昨日、2015年7月29日の参院安保法制特別委の質疑応答で、本当に凄いと私も戦慄したのは、共産党の小池晃議員の質問で提出された海上自衛隊の内部文書でした。
小池議員が提示して見せたのは、海自幹部学校作戦法規研究室が作成した部内向け説明資料「平和安全法制案について」(6月)。
この文書は「安保法制」ができるのを見越して早々と作られていたものですが、そこには自衛隊が行う米軍への「後方支援」の例として
1 米軍ヘリが敵の潜水艦を攻撃し、
2 海上自衛隊の護衛艦に着艦して燃料補給を受けた後、
3 再び攻撃に向かう
という様子が生々しく描かれていました。
小池議員は怒り心頭に発した様子で
「米軍と一体となった武力行使ではないか。明白な憲法違反だ」
と語気鋭く迫りました。
日本政府はこれまで、
「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備」
を禁止してきましたが、安倍政権は戦争法案ではこれを新たに可能としてしまいました。
また、歴代政権は自衛隊の後方支援を「非戦闘地域」に限定してきましたが、安倍政権はこの概念を使うのをやめ、
「現に戦闘が行われている現場」
以外であれば、地理的制約を設けずに自衛隊の活動を認めることにしています。
小池議員の追及に、安倍首相は答弁で、
「戦闘現場とならない地域を実施区域に厳格に指定する。武力行使と一体化しない」
と弁明し、中谷防衛相も
「海自護衛艦は、魚雷などの攻撃を受けない安全な場所で活動を行う」
と言い訳しましたが、問題は、
1 米軍機が敵を攻撃しては戻ってきて海上自衛隊の艦艇で給油して、また出撃して攻撃して戻ってきて自衛艦で給油する、というのを無数の米軍機が無数に繰り返すのだから、それって日本の自衛隊が戦争しているのと同じでしょ!=米軍の武力行使と一体化
ということと
2 そんな自衛艦は敵が必ず攻撃してくるでしょ!=「戦闘現場とならない地域」なんてない
ということです。
つまり、日本のやっていることは「後方支援」でなくて戦争そのもので、「違憲」であり、しかも「危険」であるということです。
小池晃議員が提出した海上自衛隊の内部資料。こういうのを持ってくるのが共産党の面目躍如たるところ。
敵は米軍ヘリに給油させまいと自衛艦を狙ってくる可能性は十分あるのですから、自衛艦だけ戦闘に巻き込まれない地域にいるなんてことできるわけがありません。安倍首相らの誤魔化しは酷すぎます。
小池氏はさらに、
「米軍のミサイル、戦車は運べるのか」
「ロケット弾、戦車砲弾も提供できるのか」
とも質問し、これに対し、中谷防衛相は
「法律では除外した規定はない」
と答え、「安保法制」=戦争法案では、「後方支援」というネーミングから受ける平和的なイメージと違って、戦争加担が何でもアリだということが暴露されました。
ちなみに、小池議員が出したもう一つのアフガニスタン戦争についてのパネルも恐ろしかった。
自衛隊が「後方支援」するというけれど、アメリカ陸軍でも補給任務中、20数回に1人が戦死しているというのです。
また、対テロ戦争の現場では、アフガンでもイラクでも最も多くの死傷者を出しているのは、自爆テロ以上に、路肩などに仕掛けられるIED(即席爆発装置)による突然の攻撃によるもので、防ぎようがないという話でした。
元レンジャー部隊の中谷元防衛相とか、元自衛隊のヒゲの隊長こと佐藤正久議員とかさ、自衛隊の後輩たちの命をどう考えているのか。
ほんと、アメリカの戦争に加担するのは止めようよ。
このブログ初登場の小池議員の声が荒く、大きくなるのも無理ないと思いましたよ。
安倍政権の誤魔化しと人命軽視は酷すぎる。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
後方支援めぐり憲法論争=野党「米軍と一体化」指摘-参院特別委
29日に参院特別委員会で行われた安全保障関連法案の審議では、自衛隊による米軍の後方支援の拡大が憲法に適合するかどうかが焦点となった。共産党など野党側が「米軍の武力行使と一体化し、憲法に違反する」と批判したのに対し、政府側は「戦闘現場以外で活動し、一体化しない」と反論した。ただ、法案が成立すれば、現在は禁止されている弾薬の提供なども可能となるため、「一体化」への懸念は強まっている。
