月は東に

Get Out Of That Rut & Savor Life

秋来ぬと……『L5Y』あれこれ2

2005-08-14 22:46:27 | Koji’s Stage Review
いつの間にか立秋も過ぎてもうすぐ処暑だけど、暑い………お盆は帰省せずウチでだらだらしてます。こんなにのんびり何にもしない休日は久々。
『L5Y』はとっくに終わって、そろそろ続編界隈の話題が来そうなんですが、まだ『L5Y』話を書きなぐります。(自分でもウザイや)


先日『L5Y』についてちょっと辛口な記事を書いて、その中で日本版『L5Y』を、“OBW版無視してメインテーマと曲だけ拝借したものの、その難しいメインテーマを扱いきれずに失敗した実験”としました。
が、それ以前に演出家としては、全くのオリジナルのつもりだったらしい。

主催者のWebサイトStageGateの記事によれば、“作品は楽曲と詩のみの使用とあって、演出は韓国版ともカナダ版、ヨーロッパ版とも違う、演出家・鈴木の手腕が問われる(発揮できる)オリジナルの日本版だ”とのこと。
そりゃ、OBW版の跡形もなかろうよ
この記事をよく読まなかった私も悪いんだけど……このサイト以外で“オリジナルの日本版”と言い切ってる文章がどこかにありましたか?少なくともパンフレットにはないよなあ。

日本版オリジナルといっても、英語の詞を訳して使用する以上、“男と女がそれぞれ逆の時間軸から物語っていく”という構成は変えられない。だからこの部分をどう料理するかが演出家の腕の見せ所だと思うんだけど………。
日本語の訳詞では言葉足らずなところもあり(パンフにも全曲の訳詞が載ってないし)、予備知識もなく観た人は、歌詞を聴くのに気を取られて構成まで手が回らないか、あるいはその逆だったりで、結局よくわからずじまい、というのが多かったようです。
私たちのように、ああでもないこうでもない言いながらある程度の情報を仕入れて、何回も観に行ってもわからない部分があるというのは、演出上問題ありなのでは?

日本オリジナル版『L5Y』、私にとっては“難しいメインテーマを扱いきれずに失敗した実験”ですね、やっぱり。

また結局辛口になってしまいました
でも楽しませてもらったのは事実だし、色々勉強にもなったので、
もちろん最終的にはです。

『L5Y』関連で特にお世話になったのが、COCOさんのCOCO★NET
BWで『RENT』を観て、『tick,tick...BOOM!』からの耕史君ファンで、様々な舞台を観ている彼女のblogは、実に頼りになります!冷静な分析力と的確な判断力と鋭い観察力による記事満載です。(何回かリンク貼ってるので皆様ご存知ですよね)
以前にも紹介してますが、『L5Y』感想記事ではコメント欄でチャットの如く比較文学論のような会話がなされているので、興味のある方はご覧ください。
舞台をご覧になった方はあの場面この場面が思い出されるでしょうし、舞台は未見でDVD発売をお待ちの方は、早くDVDが観たくなります(笑)
↓↓↓
けいさん、さくらさん、ともっちさんの感想
ま さんの感想
yukoさんの感想

どなたも素敵な方ばかりなんですが、私は特にま さんの文章がツボでして
リンク先のコメント欄にも書いたように、彼女の文章を読んでいると映像が見えてくるんです。それは文章が説明しているそのものの場面だったり、どこかの風景だったり、テキスタイル模様だったり色だったり……何か不思議な感覚に囚われます。
皆様も、叙情散文的幻想的ま さん的世界に浸ってみませんか?

彼女から私宛にいただいたコメントで頷きまくったことがひとつ。
初見レビューで“大きく叩けばめっちゃ大きく鳴る鐘”と耕史君を評しました。
ま さんはこれを読まれて「耕史君が今回は“叩く側”に挑戦した」と。
COCOさんによれば、耕史君は『レミゼ』ではどの役者と対峙しても、演技はブレることなく安定していたとのこと。もちろんプロなので当然のことなんでしょうけど。
その彼が、本来なら10の力のところを7~9くらいにして、Naoちゃんが必死に伸ばした手を掴もうとしたのなら、『L5Y』は彼にとってかなりの冒険的な舞台となったのではないでしょうか。
共演者の鐘が鳴らなかったりほんの少ししか鳴らなければ、共倒れということも有り得るのに、共演者の力をどこまで引き上げられるかという試練を、敢えて自分に課したとしたら、彼の相当な自信に裏付けられたチャレンジャースピリットには、頭が下がる思いなんですが……。
やはり私にとっては、“叩く側”になった耕史君はちょっと物足りないのでした

