やっぱりガエル・ガルシア・ベルナルよね~!
本作を鑑賞希望とする方々のおそらく殆どがそう思うに違いなく、ご多分に漏れず私もそうだった。大ファンというわけではないけど、今まで観た彼の映画は全て良かったし(『天国の口、終りの楽園』『アモーレス・ぺロス』『モーターサイクル・ダイアリーズ』)、バンちゃんことアントニオ・バンデラスの跡を引き継いでラテンのスターになるのは間違いなく彼なわけで、しかもあのアルモドバル映画の主演なのである。
ま、正直私は最近の大先生(ご本人はそんなこと思ってないだろうけど)におなりになってからのアルモドバル映画はまったく観ておらず、どっちかというと初期のヘンテコなノリの色鮮やかなゲイ映画監督のイメージが強い。その彼が女性映画、と評される作品で賞など獲ったりしてるというのがいまいちピンと来なくて、つい近年の作品は観そびれていた。だが、今回は監督の自伝色の強い、初期に立ち返ったような映画だというではないか。しかもラテンの若きスター主演。これが傑作でないわけがない!
などと意気込んでスクリーンに臨んだワタクシでした。観る前までは。
・・・すみません! ガエル君よりエンリケ@フェレ・マルチネスのほうに目が釘付けでした・・・! こういう番狂わせ(?)があったりするから、また映画鑑賞というのは楽しいものである。
さていい加減、本編の感想。いやあ・・・確かにまごうことなくアドモドバルの傑作である。しかしまさか、ここまでどろどろの情念渦巻く映画とは思わなかった。濃い。むせかえる背徳の官能と、堕落を選んだ人間の凄みに、気を失いそうになるほど。巡る因果と欲望という名の愛に振り回される男たちと、そこまで行けなかったゆえに傍観を選び取った男の切ない物語。
ここにあるのは、正に複雑怪奇な人間の生き様、そのものである。
映画はフェレの演じたエンリケの目から語られる。彼こそが傍観者にならざるを得なかった男である。少年時代の恋人と離れて違う道を歩んでいた時間が長かっただけに、そして恐らくは生来の性分のため、溺れることの出来なかった彼。私は彼のその冷静さゆえの切なさ、その瞳に滲む屈折した色気にまいってしまった。
そして彼の少年時代の恋人と名乗る男が、ガエルだ。彼は、まったく健康的に美しい容姿で人を陥れる。彼の愛はすべて浅はかな取引だ。深い計算があるわけではなく、成行きと思いつきの打算で動く男。そしてその魅惑的な取引の罠にかかり、過去に引き戻され、もう二度と帰ることが出来なくなった中年男が一人。或いは、彼らの中で一番幸せなのは、このいい歳をして背徳の道を戻った彼なのかもしれない。彼だけが、何はともあれ納得づくの思いを遂げたのだから。そして、おそらくは彼の中では、純愛だったりするのかもしれないから。(甘美な罰といったところか。なんだかtoo muchカトリック、なんて思ってしまった)
よもや、アルモドバルがここまで、風格さえ漂わせるような作品を撮りきる監督になっていたとは。と、甚だ深い感銘を受けてしまった。失礼。私が単に知らなかっただけですね^^;;
さすが10年かけて、この映画を撮る必然を待っていただけのことはあるかな。そして相変わらず呑み込まれるような艶やかさの色彩設計、画により深い印象を与える音楽の良さも特筆すべきだろう(久々にサントラが欲しいと思った映画だ)。特に『ムーン・リバー』には、色んな意味でぞっとする。前々から感じていたのだけど、ボーイソプラノっていかがわしいですなあ・・・(そんなふうに感じる私が汚れてるのか)。
ところで、本作のエンリケ役で私の心を奪った(笑)フェレ・マルチネス。美形というよりは雰囲気でみせるタイプで、ガエルに比べれば線も細く華も弱いものの、少なくともこの役を演じる俳優としてはパーフェクトの存在感である。ああ~本当にステキだったなあ。マイ・コレクション(・・・)的には久しぶりの猫っぽい優男系だけど、彼には今後とも是非とも注目したいきたいわ。などと思ってプロモーション時の写真など見ると、なんとっ。頭髪具合がヤバいことになってるじゃん(爆)! しかも素の本人は色気より道化って感じのキャラらしく、エンリケの影の微塵もないところにますます惹かれてしまったりして。
え? ガエルくんですか?うーむ・・・この役は、私にはそれほどハマってるようには見えなかった、というのが正直なところでしょうか・・・いや、彼のことは好きなんですよ! だけど。女装姿とかは予想通りにキレイだけどさ・・・そしてめちゃめちゃ体張ってましたけど(笑)!
