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【小倉百人一首】29:凡河内躬恒

2014年06月15日 08時24分09秒 | 小倉百人一首
凡河内躬恒

心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花

三十六歌仙の一人。下級官人であるにも関わらず、歌人としての名声を買われて『古今集』の選者に選ばれている。ちなみに他の選者は紀貫之紀友則壬生忠岑の3人。
以前引用した正岡子規の『歌よみに与ふる書』では、この歌を以下のようにけなしている。

 この躬恒の歌、百人一首にあれば誰も口ずさみ候へども、一文半文のねうちも無之駄歌に御座候。この歌は嘘の趣向なり、
 初霜が置いた位で白菊が見えなくなる気遣無之候。趣向嘘なれば趣も糸瓜も有之不申

つまり「初霜があるくらいで白菊が見えるわけないだろ、つまらん嘘をつくな」と言っている。
子規は『古今集』自体を散々にこきおろしていて、

 貫之は下手な歌よみにて『古今集』はくだらぬ集に有之候。その貫之や『古今集』を崇拝するは誠に気の知れぬことなどと申す

といっている。
また、『古今集』の冒頭は

 年の内に 春は来にけり ひととせを こぞとや言はむ 今年とや言はむ

という在原元方(在原業平の孫)の歌から始まるのだが、これついても以下のようにばっさり。

 実に呆れ返つた無趣味の歌に有之候。日本人と外国人との合いの子を日本人とや申さん外国人とや申さん
 としやれたると同じ事にて、しやれにもならぬつまらぬ歌に候。

古今集は平安期以降、貴族必読の歌集で長く日本人に親しまれてきたのだが子規のこの提言以来、『古今集』の評価はがくっと落ちて『万葉集』が再評価されるようになる。


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