《Diary ある子犬の話》 2012. 2. 13
今日の午前中は、久しぶりに穏やかな青空だった。
空気は冷たくても、風がない。
Joshuを連れて近くのドラッグストアまで散歩。
小さい身体をリズミカルに弾ませながら、彼も散歩を楽しんでいた。
先週の土曜は2月11日。
あの日から11ヶ月。
土曜の午後は、Grace Garden Chapel のキッズ教会(KKC)のスタッフミーティングを支援活動の為に借りている事務所で行った。
借りてからすぐに洪水により水没し(^^;)11月には復活したあの事務所。
車の故障で困っていたスタッフを私が迎えに行って、事務所の駐車場に着くと、昨年「生活スターターセット」の支援を通して出会ったWさんご夫妻が、事務所の玄関から出て来られた。
聞けば「灯油と灯油券を頂いたお礼に、珍しくないけども、みかんでも皆さんで召し上がって下さい」とわざわざみかんを一箱とどけて下さった。
そのまま吹雪の駐車場で立ち話を10分ほど。
でもみんな凍えそうだったので、
「まあ、お茶っこでも飲んで行って下さい。」とお誘いすると、
「そんなら、コーヒーでもいただこうか」とご主人。
優しそうな目をさらに細めて、お茶目に笑う。
ご夫妻とスタッフのRさんと私で事務所のテーブルを囲む。
私の声に反応して、奥の会議室でスタッフミーティングに同席中のJoshuが騒ぎ始めていた。
「ヒー」とも「クーン」ともつかない声で泣いているので迷惑にもなるし、かわいそうで、Wさん達の席に連れて来た。
するとお二人が「あぁ、一緒だわぁ」と声を上げた。
「え?す、すみません。犬は大丈夫ですか?」と私が聞くと、
「いやぁ…息子家族が飼っていた犬が….そんな感じの犬だったんです。」と奥様。
「あの日、《すぐに帰ってくっからなぁ》と餌をたーくさんゲージに入れてぇ、鍵さかけて、家を出たんだと。」
一瞬、みんな黙ってしまった。
言葉が見つからない。
「そんでぇ、2ヶ月後になっちまって。一時帰宅でもどったときには、はー、こーんな感じで死んでたんだと。」とご主人が腕を伸ばしてみせた。
私は言葉が見つからず、Joshuを隠すようにひざに抱いた。
「あんとき、鍵なんかかけず置いてやれば良かったって、息子は嘆いてました。」
「ハグって言うんです。名前」と奥様。
「ハグ、ハグって孫がよーく抱っこしてました。」
「そうでしたか。辛いですね。息子さんやお孫さんもさぞ お辛いですね。」と私が言うと、「ハグは7ヶ月ぐらいの子犬でした。」と奥様は、私のひざの上のJoshuを目を細めて眺めながら「おんなじ、真っ黒のちっこい子で。」と。
「知り合いの人のうちでも、綺麗なペルシャ猫や、
犬が沢山死んでます。」とご主人。
「あの日、すぐ帰って来る、2〜3日で帰って来るって思ってただもんだから。」と深いため息をご主人が漏らす。
「また、ここに来させて下さいね。なんだか皆さんの顔を見ると….良いんでね。」と優しい笑顔で帰って行かれたWさんご夫妻。
「Joshuを見せてしまって悪かった。ごめんなさい。」と私は心で何度もWさんたちに謝った。
郡山市内の240世帯が暮らす仮設住宅の敷地内の隅っこに、コインロッカーのような箱が何箱も作られた。
窓も何も無い、鍵付きの箱を積み重ねたもの。
仮設に動物を飼いながら住んでいる人々の、動物の取り扱いを巡って
小さな騒動が起きている。
その箱。
真っ暗になり鍵のかかる箱に、犬や猫を入れるようにとの事らしい。
あの日から11ヶ月。
必死でみんな生きている。
でももっと、もう少し、どうにか
いい方法があるんじゃないかなと思う事が山のようにある。
その度に、自分の能力の足りなさいと無力さ、
体力の無さにいら立ちそうになる。
その時、自分に言い聞かせる。
『豊実!今日も家族に笑顔で、明るいトーンで話そう。
ちょっとした片付けで夫や子ども達が戻って来た時、スッキリとした気分で
椅子とテーブルを囲めるように。みんなの好きなみそ汁を作ろう。
Joshuの愛くるしい瞳を、遊んでくれと持ってくるぬいぐるみを、
ちゃんと受け止めよう。雪の日もちょっとの散歩につき合おう。
遠くにいる友達や近くにいる仲間達の為に祈ろう。
神様の守りがあり、悲しい事や辛い事があっても希望が
与えられ、《今日》を平安な気持ちで終えられるように祈ろう。
そのために神様はちゃんと私に、
それらをする力を与えて下さるのを忘れないで」と。
毎日が、毎日の出会いが、毎日の営みが
こんなにいとおしいと思ったことがない。