まあ誰でも、メインの脇で妖しげに輝いてる人に目が行ってしまうことって、ありますよね、うん。
本作を鑑賞希望とする方々のおそらく殆どがそう思うに違いなく、ご多分に漏れず私もそうだった。大ファンというわけではないけど、今まで観た彼の映画は全て良かったし(『天国の口、終りの楽園』『アモーレス・ぺロス』『モーターサイクル・ダイアリーズ』)、バンちゃんことアントニオ・バンデラスの跡を引き継いでラテンのスターになるのは間違いなく彼なわけで、しかもあのアルモドバル映画の主演なのである。
ま、正直私は最近の大先生(ご本人はそんなこと思ってないだろうけど)におなりになってからのアルモドバル映画はまったく観ておらず、どっちかというと初期のヘンテコなノリの色鮮やかなゲイ映画監督のイメージが強い。その彼が女性映画、と評される作品で賞など獲ったりしてるというのがいまいちピンと来なくて、つい近年の作品は観そびれていた。だが、今回は監督の自伝色の強い、初期に立ち返ったような映画だというではないか。しかもラテンの若きスター主演。これが傑作でないわけがない!
などと意気込んでスクリーンに臨んだワタクシでした。観る前までは。
・・・すみません! ガエル君よりエンリケ@フェレ・マルチネスのほうに目が釘付けでした・・・! こういう番狂わせ(?)があったりするから、また映画鑑賞というのは楽しいものである。
さていい加減、本編の感想。いやあ・・・確かにまごうことなくアドモドバルの傑作である。しかしまさか、ここまでどろどろの情念渦巻く映画とは思わなかった。濃い。むせかえる背徳の官能と、堕落を選んだ人間の凄みに、気を失いそうになるほど。巡る因果と欲望という名の愛に振り回される男たちと、そこまで行けなかったゆえに傍観を選び取った男の切ない物語。
ここにあるのは、正に複雑怪奇な人間の生き様、そのものである。
映画はフェレの演じたエンリケの目から語られる。彼こそが傍観者にならざるを得なかった男である。少年時代の恋人と離れて違う道を歩んでいた時間が長かっただけに、そして恐らくは生来の性分のため、溺れることの出来なかった彼。私は彼のその冷静さゆえの切なさ、その瞳に滲む屈折した色気にまいってしまった。
そして彼の少年時代の恋人と名乗る男が、ガエルだ。彼は、まったく健康的に美しい容姿で人を陥れる。彼の愛はすべて浅はかな取引だ。深い計算があるわけではなく、成行きと思いつきの打算で動く男。そしてその魅惑的な取引の罠にかかり、過去に引き戻され、もう二度と帰ることが出来なくなった中年男が一人。或いは、彼らの中で一番幸せなのは、このいい歳をして背徳の道を戻った彼なのかもしれない。彼だけが、何はともあれ納得づくの思いを遂げたのだから。そして、おそらくは彼の中では、純愛だったりするのかもしれないから。(甘美な罰といったところか。なんだかtoo muchカトリック、なんて思ってしまった)
よもや、アルモドバルがここまで、風格さえ漂わせるような作品を撮りきる監督になっていたとは。と、甚だ深い感銘を受けてしまった。失礼。私が単に知らなかっただけですね^^;;
さすが10年かけて、この映画を撮る必然を待っていただけのことはあるかな。そして相変わらず呑み込まれるような艶やかさの色彩設計、画により深い印象を与える音楽の良さも特筆すべきだろう(久々にサントラが欲しいと思った映画だ)。特に『ムーン・リバー』には、色んな意味でぞっとする。前々から感じていたのだけど、ボーイソプラノっていかがわしいですなあ・・・(そんなふうに感じる私が汚れてるのか)。
ところで、本作のエンリケ役で私の心を奪った(笑)フェレ・マルチネス。美形というよりは雰囲気でみせるタイプで、ガエルに比べれば線も細く華も弱いものの、少なくともこの役を演じる俳優としてはパーフェクトの存在感である。ああ~本当にステキだったなあ。マイ・コレクション(・・・)的には久しぶりの猫っぽい優男系だけど、彼には今後とも是非とも注目したいきたいわ。などと思ってプロモーション時の写真など見ると、なんとっ。頭髪具合がヤバいことになってるじゃん(爆)! しかも素の本人は色気より道化って感じのキャラらしく、エンリケの影の微塵もないところにますます惹かれてしまったりして。
え? ガエルくんですか?うーむ・・・この役は、私にはそれほどハマってるようには見えなかった、というのが正直なところでしょうか・・・いや、彼のことは好きなんですよ! だけど。女装姿とかは予想通りにキレイだけどさ・・・そしてめちゃめちゃ体張ってましたけど(笑)!
