goo blog サービス終了のお知らせ 

Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『世界にひとつのプレイブック』 (2012) / アメリカ

2013-02-23 | 洋画(さ行)


原題: SILVER LININGS PLAYBOOK
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: ブラッドリー・クーパー 、ジェニファー・ローレンス 、ロバート・デ・ニーロ 、クリス・タッカー 、ジャッキー・ウィーヴァー 、ジュリア・スタイルズ


思わず日本語訳に困りそうな複雑な原題、これは"Every cloud has a silver lining" の諺から来ているそうです。
「どんな雲にも銀の光明あり」とでも訳せばいいのかな? 「銀の裏地」っていうのも何となく想像しづらいし。この"lining"はいわゆるコートとかにくっついている「ライナー」。
大意としては「希望の光」になるのでしょう。


この先ネタばれあります。 ご承知置き下さい。





妻の浮気・離婚がきっかけで躁うつ病になったパット、夫の死後あばずれになったティファニー。
どちらもそれまでの幸せだった日々が壊れた結果、精神のバランスを崩した者同士。
接近禁止令が出ているにも関わらず、未だに前妻に愛されていると思いこんでなかなか執着が外せないパットに、たぶんジェニファーは惹かれてしまったのでしょう。表面は素っ気ない振りをしながらも実は彼のことを好きになってしまった弱みを見せたくはない女心が逆に、荒々しい態度になってしまう。

双極性障害(躁うつ病) wiki

この症状についてある程度理解していないと、劇中のパットの行動を読み抜けないかもしれない。
躁うつ病と言っても様々な程度があり人それぞれの出方があるため、一概には言えないが、恐らくパットの場合は前妻に関することが強く出る。音楽にしても場所にしても。
曲が一瞬でも流れるとフラッシュバックする、そしてかかっていた結婚式のDVDは観たくないはずなのに、狂ったように探すパットは、自分がそこにしか戻れないから必死に居場所を探しているようにも思える。
友人にうつ病患者がいるが、その人曰く「自分を見ているようだった」。家族や周辺を巻き込んで粉々につながりや流れを砕き切ってしまったり、穏やかさからは程遠い言動をしてしまうのも、うつ病の人にとっては心当たりがあるのだろう。それだけブラッドリーの演技が堂に入っていることになるのだけど。

ティファニーのセックス依存症も、自分を理解してもらえない、居場所がないことの裏返し。
彼女にとっても触れられたくない部分であるはずなのに、それを真っ向から否定されるのは屈辱なのだろう。ここが非常に厄介な部分で、心の傷を抱えた人を受け入れる際は注意しなくてはいけないようだ。

こんな風に互いにトラウマを抱えながらも支えていく・・・ ということなのだけど、2人の出会いがハロウィーンで結末がクリスマスとすると約2カ月間。
2カ月間ですっかり立ち直ることは難しいので、立ち直るきっかけを与えてくれたのがダンス、くらいに考える方がいい。実際に身体を動かすことは脳の活性化にもつながるし、ダンス自体がセラピーとしても使われているようだ。
ただ、賭け事の対象としてセラピーを巻き込んだのは果たして正解なのか? もし二重の賭けが失敗していたらどうするつもりだったのか?あのダンスでは5点はおろか3点台でもいいように思うのだけど(苦笑)
ロバート扮する父親がパットに依存する所も、逆にパットのためを思うと大変よろしくないのだけど、この激情型の父にして息子ありなのかもしれないとも思えてくる。

非常に複雑で繊細なうつ病が前半で描かれているのに、「希望の光」がとても安易に射してはいまいか? 
前妻のことが忘れられなかったのに手紙の件があるとは言え、心が動いたのはダンスの影響なのだろうけど、後半部分がかなり大味に感じられてしまう。多くの人を「泣かせる」にはこれでいいのだろうし、原作もありきなので狙っているようにも思うのだけど、映画のバランスとしては最後は「持って行った」感がたっぷりと出てしまったような気がする。
考えてみればデヴィッド・O・ラッセル監督の前作『ザ・ファイター』と同様の運び方と思ってしまったのは私だけだろうか。


★★★ 3/5点








最新の画像もっと見る

22 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
デヴィッド・O・ラッセル監督 (まっつぁんこ)
2013-02-23 17:12:47
『ザ・ファイター』と同じ監督の作品なんだ。
だったら、助演男優賞かなあ(笑)
返信する
まっつぁんこさん (rose_chocolat)
2013-02-23 17:18:54
>だったら、助演男優賞かなあ(笑)
? 何でそうなるの??

