Green Mind

音楽の感想や日記なんかをね

Clem Snide / You Were A Diamond

2005年01月31日 | 1980年以降ロック (米)
いつもお世話になっている特別さん推薦の品。バンド名はウィリアム・バロウズから取られたみたいです。かなり前、立ち読みしてみたけど、わけ分かんないっすね。カットアップでしたっけ?常人が読む本じゃない(笑)、とあの時は感じたんですが今はどうなんだろう。見つけたら見てみよう。

そんな彼等、アルバムタイトルも「You Were A Diamond」と非常に美しく、文学的な香りがしますが音もタイトル以上に美しい。全体的にアクースティックな作風で、楽器もフレーズを楽しむというよりも鳴らされた後の余韻を楽しむといった趣。個人的にはチェロがメンバーにいるだけで最高なんですが、ヴォーカリストEef Barzelay(イーフ・バーズレイ?)の声がまた良い。歌達の方も華やかなんていう言葉から程遠い地味~に良い曲ばかり。過度にメロディアスにしないところが長く聞けそうな予感を出してます。大推薦。今度「End Of Love」なんて新作を出すみたい。

Before A Word Is Said

2005年01月31日 | プログレっぽい
カンタベリーサウンド=フィル・ミラーのギターってのは間違ってないです。もちろん、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズの声、デイヴ・スチュアート、マイク・ラトリッジのオルガンプレイもありですが、フィル・ミラーのギターは飛び抜けてると思うのは僕が信者だからでしょうか。いや、そんなことはないはず。軽くディストーションをかけ、ぎこちなく弾く彼のフレーズには速弾き専門のギタリストには一生かかっても弾けない、いい意味での「素人臭さ」があります。フィル・ミラーだけでなく一歩間違うとヘタとも言われかねない微妙なサウンドが、カンタベリーミュージックの特徴とも繋がるのです。ヘンリー・カウは例外。

そんなフィル・ミラーと同じ資質を持つのがアラン・ガウエンというキーボーディスト。そんな彼のキーボードプレイがタップリ聞ける裏名盤「Before A Word Is Said」の紹介です。アラン・ガウエン(Key), フィル・ミラー(G), リチャード・シンクレア, トレバー・トムキンス(Dr)というカンタベリーオールスターとでも言うべきメンツで作られた、今作はアラン・ガウエンの遺作でもあります。録音されたのは死のちょっと前だったらしいんですが、そんな匂いは全くさせず、独特の繊細なモーグ、エレピ、シンセ中心の流麗な音を聞かせてくれています。セッションぽい雰囲気ですが、曲のモチーフはころころ変わり、キメはユーモラスな変拍子でバッチリ決めるという純カンタサウンド。リチャードはフレットレスベースをブンブン弾いて、フィル・ミラーも随所随所で鋭いフレーズ、ドラムスも純ジャズの香りを漂わせながらもバスドラの使い方なんかはロック調。M4なんて結構ファンキーです。アランのモーグ、エレピ、シンセに様々なエフェクト(ピッチベンダー、サステイン、フェイズ・シフター等。僕はピッチベンダーってヤン・ハマーの所為で嫌いなんだけど、アランのプレイは別。嫌味がない)をかけて弾くプレイには、驚くほど白い女の人の横顔を見た時にハッとするような瞬間を演奏してくれています。

Robyn Hitchcock, David Byrne, Surrender To The Air

2005年01月30日 | ちょっと変なロック (英)
引きこもり状態が続いているので、アマゾンでお買い物が中心になっとる状態です。この前届いた音の紹介。

Robyn Hitchcock / I Often Dream Of Train
元ソフトボーイズのソロ。ソフトボーイズ自体カルト的人気を誇る、サイケポップバンドということもあり、彼は本国エゲレスでも日本でも見逃されがち。今やR.E.M.やら、なんだそこら辺に絶大な信頼を得てる訳です(ついこの前新作も出ました)。このファーストソロはまずタイトルが???「俺はたまに電車の夢を見る」。ただ者ではない感じがよいですね。アルバム全体を通し、アコースティックギター、ピアノ、声に彩られた奇譚とでもいうべき楽曲群。突然ア・カペラのM4が入ったり、ディランファンはどう思うんんでしょう、な、気持ち悪いコーラスが入るM8がこの人の性格をよく表しています。ソフトボーイズも胡散臭いバンドだったけど、ソロになってその胡散臭さが倍増したように思います。