米軍ヘリが敵の潜水艦を攻撃し、海上自衛隊の護衛艦に着艦して燃料補給を受けた後、再び攻撃に向かう-。共産党の小池晃政策委員長は特別委の質疑で、海自幹部学校が6月に作成した内部資料を入手したとして掲げ、これに記載された後方支援の事例は「米軍と一体となった武力行使ではないか。明白な憲法違反だ」と追及した。
政府はこれまで、「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備」を禁止してきたが、安保法案では新たに可能となる。海自文書は、法案成立を見越して日米共同作戦の検討が水面下で進んでいる実態を示すものだ。
首相は答弁で、「戦闘現場とならない地域を実施区域に厳格に指定する。武力行使と一体化しない」と説明。中谷元防衛相も「海自護衛艦は、魚雷などの攻撃を受けない安全な場所で活動を行う」と述べ、問題はないとの認識を示した。
小池氏はさらに、「米軍のミサイル、戦車は運べるのか」「ロケット弾、戦車砲弾も提供できるのか」とも質問。これに対し、中谷氏は「法律では除外した規定はない」と答え、法的には可能との見解を示した。
後方支援の場所も拡大する。歴代政権は「非戦闘地域」に限定してきたが、安倍政権はこの概念を使うのをやめ、「現に戦闘が行われている現場」以外であれば、地理的制約を設けずに自衛隊の活動を認めることにした。
後方支援が内容的にも地理的にも広がることに対し、この日質問に立った野党からは懸念の声が相次いだ。社民党の吉田忠智党首は「憲法9条違反」、「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎代表も「兵たんは武力行使そのものだ」とそれぞれ批判。与党と修正協議を行う方針の維新の党の片山虎之助参院議員会長さえも「地理的制約を残すべきだ」と訴えた。(時事通信 2015/07/29-19:49)
(安全保障法制)野党「武力行使と一体」 首相「厳格に区域指定」 後方支援
2015年7月30日05時00分 朝日新聞
29日の安全保障関連法案をめぐる参院特別委員会では、自衛隊による他国軍への後方支援をめぐり、論戦が交わされた。「戦争参加の法案」と批判する野党は、支援活動が憲法の禁じる「他国の武力行使との一体化」に当たると批判。政権は「戦闘の現場」では活動しないから一体化しないと主張したが、自衛隊の活動と他国の戦闘行為との線引きが困難なことが改めて示された。
共産党の小池晃副委員長は29日の特別委で、「ヘリ空母」とも呼ばれる海上自衛隊の大型護衛艦を例に米軍との「一体化」を追及した。
「空母で給油された(米軍)ヘリが飛び立って攻撃し、また戻ってくる。米軍と一緒に自衛隊が戦争をやっているとしか見えない」
新たな法案のうち、重要影響事態法案と国際平和支援法案は、自衛隊が戦争中の他国軍を「後方支援」できると定めている。従来の法律では認めてこなかった他国軍への弾薬の提供や発進準備中の軍用機への給油も可能となる内容だ。
政府は、こうした「後方支援」が他国軍の戦闘行為とは一線を画すものだと主張。安倍晋三首相もこの日の答弁で「(他国の武力行使と)一体化しないというのは憲法上の要請だ。実際に実施していく上においては、戦闘現場にならない地域を実施区域に厳格に指定していく」と訴えた。自衛隊が活動する場所が戦闘現場でなければ、他国軍の武力行使との一体化には当たらないとの理屈だ。
しかし野党は、国際社会ではこうした軍隊への補給活動は戦闘と一体の「兵站(へいたん)」とみなされ、憲法が禁じている「他国の武力行使との一体化」にあたると再三指摘している。
自衛隊の活動地域が戦闘地域でなければ、他国軍の軍事行動と、自衛隊の支援活動は線引きできるという理屈は、政府がこれまでに自衛隊を海外派遣した際にも使われてきた。2000年代のアフガン戦争やイラク戦争で自衛隊派遣の特別措置法を作る際には、部隊の活動地域を、派遣期間を通じて戦闘が行われない「非戦闘地域」に限定。活動範囲を絞ることで、憲法上の問題を避けてきた。
ただ、それでも「他国の武力行使との一体化」の問題はくすぶり続けた。