ここ最近アカデミー賞レースには全く関心なくなってます。
返信する
こんにちわ (にゃむばなな)
2013-02-24 15:57:08
恐らくこの監督のこれからの手法はこの手になるような気がします。
距離が縮まらない家族が何かをきっかけに絆を取り戻すというパターンに。

ということは、いつしかジョージ・クルーニーとの距離も縮めたいのでしょうか。
でもジョージ・クルーニーはマーク・ウォルバーグとの距離を縮めたいと言い出すかも知れないですし…、あぁ~ややこしい!
返信する
最後は・・・ (ノルウェーまだ~む)
2013-02-24 16:39:10
roseさん☆
同感です~
最後はあっさり病気も克服してしまって、こんな風に上手い事いくなら苦労しないわっていうかんじでした。
躁うつの場合は、異常に元気はつらつ(一晩中本を読んで感情が高ぶるとか)時がしばらく続くと、そのあと寝込んで動けなくなる時が交互にくるんですよね。
映画では「躁」の部分しか見えなくて、こうは簡単にいかないよねーとも思いました。
返信する
ダンスの採点が (ituka)
2013-02-24 21:53:59
何を基準にしてるのかよく分からないコンテストでした。
プロダンサーに7点代でモロ素人の踊りに5点ってどゆこと?(笑)
たしかにアレなら3点で十分ね(爆)
返信する
にゃむばななさん (rose_chocolat)
2013-02-24 22:06:40
>この監督のこれからの手法はこの手になるような気がします
というか、このパターンしか作れない監督のような気がしました・・・。
返信する
ノルウェーまだ~むさん (rose_chocolat)
2013-02-24 22:07:48
そうです。
この人たちは、2カ月くらいで治すきっかけをつかんでしまったけど、
そうじゃない人も世の中にはいっぱいいるからね。

まあ、映画ですから、これもありだとは思いますけどね。。
返信する
itukaさん (rose_chocolat)
2013-02-24 22:09:59
>何を基準にしてるのかよく分からないコンテスト
そういう所は、どうでもよかったんだと思います(笑)
本当はそこの細かい部分が重要なんだけど、この監督はその調整はしなさそうでしょう?
だから観てる方は「あれ?」ってなるけど、「まあいいじゃんいいじゃん」って目をつぶる人の方が多いから、仕方ないのでしょう。
返信する
ロマ・コメなんだなちゃんちゃん (q りんく終了)
2013-02-25 20:51:40
あ「持って行った」感(゜∇゜*)(。。*)ウンウン
そう・・・ ちゃんちゃんっはい!ヾ(-д-;)ぉぃぉぃ
私の親戚に酒乱で躁鬱で、某有名通信社のカメラマンしてたのが、先日は自殺した現実
それを思うと、うーーーん2ヶ月ってぇぇぇぇぇ?!?!と
結局自分の事しか考えてないのはまぁアリだけど
サブキャラが美味テイスティーだったわ(笑)
流石デニーロ氏とジャッキー・ウィーヴァーだし
クリス・タッカーがーー!!!!!!
ってコレ。ロマ・コメなんだなよなちゃんちゃん(とほほ)
返信する
qさん (rose_chocolat)
2013-02-26 07:38:22
リンクありがとうね。

そう~。「持って行った」でしょう? 笑
病気ってもっと深刻なのに、ここまであっさりと題材にされちゃうと、
かなり違和感あるんですよね。
もっとも、ここが出発点って話だとは思うんですけど。
返信する

post a comment

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。