Surrender To The Air
フィッシュのトレイ・アナスタシオ、ジョン・フィッシュマンとメデスキ、マーティン&ウッドのジョン・メデスキがいるジャムセッションということで買いました。他にメンツはサン・ラ・アーケストラ、マーク・リボーという聞いたことはないけど強者ぞろい。ゆったりしたジャムかなと思って買ったんだけど、サン・ラ・アーケストラの色が強いのかな?僕は好きですけど、フリージャズっぽいのが多いです。というかフリージャズですな。メデスキはかなり危険な人物だということはなんとなく分かっていたけど、コレ聴いたら確信に変わりました。トレイ・アナスタシオは時折、あのキュイーンと伸びのいいフレーズを弾いてるっぽいけど、主役は多分マーク・リボ-。普通のフィッシュファンにはオススメしませぬが、このメンバーの中に気になる人がいたら是非。


David Byrne / Grown Backwards
あのミュージック・マガジンの中村とうようさんもベストに選んでた、元トーキング・ヘッズ(もうコレはいらないか)のデヴィッド・バーンのソロ。ビゼー作曲のオペラをカバーしてるということだけで、先のロビン・ヒッチコック並に胡散臭いオーラが出てる彼ですが、実際の音を聴いてみても貫禄という言葉が似合わないヒネクレ才人ぶりを発揮しています。聞く前は割とかまえていたんだけど、聞いてみると案外というか抜群にポップなので驚きました。ストリングスと声を主体にし、ロック、ポップス、ワールド・ミュージックをごちゃごちゃに混ぜて出来上がった音がコレなんですが、流麗な響きを持ってます。それにしてもオペラのカバーは胡散臭ぇ(笑)。狙ってるのかは知らないけど、デュエットの相手がルーファス・ウェインライトときた。なんにしても気構えて聞く必要がない、「ポップさ」はこのアルバムを語る上でもの凄く重要。

The Stone Roses / Second Coming

2005年01月29日 | 1980年以降ロック (英)
中学2年か、3年の頃めちゃくちゃに欲しかったCDがストーンローゼスのファーストアルバムでした。お小遣いも3000円くらいで、新品を買おうという意識はなく地元の中古屋を漁る日々が続いてました。散々探しまわっても見つからないので、「もう、新品でいいや」ってことで近くのWAVEに行ったんですがファーストがない。あるのは「ロックの歴史を目撃せよ」なんつー大袈裟なキャッチフレーズが書かれたセカンドアルバムのみ。買いましたよ。そりゃ、あれだけ探してたバンドのCDですから、なんの迷いもなく。

僕はローゼスはファーストよりセカンドの方が好きなんですが、それはとにかくジョン・スクワイアのギターにあります。それはそれは、カッチョいいフレーズを弾きまくる(ホントに弾きまくる)ジョンには、アホみたいに耳を傾けていました。M1からツェッペリンを思わせるタイトル「Breaking into Heaven」(天国ってトコだけですが)や、思わせぶりな始まり方からドキドキと胸が高鳴っていたのを思い出します。4分半でようやくワウのかかったギターに今となってはお馴染みのマンチェリズムがはいり、イアンのヴォーカル。なんだこの一体感。ギターやリズムからは思いつかないようなフワフワとした、サビでのボーカル、コーラス。惜しむらくはこの曲、フェイドアウトすること。フェイドアウトしなけりゃ、20分続いたっていいのに。それにしてもジョンのギターは弾きまくるのに性格なのかあんまり、ギターヒーロー特有の「おら、聞けっ」ってのがないね。他、レニを中心にバンド全体がグルーヴの鬼と化すM2, M4, M7、オーディエンスが主役と言わんばかりに合唱チューンM3, トラッド臭のするフォークチューンM5,M8、エレピ、パーカッションが気持ちいいサザンロックM6。んでこのアルバムで2番目に好きな(一番はM1)なM11。名曲です。イアンのヴォーカルと歌詞で初めて泣きそうになりました。ピアノ、ヴァイオリン、ギターが狂った様に6分25秒の「Foz」も良い。

くだらない

2005年01月29日 | 雑記
Galaxie 500というバンドは「ギャラクシー・ファイヴ・ハンドレット」と呼ぶのが普通なんでしょうけど、私は日本人。どうしても「ギャラクシー・ゴヒャク」と読んでしまいます。同様にTahiti 80も「タヒチ・ハチジュウ」と読んでしまいます。

Galaxie 500 / On Fire

2005年01月28日 | 1980年以降ロック (米)
最近というか、断続的ながらよく聴いているCDは米のGalaxie500「On Fire」ですね。この断続的というサイクルで聴くのがとてもよろしい人たちです。

