憔悴報告

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フィルメックス・フィーバー 第5章:政治的メロスとダニエル・シュミット

2006年11月28日 | 新作映画
○フィルメックス3日目、『りんご、もうひとつある?』というイラン映画を観た。
どういう映画かというと、政治映画
政治的なテーマの映画ではなく、政治活劇といった方が正しいかも。
おれは(物珍しさもあり)けっこうおもしろかった。

(以下ネタバレあり)

○話としては、腹を空かせたハゲの主人公がいろんな集落を訪れてはその集落に決定的な影響を与え、「やっぱここはダメだ」と言ってあっさり立ち去り、また次の集落へ、というちょっと変則的なロード・ムービーになっている。

○で、その「決定的な影響を与えては去っていく」という有り様がまさに政治そのものではないかと。
しまいにはこの主人公、「日が沈むまでに走って戻ってこられたら、民衆を自由にし、この土地をお前たちに分け与えてやる」とか言われ、『走れメロス』よろしくドスドス走っていくわけなんだが、なんか意外にあっさりと到着してしまい、かと思ったら、「もっと走れ、日が沈むまでにお前が辿り着いた地点までを、お前たちに分け与えよう」などと言われ、最後まで走り続ける・・・で終わり。
うん、こういうのを政治(的な力の働き様を物語に内包させた)映画と言うべきだと思うな。

○4日目はダニエル・シュミットを2本立て
まずは『ヴィオランタ』という映画。
まったく予備知識なしで観たせいもあって、かなりのけぞった
ああ、ダニエル・シュミットってこういう映画を撮る人だったんだ(故人なので過去形)、となんだかポワーンとした気分に。
おれが知る限り、一番印象が近いのは黒沢清の『LOFT』。
そう言えば、樋口さん(だったっけ?)が「『LOFT』はダニエル・シュミットの『ラ・パロマ』に似ている」と発言されていたような。
そうか、『LOFT』はヒッチコックではなく、シュミットだったのか、と映画史の奥深さに思いを馳せる。

○2本目『天使の影』はかなり寝た(眠かったので・・・)。

○これは多分、脚本がファスビンダー(という偉い人・・・らしい)なのがけっこう重要なんじゃないかな。
根拠ないけど、ただなんとなく。
『ヴィオランタ』の方が物語というより、映画そのものの力を利用していた感じだったので、『天使の影』はまたまったく違う印象。
おれは単細胞なので、『ヴィオランタ』の方が好きだった。

業務報告
●確かこのあたりで、ロバート・アルトマンの訃報が飛び込んできた。
合掌・・・


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