まあ誰でも、メインの脇で妖しげに輝いてる人に目が行ってしまうことって、ありますよね、うん。
私も優男系な佇まいのフェレに惹かれたクチなので、同じような事を思っている方がいると知り、とても嬉しいです!
普段の飄々としたおとぼけキャラもまたいいんですよね~♪
というわけで私、じつはフェレのファン・サイトを細々とではありますが運営しております。
おヒマな時にでも覗いていただけましたら幸いです(^^;
というわけで、はじめまして! フェレのファンサイトを運営されているぺりーとさんにコメント頂くなんて、こちらこそ感激です。ありがとうございました!!
先週は『テシス』も観まして、バッド~のエンリケとは対極にあるような、色気のいの字もないようなオタク青年ぶりに、またまたもんどり打ってしまいました。いずれ感想もアップする予定ですが、この作品の彼も良いですね。おかげでヒロインより彼に感情移入してしまいました(それは同じオタ要素を持つ人間として・・・;;)。
次は『アナとオットー』を観てみようかな、と思ってます。
拙サイトを既にご覧になって下さっていたのですね。なんかちょっと照れますわ~(^^ゞ
でもとっても嬉しいです!
『テシス』もご覧になったのですね♪
エンリケ監督の美意識からしたら、対極にあるような小汚いチェマ君でしたよね~(笑)これが同一人物とは思えないです。
イジけてみたり、ヤキモチ焼いたりという仕草がなんとも可愛く、見ていて飽きなかったです。
感想楽しみに待ってます(^^)
『アナとオットー』の、繊細で薄幸でダメダメ(笑)なオットー君を演じるフェレもまた見ものですヨ~♪
『テシス』のチェマ君@フェレについては、エントリでいろいろ書こうと思ってるのですが(早くアップしろ!って感じですよね…すみません、いろいろ溜まってまして)一言。
あのメガネに髭は何故か『シークレット・ウィンド』のジョニデ氏にそっくりじゃないですか?(笑) 一人でウケておりました~。
『アナとオットー』ではダメダメなんですね!! 嗚呼、ダメダメが悲しいぐらいハマりそうで^^;; これまた楽しみです!
そうなんですよォ~~!私もずうっと密かにそう思っていたのですがナゼか誰も言ってくれなかったので、そう思ってくださる方がいてとっても嬉しいです♪
あと、個人的には若い頃のビクトル・エリセ監督(アナ・トレントが子役時代に出演した『みつばちのささやき』の監督さんです)にも似ているなあ~と思います。
きっと、両方観ている人が少ない・・・のかもしれませんね^^;; >『テシス』と『シークレット~』
そして、実は私はビクトル・エリセ監督の作品は観たことないのです。勿論『みつばちのささやき』は公開当時大好き、と言ってた友達も何人かいて、アナ・トレントのカワイサは目に留めてたのですが・・・
スペイン映画には疎かったので(アルモドバルとカルロス・サウラの映画を幾つかしか観てないのです)ぺりーとさんのHPで少し勉強させて頂こうと思っている私です。