時のうねりのはざまにて

歴史小説もどきを書いてみます。作品と解説の二部構成で行こうと思います。

蒲殿春秋(七十五)

2006-12-22 22:21:15 | 蒲殿春秋
前関白基房の流刑は藤原氏氏寺である興福寺の強い反感を買った。
矛先はもちろんそれを行わせた清盛と平家一門。
その反感は元平城京近辺にある南都の寺社全てに飛び火する。

また、天皇、院、摂政を身内で固められ要職を平家とその近い人々に独占され
政局の中枢部から締め出された廷臣たちも面白くない。
さらに後白河法皇の幽閉は、多くの宮廷貴族たちの反感を買った。
最も反発したのが後白河法皇の異母妹八条院とその側近達。
けれども、八条院とその周辺は不快感を秘めながらもしばし不気味な沈黙を続けていた。

さらに、高倉上皇が従来のしきたりを破って院政開始の直後
どの寺院よりも先に厳島詣でに御幸ということが
朝廷に少なからず影響を与えている園城寺などの有力寺社勢力の反発を買った。

そして、後白河院政停止に伴う知行国変更の嵐は
全国各地に大きな混乱をもたらしていた。
それまで、院や有力権門の知行国だった国において重用されていた
在庁の豪族たちは干され
平家に派遣された目代の元、今まで日の当たる場所にいることのできなかった
豪族達が新たに取り立てられる。
そして、かつて彼らを圧迫していた旧在庁勢力に対する弾圧を開始する。
また、知行国ではないところでも、平家の家人にとりたてられた勢力は
平家の権勢を背景として周辺豪族に圧力をかけていく。
このことが後々に大きな影響を与えていく。

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