あら、なんか最後まで辛口?
よく読むと他の記事と言ってること重複してるし、相変わらず纏まってないし…。最後くらいブラボー!な雰囲気で終わりたかったんだけどなー

でもこれだけは言っとかないと。(ご本人たちには届きませんが)
耕史君、Naoちゃん、お疲れ様でした


★余話
DVDについての記事では、思いっきりミーハーしてみたいと思います。少なくとも、初見レビューのテンションくらいには戻りたい~。
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8 コメント

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もごもごと口篭っていた全てを (kerayacco)
2005-08-15 16:58:23
はじめまして。

L5Yのコメントを求めて彷徨っていて、こちらに辿りつき、レビューを拝見致しました。

お金を払って大好きな役者の、その大好きな役者がやりたくてしょうがなかったと言い切っていた演目を観に行って、あたしが一番納得行かなかった点。

それを、ずばり書かれておられて、あぁ、やはりそうなんだよなぁ、と、改めて思いました。

実験と挑戦がこれからの山本耕史に必ず良い効果を齎すのは間違い無いのだけど、完成品を求めて観に行った側からすれば、とても悔しくて勿体ない舞台でした。

もっともっとどんなにも良くなっただろうに、という気持ちが今でも強く残っています。



それでも、やっぱり舞台人山本耕史の今を確認できた事は単純に嬉しかったりするんで、ファンというのは贅沢で我侭で本当にスミマセンと謝りながら、次に観覧できる秋の日を、今はとても楽しみにしています。



一抹の不安は、リトショのヒロインもビギナーだという事かなぁ。



それでは、長々と失礼しました。
大人たるもの (ま)
2005-08-16 23:12:57
このよな場合、いかがなる対処をしたものか・・2日は悩みましたぞ。水無月さん。

リンクという状況がよく飲み込めず、ほぇ~?と過しておりましたら、コンナカンジ。初見時、ぅげっ!っと瞬時に窓、閉じる。時節は盆。も、引きこもったも、おいら。

が、L5Yのあれこれ。ほんにまだまだ留まる所を知らず。本日おそるおそる再見。



と。もしこちらの記事をご覧になられ、ご紹介にあるCOCOさん宅を訪問された方がおりましたら申しあげます。

此度のL5Y。内容を伝えるその充実度は、COCOさんはじめコメントされた多くの皆様の優れたレヴューであり、感想であります。はい。一目瞭然。



水無月さんへは、自分のへっぽこ文を、少しでも好ましく見守ってくださるっているということ。謹んで、御礼申しあげます。て、いんやぁ。こっち。何分にも終盤の観劇だったもんで、これまでは、指くわえて水無月さん曰く、スーパーディスカッションを眺めていた口。アト追いで、そうかそうか。うんうん・・と、未だにぐるぐるです。



長くなりますが、本記事にもありますStageGateの解説初見時のかんそ。

観客の舞台に求めるもの・目的とは、どちらかといえば何かしらの非現実を観たくって劇場に行く。それを現実にあふれかえっている”すれ違い”ネタやありきたりの生活・心情描写満載にするはなんとも酔狂。そのうえなにやらコザカシイ、いや解説によれば”小憎らしい”構造。こらある意味、とっても、フザケタ作品かえ?とな。これを、山本さん自ら、『散漫』にすら感じるという。お、周囲の期待よそに、何やらまたすかしてくれそな予感。はい。その点では十分やってくれましたなぁ・・
Unknown (花丸)
2005-08-17 00:16:10
コメントお邪魔致します。OBW版を見たわけではなく、CDとレビューを拾い食いしただけでは比較することも出来ないので

例えばこの芝居が元々日本人が作った日本で上演するための作品だったらどうだっただろうと考えてみたのですが

吸引力に欠けるありがちな日常の物語に楽曲と構成で色を付けるという内容は、訳詞がどうという前に、芝居として難解なものだと思いました。

前衛芝居を見慣れている身としてはこういうのもアリかと膝を叩いたクチですが。

キャスティングの話を聞くとL5Yもリトルショップも制作側としてはまず主演=山本耕史ありきのようですね。

共演者のキャスティングについては興行的なものや大人の事情があって、新人が持って来られることも今の日本では仕方ないようですが

(BWの人気作品の版権を大手芸能事務所が買い占める時代ですので)一人の役者の力に頼りすぎの感は否めないなと思いました。
kerayaccoさんこんばんは (水無月)
2005-08-21 02:28:35
レスが遅くなってしまってすみません



