荒井晴彦脚本はいつも「エグい」ところを突いてくる。
そしてどことなくエロスの香りがする。
シネコンでかかる作品にはない重さというか、昭和の香りがするところが好きだ。
(・・・シネコンで観てしまったけど。 笑)
『幼な子われらに生まれ』公式サイトはこちら。
一見幸せそうに見えるファミリー。
しかし果たしてそのどれだけが形通りに幸せであるのだろうか。
郊外に立ち並ぶ無機質な団地、しかしよく見るとエスカレーター様のものが違う。そこだけ異質なのだ。
山の麓から頂上にずっと伸びるそれは、エスカレーターではなく斜行エレベーターである。山に沿って住宅があり、そこの住民用に開発されたエレベーター。遠目から見れば普通に感じるのに、近くに寄ると実態は奇妙なものがある。それは信の家族にも言えること。
日本でも恐らくはステップ・ファミリーの割合が高くなって来ているからこそのストーリー。
幸せになるために敢えてそれまでの家族を終わらせた。そして今度こそ幸せになろうと新たな家族を見つけた。そこから幸せになれる確率はどのくらいなのだろう。新しくつながった夫婦間の子が生まれれば、それらの問題は全て解決するのだろうか。
「親たちにとってはその選択が幸せであったとしても、子どもたちにとってはそうとは限らない」という可能性は、新しい一歩を踏み出す時には親たちの中ではさしたる心配事ではない。しかしその心配事が現実的となってしまった時、どう対処すればいいのだろうと初めて親たちは途方に暮れる。
信と沙織
信と薫
信と恵理子
信頼できる父のはずなのに、最早父と素直に呼べない。
思い切って胸襟を開けない肉親との同居のしんどさ、その状況を作り出した大人への憎しみ。
いずれも思春期の子には重すぎる。
奈苗と薫
奈苗と恵理子
奈苗と沙織
母に対しては、「母」として接するのか?それとも「女」としてしか見れないのか?
「女」を優先させる母への嫌悪感は、子どもの自分も同性であるが故にもれなく持ち合わせているからこそ、倍増してくる。
沢田と薫と恵理子
友佳と沙織
薫と沙織
薫と恵理子
そして
まだ見ぬ我が子
「子」に縛られることを拒否する大人たち、その大人に翻弄される子が負う心の傷。
その大人たちも社会のストレスで深く疲弊しきっている。
信の無力、沢田の場末感、友佳がキャリアを追った先にあるもの・・・ いずれも現代の雇用情勢が抱える病理から来るもの。
それぞれの糸は、絡むつもりもなかったのに、いつの間にかどうしようもなく複雑に混ざり合い、ほどけなくなる。ほどこうとしてもそれは無理なのだろう。絡まったところから、どう進んでいくのか。絶対に理解することはないと信じ込んでいた心が、きっかけがあって初めてほぐれていく様は、絡み合った糸に似ている。それぞれがある意味わがままだった4人の親たちが少しずつほぐれる時、子どもたちもまた自分たちの世界を広げるのかもしれない。
沙織、薫、恵理子のキャスティングがいい。それぞれの子が持つ屈折したものと、真っ直ぐなもの。光と陰、そこを的確に表していた配役だった。脚本も演出も、恐らくは原作に誠実に作っていたのではなかろうか。
★★★★☆ 4.5点
離婚して再婚してみればわかるのだろうか?
ありえないけど(^^)/
そこはすごく現実的だと思った。
ああいうこじらせた子、いるからね。
怯んでしまいました。
意気地がないので、最近は特に重い作品に足が向きません。。。
でもroseさんの簡潔で的を射た文章から、
私が想像した以上の展開が描かれていたのだと察することが出来ました。
イイ作品、印象的な作品と解っても、
リアルなザンネンでどうしようもない事には目を向けられない大人です私(笑)
長く続けた楽天ブログ、本日終わらせました。
私のリアル友との仲が妙なことになり、これ以上あの場で書くのが辛くなってしまって・・・
結構居心地良かっただけに、継続したかったんだけど・・・うーん、悔しいなあ!
ということで、ヤフーに引っ越しです。地味だし、かなり使いづらいけど仕方ない。ほとぼり冷めたらまた向こうに戻るかもですが・・・
とりあえず、ご報告です。
別館きまぐれ屋。https://blogs.yahoo.co.jp/daifuku2522
重たいんですけど、見応えあって好きです。
とはいえ、体力気力十分でないと、重い作品は足が向きづらいですよね。
気が付くのが遅くなって申し訳ないです。
これからも、訪問させていただきますね。
よろしくお願いします。