晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『まんぞくまんぞく』

2017-04-06 | 日本人作家 あ
この前、池波正太郎さんの作品をけっこうたくさん
買ってきたはずなのですが、それこそあっという間に
読んでしまって、もう残りはいくつもありません。

困ったものです。

さて、この作品は、女剣士が主人公です。と書くと
「剣客商売」の佐々木三冬?
ではなく、名前は堀真琴といって、こちらは田沼意次の
「隠し子」ではなく、七千石の大身旗本、堀内蔵助直照
の姪。

真琴の父も母も亡くなっています。父は真琴の生まれる
前に病死したと伯父の内蔵助や古くからいる堀家家臣から
聞いていて、名は「佐々木兵馬」とだけしか聞かされて
いません。

ある日のこと、真琴は家来の山崎金吾とふたりで出かけて
ると、林の中で浪人に襲われそうになります。
そこに、老人がふらりと現れて、浪人の鼻先をスパッと
斬ってしまい、浪人は逃亡。

真琴は助かりましたが、山崎は浪人に殺されます。
老人は医者で関口元道といい、元道は御用聞きに浪人
の行方を捜させますが、見つかりません。

それから九年後。

真琴は二十五歳、あのときの山崎を殺した浪人の敵討ち
に備えて、道場で稽古にはげみます。
伯父の内蔵助には長男、真琴にとっては従兄弟がいたの
ですが、これが病死し、世継ぎのいない内蔵助は真琴を
養女にし、やがて婿を跡継ぎにしようと考えていますが、
ところが真琴、ちょっと変なことをしているようで、
男装で夜中に街へ出て、そこら辺の知らない侍に襲い
かかって川に投げ落としたり、髷を切り落としたりと
狼藉をはたらいています。

さらに、自分の結婚相手は自分と剣の勝負で勝った男
とじゃなきゃいやだとのたまい、内蔵助は困ってしまい
ます。

真琴に髷を切り落とされた侍ですが、この屈辱を晴らそう
と「犯人探し」をし、とうとう真琴らしいと突き止めるの
ですが、これを手伝った覆面の浪人、なんと鼻が欠けて
いたのです・・・

一方、真琴の婿候補は七人になりますが、七千石の旗本
の縁談ですから相手も相応の家格ということで、その次男
や三男が来るのですが、誰も彼も真琴の相手になりません。
ところが、八人目の婿候補、織田平八郎は、ちょっと剣が
使えるようで、真琴も「お、この男は強いぞ」となりま
すが、なんと平八郎は剣を下げ「こんな女、抱く気もしない」
と言って、勝負をやめたのです・・・

平八郎からこんな言葉を言われた真琴、ふたりの関係ははた
して。そして真琴に恨みを持つ侍と鼻掛けの覆面浪人は。

タイトルから「剣客商売」の番外編「ないしょないしょ」を
連想しますが、まあそんなに全くの別物とまではいえません。
佐々木三冬も説明だけですがちらっと出てきます。



コメント
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