鹿児島県商圏の現状分析 1
2011年3月25日,コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンは,鹿児島県初出店となる鹿児島空港前店(霧島市)など4店を出店した。同社は,宮崎県内にある弁当工場や配送センターを活用し,まずは宮崎県に隣接する霧島市などから、同県内に広げる意向である。
セブン-イレブン・ジャパンは,「コンビニはドミナント(地域集中的)出店でなければ成功しない」との出店戦略を鉄則としており,今後3年内で一気に県内200店の出店を計画している。
▼鹿児島県の現状--過疎化・人口減少止まらず
鹿児島県のコンビニはすでに、約200店を出店するファミリーマートに続き,約100店のローソン,ココストア,さらにサークルKサンクスと,4社が,競い合っている。鹿児島県の人口は,戦後最少となる約170万人である。辛うじて大台は維持したものの,前回の05年国勢調査時(175万3179人)に比べ約5万人の減である。
県内人口のピークは1955年の204万4112人。以降,高度経済成長に伴い,地方から都市部への人口流出などで減少が止まらない。過疎化が進む中,県内の主要商圏は鹿児島市、霧島市,鹿屋市など一部の地域に限られる。
◆鹿児島県,購買動向調査を再開-母数は3万世帯
鹿児島県は,県内全域の一般消費者を対象に,消費者購買動向調査を実施した。
「2009(平成21)年度 消費者購買動向調査」は,サンプル世帯数は,県内を全世帯の5%弱に当たる31,862世帯。食料品や日用雑貨品,高級衣料品と云った商品ごとに,どの市町村のどんな業態の店で買い物するかを質問。県内各地の商圏への人の流入,流出状況を調査している。
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1 鹿児島県の商圏構造--13商圏から形成
鹿児島商圏は,鹿児島,鹿屋,川内,国分,名瀬,出水,姶良,隼人,指宿,加世田,阿久根,伊集院,枕崎の13 の商圏から形成される。
商圏規模の変化をみると,商圏規模が拡大(購買人口の増加)がみられた商圏は,地域型の姶良商圏,隼人商圏,地区型の阿久根商圏の3 商圏のみであり,他の9 商圏については,商圏規模の減少(購買人口の減少)がみられる。
2 鹿児島商圏の影響力は県域の7割におよぶ
1)商圏の概要
鹿児島商圏は,薩摩半島を中心に一部離島も含んだ広域型商圏であり,旧市町村単位で66 市町村と県内市町村の約7割に及んいる。商圏範囲は,旧鹿児島市を核に,旧大口市から枕崎市まで薩摩半島に広範囲に及ぶ他,旧国分市や垂水市,上屋久町など,大隅半島や離島も範囲におさめている。
2)商圏規模の減少(購買人口の減少)
購買人口は686,811 人と,前回調査の2003年時から,4,119 人の減少である。一人当たりの年間消費金額を9万円で試算すると,前回調査時から約275億円,市場規模が縮小となる。
3 新幹線を利用した買物状況
注目されるのは,新幹線の利用状況である。今回の調査では,新幹線を利用して,年1回以上,鹿児島市へ買物に行く消費者の割合は13.5%。対して,福岡市へ買物に行く消費者の割合は10.8%である。
この数字については,様々な見方があろうが,専門品,買い回り品に区分される商品分野については,新幹線の影響は大と,私は認識している。なぜ,そう言えるかについては,後送する。
⇒商圏区分
個々の商店あるいは集積している商業施設が顧客を吸引する地理的範囲のことを商圏といい,商圏核市町村への流入率により商圏内市町村を次の4 つに区分した。
▼出典
「2009(平成21)年度 消費者購買動向調査」
・お買物アンケ-ト調査票
◆関連HP
マーケティング&マニュアル・ゼミ
◆関連ブログ
3.11大震災-流通業界の対応 セブン-イレブン-2
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セブン-イレブンに関しては,第2章「独自性を元に絶えざるイノベーションで客層を拡大」,第3章「業種・業態の垣根が融け融合の時代へ」などで取り上げています。
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