸新幹線に乗って金沢に行ってきました。そのときに食べたのど黒のひつまぶし、とてもおいしかったです。

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