日本では、オフブロードウェイのような挑戦や実験の要素を含めた舞台を展開できる場がないので、どうしても“完成品”を求めてしまうんですが………。でもオフだからといって、“不完全”なものを興行してるわけではないと思います。

『L5Y』を“実験的な試みで作った完成品”として見れるかどうかというと、やっぱりどう贔屓目に見てもイマイチなんですよね。



『リトショ』、仲間内でもやはり不安というか不満の声があがってます

かっこよくないシーモアの耕史君は非常に楽しみなんですけどねー。
花丸さんこんばんは (水無月)
2005-08-24 23:47:45
すみません、kerayaccoさんに続き、レスが随分遅くなってしまいました



>まず主演=山本耕史ありきのようですね

間違いないですね。彼自身がやりたかったというのもあるかと思いますが、ジェイミーが彼と被るところもあり、キャシーよりジェイミーの方がキャラがたってるので、耕史君オンステージ状態

そういう意味ではNaoちゃん大抜擢とはされながらも、ちょっと気の毒な部分もありますね。

余談ながらOBW版でも、キャシー役の女優さんはそれほどの評価はされておらず、ジェイミー役は結構評判がいいようです。



『リトショ』の上原多香子は元SPEEDということで、知名度は耕史君よりありますが、なにせ初舞台メジャー作品なのでNaoちゃん以上に不安で不満です
ま さん ごめんなさい~ (水無月)
2005-08-25 00:47:24
コメントいただいてから一週間が経ってしまいました

おまけに結構驚かしてしまったようで……これにもごめんなさい

リンクってこんなんです。ぽちっとすると直接その記事に飛べるように設定できます。

COCOさんのブログアドレスだけを設定してもいいんですが、拙宅の読者の方々の手間を省くということもあって、COCOさん宅で記事を探さなくてもいいように、記事自身のアドレスを設定してあります。

ので、直に“ま さんワールド”が広がります



確かに、観客としては非日常、現実では経験できないモノを観て感じたいわけで……。

フツーの男女の恋愛物語をもってくるなら、相当のスパイスが効いていてほしいわけで……。

それが今回は“男女の時間軸が逆”という表現方法だったとすれば、ちっとばかしスパイスを生かせきれなかったんではないでしょうか。(あくまでも日本版に関してですが)

耕史君はいい意味でも悪い意味でもすかしてくれましたが(笑)、スズカツさんには悪い意味ですかされまくりでした(辛口すぎ?)
Unknown (さくら)
2005-08-29 21:19:18
水無月さま



ぬぉっ

COCOさんとこからビックリしながら飛んできました。

観劇前はたんとみちゃらめぇ~(by まさん)してたし、始まってからはCOCOさんのところで激しくやってたので、

他ブログさまを拝見する時間もなく。



L5Yの記事、いっぱい書いてらっしゃったのですね!わぉっ、一通り読ませていただきましたが、

時間がにゃい。。また追々、じっくりと読みたいダス!



辛口とは思いませんよっ。冷静な見方だと感じました。そして、素直なお方だと拝察いたします。

さくらのは、ちょっとオカシイのでハニャ?



り、りとしょ。。。どーなるでしょうね。

不安と期待でいっぱいです。

でも、山本くんが「愛を持ってや」ってるのを感じたら、

それだけでOKを出してしまいそうな自分。。



DVD、待ち遠しいですね!
さくらさんいらっしゃいませ (水無月)
2005-09-01 01:03:40
ま さんに続きさくらさんまでお越しとは!ありがとうございます



さくらさんの感想記事もリンクしちゃってます。すんません。

だって見る人によってこんなに違う舞台レビューも珍しいし、みんなよく見てるなーと感心しまくり。

さくらさんの別にオカシくありませんてば

ていうかすごく面白いです



私の記事たいしたこと書いてませんが、初見レビューからこの記事までの、テンションの変わりようはお楽しみいただけるかと(笑)



「リトショ」ねえ、とにかく多香子ちゃんですよねえ。

今のところ不安>期待。



DVDはまだですか~~~~??? 

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