好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

密室幻想の逆転劇を目撃せよ。

2017-11-01 | その他ミステリ
『三つの棺』(byジョン・ディクスン・カー)、読了。

1935年作。
図書館で予約し続けてやっと借りた。

ミステリ好きなら必読と言われており、特に、主人公・フェル博士による
「密室講義」は、しばしば評論で引き合いに出される。
約20ページにわたる、本筋から脱線した章だ。

ただ、私としては、フェル博士ってキャラ弱い気がする。
普通に真面目ないい人なんだけどね。
メルヴィル卿やバンコランと並べると、ちょっと普通すぎるような。
中盤、被害者の素性が明らかになるまでは、ごめん、何度か寝オチした。
多分、三人称で淡々と書かれてるからという理由もある。
本来なら語り手だろうフェル博士の友人の一人称だったら、
もう少し感情移入しやすかったかも。

が。そんな緩んだ時間は、最後に色を変える。
まさに真相は逆転し、幻想は消え去る。
更には、作中最も大きな逆転に付随して絡み合う
細かなトリックの数々に圧倒される。

最後に。フェル博士が「密室講義」で述べている印象深い言葉(要約)を。
「推理小説において、『つまらない』と評するのは構わないが、
『ありそうもない』というのは批判にならない。
我々は、ありそうもないことが好きだからこそ、探偵小説に愛着を抱くのだから」

それでは。また次回。

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