音はとにかくユルユル、ダルダルのギターロック。それでもシンプルな編成にから出て来る音は、涙を誘う枯れた曲ばかり。ドラムスとベースの絡み合いなんて筆舌にし難い、魅力があります。ヨレヨレのファルセットも美しい。ヴェルヴェッツやテレヴィジョンが引き合いに出されることは、この手のバンドにとってはもう宿命的なことだけど、それに負けないだけの魅力があります。ドラムスのハイハット、シンバルを打つタイミングやノイズギターのソロの完璧さ、よく歌うベースなんかをよく聴いていると、かなり作り込まれてるというか計算された音作りのような気が。もしかしたら天然というのかもしれませんが。M10のジョージ・ハリスンのカヴァー、ニュー・オーダー、レッド・クレヨラ(コレはオリジナル未聴)も全く違和感なくやってしまっているのも、彼等が強力なオリジナリティを持っているということの証明です。Luna、Damon & Naomiもいいらしいね。

Travis Morrson / Travistan

2005年01月27日 | 1980年以降ロック (米)
解散してしまいましたが、くるりとのアメリカツアーに同行したバンド、アメリカはワシントンD.C.のヒネクレギターバンドDismemberment Plan(ディスメンバーメント・プラン)のフロントマンTravis Morrison(トラヴィス・モリスン)の1stソロ。ディスメンはポストパンクの流れを受け継ぎ、XTCというフィルターを通してギターロックとしてはかなり高レベルな音楽を聴かせ、くるりの岸田さんも「ギターロックの未来が少し見える」と言うほど。

「Republic Of Travistan」という国の宗教は100% Roman catholic、言語は英語が80%、フランス語が10%, スペイン語が7%, 日本語が3%。こんなことが歌詞カードに書いてあるんだから、面白い男というのは分かっていただけるでしょうか。ドラムスを除き基本的トラヴィス、Chirs Walla, Mike Duganによる多重録音みたいです。ゲストにはこれまたくるり関係でちょっと有名になったジョン・ヴァンダースライスの名やTravistan National String Orchestraなんていうのも。音も音で独特でアコギ、シンセ、メロディカ、ドラムマシーン、シロフォンなんかを効果的に使ったカジュアルなアヴァンポップという感じ。さらにスティーヴン・マルクマス、ルー・バーロウに通じる変なポップソングを書く人でもあります。そして全部聴いて思ったのがペイヴメントもマルクマスのソロもなんも変わってないのと一緒で、彼も基本的にソロになってもなんにも変わってないということ。それだけディスメンのファンには嬉しいだろうし、僕も大歓迎。とにかくこの変な「国」は一回行ってみるといいです。

The Replacements / Pleased To Meet Me

2005年01月26日 | 1980年以降ロック (米)
男の中の男という形容詞がぴったりハマる、ポール・ウェスターバーグが在籍していたバンド。それが、The Replacements。今回はジャケも素晴らしい、1987年発表の5th Album「Pleased Meet To Me」の紹介です。
メンバーはポールとトミー・スティンソン(Bass)、クリス・マーズ(Drums)にキーボードやサックスをゲストに迎えるという形で制作されています。プロデューサーはビッグ・スター、アレックス・チルトン、ライ・クーダー等のプロデュースを担当したジム・ディッキンソン。
アレックス・チルトンの信者であるポールには相当嬉しかったでしょう。

初期の彼等はハードコアパンクバンドだったそうで、5th Albumとなった今作でもその勢いは衰えてません(僕はこれ以外持っていません)。今だとパワーポップと呼ばれるでしょうが、微妙に違うんだなぁ。アレックス・チルトンもビッグスターもそうだけど、もちろんパワーポップ万歳な曲はあっても、メンフィス特有の土臭さとでもいうべき魂があった。サザン・ロックってやつですな。それをチョット薄めた感じ。それで、ポールはその微妙な部分にかなり憧れたと思うんです。一言でパワーポップと呼ぶにはメロディがロックンロール最高だぜ!っていう勢いに溢れすぎ。それでもM1は快速パワポで始まります(笑)。M2は始まった瞬間名曲だとわかる、その名も「Alex Chilton」。ちょっとこの曲を超す曲は今作にはないかも、というくらい完璧。甘過ぎないメロディはまさにロックンロールでしょう。それと特筆すべきは、ブリッジのアレンジのかっこよさ。今までガンガンで突っ走ってきたのが突然、アコギでチャッチャッチャッチャとかき鳴らしながら、サビを歌う。今だと、使い古された手法かもしれないけど、カッコいいんです。サックスが唸るハードコア調のヘタレコーラスがいい感じのM3、サックスを配しトミーもアップライトベースを使ったジャジーなM4、ギタポアルペジオが美しさが冴える、メロディの美しさでは今作随一M6、ポールのソロへ引き継がれるだろう弾き語りのM10も最高。ポールら三人のソングライティング能力と引き出しの広さが存分に味わえるでしょう。彼等にとって嬉しかったのがM11でアレックス・チルトンの参加。クレジットには「Guitar Fills」とありますが、どういうことでしょうか?あと、これウィルコ「Summerteeth」の元ネタです。多分。ジェフ・トゥイーディとも声がなんとなく被るし。