To Read, or Not To Read, That Is The Question

読むべきか、読まざるべきか、それが問題ダッ。

宮部みゆき 『桜ほうさら』

2017-07-17 | 日本人作家 ま
そういえば宮部みゆきさんの作品はずいぶん読んで
ないなあと思い、当ブログで調べたら、2015年8月
以来でした。そんなに読んでないんですね。

あの映画化されたやつもまだ読んでないですし、
まあいつの日か。遠い未来か近い将来かわかりま
せんが。

さて『桜ほうさら』ですが、時代小説です。

江戸、深川にある長屋にひとり住む、古橋笙之介。
笙之介は、いちおう武士です。
生まれと育ちは上総の国、搗根(とうがね)藩で、
父の宗左右衛門は無実の罪を着せられて切腹。
藩校で学問を続けていた笙之介は、母の命令で、
江戸留守居役、坂崎重秀に会いに江戸へ。

なぜ坂崎に会いに行くのかというと、笙之介の母は
再婚で、最初に嫁いで死別した夫の親戚が坂崎とい
う旧知の間柄で、なんとか古橋家の再興のお取りな
しをしていただくため。

ところが、坂崎は笙之介にやってほしいことがある
から江戸に呼んだのだというのです。

じつは搗根の藩内では跡継ぎ問題で勢力争いがあり、
笙之介の父が切腹することになったのは、そのゴタ
ゴタに巻き込まれたというのです。

そこで笙之介は、勢力争いのキーとなる、ある(特殊
技術)を持つ人間、父もそのせいで切腹することに
なったのですが、江戸のどこかにいるはずで、そいつ
を探すために長屋住まいをはじめます。

坂崎の知り合いの書物問屋から、貸し本の写しなど
の仕事を与えられて、長屋の他の住人たちとも仲良く
やりつつ過ごします。

そんなある日の朝、部屋から外を見ていると、桜の木
の下に、女性がたたずんでいます。
一瞬(桜の精)かと思った笙之介。のちにその女性は
(和香)といい、めったに外出しないということも
わかります。

それから、なんやかやと笙之介の周りで問題が起こっ
たりしますが、和香の協力もあって乗り切ります。

笙之介は父を陥れた真相を見つけることができるのか。
そして和香との関係は・・・

文中の(搗根藩)とは架空ですが、上総の国、現在の
千葉県には(東金市)があり、町は古く戦国時代には
城があり、徳川家康が鷹狩りに訪れたこともあったそ
うな。
ですが、文中には「遙か北方には険しい山地」とあり、
東金は外房の九十九里海岸沿いで、そのような山地は
見当たらず、おそらく鋸山のことを指しているのでは。
なので搗根は上総でも内房の設定なのかな、と。

笙之介の江戸での暮らし、住民とのふれあいといった
話と、藩内の勢力争いといった暗くてきな臭い話が
絶妙なバランスで描かれて、読んでる最中は心地よい
んですね。文庫でしたが、挿し絵の雰囲気もいいです
ね。

タイトルの「桜ほうさら」とは、笙之介が通っていた
藩校の老女中が言った、甲州(山梨県)の方言で
「ささらほうさら」といい、いろんなことがあって大変
だ、という意味で、これに和香を見初めた(桜)を
くっつけたものですね。素敵なタイトルですね。
こんな店名の和風カフェがあったら行きたいですね。

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2 コメント

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Unknown (神崎和幸)
2017-07-18 14:35:53
こんにちは。

自分も『桜ほうさら』読みましたよ。
人生には思いがけないことが起きることもあります。
でも一生懸命生きていれば帳尻が合うようになっているのかなって思いましたよ!

確かに素敵なタイトルですよね。
Unknown (ロビタ(管理人))
2017-07-18 22:09:16
>神崎和幸 さん
コメントありがとうございます。
宮部さんの作品はどこかしらで希望を
見出せる部分があるので好きです。

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