サッカー日誌 / 2009年03月07日


東京五輪招致に反対する(3)


コンパクト開催の大きな矛盾

★半径8キロ以内の大混雑
 2016年のオリンピック開催地に立候補している東京都は「オリンピック史上もっともコンパクトなオリンピックになる」と自慢している。サッカー予選会場を除けば、半径8㎞圏内に会場の90%が集中しているから、というのである。IOCに提出した開催計画でそう強調している。「東京の中心そのものが、巨大な一つの競技フィールドになる」とも書いてある。
 これは矛盾だらけの美辞麗句である。ふだんでさえ大混雑の大都市中心部に30前後の競技、数百種目のスポーツが押し込められ、17日間にひしめき合う。こんな大混雑が「環境と共生する新たな都市の姿を象徴する」と、どうして言えるのだろうか?
 日本の政治経済の中心が、2週間以上も「巨大な競技フィールド」になって、国全体の機能に支障を生じないのだろうか?

★オリンピック貴族に便利なだけ
 多くの競技場が車で20分以内で結ばれている。メーン・スタジアム、選手村、メディアセンターの主要施設が3㎞という近接した地域にある。だから便利だと言いたいのだろうが、コンパクト五輪は誰にとって便利なのだろうか?
 観客にとっては便利ではない。1人のお客さんが、1日のうちに、いろいろな競技を見て回ることはない。自宅あるいはホテルを出て、一つの会場にまっすぐ行き、まっすぐ帰るのが普通である。会場はばらばらにあったほうが混雑を避けられるからありがたい。
 各会場が近接していて都合がいいのは、いろいろな競技を視察して回るお偉がたである。IOCや日本のスポーツ界のトップクラスの委員たちだ。「オリンピック貴族」と呼ばれている。かつては本当の貴族が多かったが、いまではスポーツ・ビジネスに群がって、利用したり、利用されたりしている成り上がり者のビジネス・パーソンが多い。

★選手にとっても現実的でない。
 選手たちにとっても、コンパクト開催は必ずしも便利とは限らない。選手村から歩いてでも行ける距離の会場の場合は便利だろうが、実は現在のオリンピックでは、一流の選手たちは、ほとんど選手村に滞在しない。別の静かな環境のトレーニング施設を借り、その近くの宿舎を利用している。出場する日の直前に選手村に入ったり、近くの別のホテルに泊まったりする。競技場も宿舎も分散しているほうが、現代のスポーツにとっては現実的である。
 開催計画書の中に、北京オリンピックのときに多くの選手団が来日したことに触れている。中国でなく日本各地のトレーニング施設を利用したのである。東京オリンピックのときにも、多くの国の選手団が、それぞれ競技別に、日本各地に分散してトレーニングするだろう。それは悪くはないが、コンパクト五輪の考えとは矛盾している。

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