テロ対策特措法に基づいてインド洋で海自から03年に給油された米艦が、法律で定めた洋上での監視活動ではなく、イラクでの軍事作戦に加わった問題がその後浮上。イラク特措法でクウェートに派遣された航空自衛隊が多国籍軍の兵士らをバグダッドへ空輸した活動については、08年の名古屋高裁判決が「バグダッドは戦闘地域にあたる」として違憲との判断を示した。
しかも新たな法案では、「非戦闘地域」の考え方をなくし、「現に戦闘が行われている現場」以外なら支援活動を認め、活動範囲を拡大。中谷元・防衛相は活動場所や近くで戦闘が発生した際は、すぐに活動を中止すると強調しているが懸念の声は根強い。(小野甲太郎)
兵站は戦争そのもの 「命がけ」と米軍文書
アフガン・イラク 補給で死傷者3000人超 戦争法案 小池議員が追及
参院安保特委
「対テロ戦争の現場では兵站(へいたん)ほど狙われやすい。これが実態だ」―。日本共産党の小池晃議員は29日の参院安保法制特別委員会で、兵站がテロの格好の標的となったアフガニスタン戦争やイラク戦争の実態を突きつけて、これまでの歯止めを外して「戦闘地域」での兵站(後方支援)を行う戦争法案の危険性を浮き彫りにしました。 (関連記事)
アフガン、イラクでの補給任務中の死傷者は、2003~07米会計年度の5年間、米陸軍だけで3046人に達しています。小池氏は、07年度に行われた米陸軍の補給任務のうち、燃料の輸送は24回に1人、水の輸送は29回に1人の割合で死傷者が出ていることを指摘。「戦場での燃料・水の補給は命がけ」と書いた米陸軍環境政策研究所のレポートを示し、「兵站がどれほど危険か認識しているのか」とただしました。
安倍晋三首相は「戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定した上で(自衛隊は)後方支援を行う」と答弁しました。しかし、小池氏が「法律にはそんなことは一言も書いていない」とただすと、中谷元・防衛相は「法案の記述はない」と認めました。
小池氏は「法案にないことを、あるかのように発言する態度が国民の不信を招いている」と厳しく批判。さらに、アフガンでは、米軍以外の軍隊の犠牲者の6割から8割が道路に仕掛けられたIED(即席爆発装置)によって死亡したことを示し、「『戦闘現場』でなくても、突然の爆発で吹き飛ばされる。一瞬にして戦闘現場になるような対テロ戦争での兵站で『安全な場所で行うから大丈夫』などという議論が成り立つはずがない」とただしました。
首相は「諸外国には犠牲者が出ているが、わが国は(イラクのサマワで)一人の犠牲者も出ていない」などと主張しました。小池氏は「(従来禁止されていた)『戦闘地域』にまで活動範囲を拡大しようとしているのが今回の法案だ」と批判。憲法違反の戦争法案は廃案にするよう主張しました。
米軍の対潜作戦支援
防衛相認める 小池氏、海自文書を暴露
米軍ヘリが海自ヘリ空母の艦上で給油を受けながら対潜水艦作戦を行う―。海上自衛隊が戦争法案による米軍等への支援活動の拡大を前提に、このような事例を想定していたことが判明しました。日本共産党の小池晃議員が、海自幹部学校作戦法規研究室が作成した部内向け説明資料「平和安全法制案について」(6月)を独自に入手し、29日の参院安保法制特別委員会で明らかにしました。
中谷元・防衛相は当初、同資料について「(防衛省が)公表した資料ではない」と確認を拒否したものの、小池氏の追及を受け、「対潜水艦作戦における後方支援の一つをイメージとして表したもの」と認めました。
資料では、重要影響事態法と国際平和支援法(海外派兵恒久法)の2法案の「実際の運用を踏まえたイメージ」として、米軍の対潜哨戒ヘリが敵潜水艦の探知・攻撃を行い、敵潜水艦の魚雷の射程外では海自のヘリ空母(DDH)が米軍ヘリに燃料補給で支援する図が描かれています。(上図)
戦争法案でこのような共同作戦が可能になるかとの小池氏の質問に、防衛相は「魚雷等の攻撃を受けない安全な場所で活動を行う」と認めました。
小池氏は、国会に一度も示されたことがない事例が自衛隊内で先取りで説明されていることについて「重大問題だ」と批判し、陸自、空自の資料とあわせて国会に提出するよう要求しました。
さらに小池氏は、給油を受けた米軍ヘリが海自艦上から再び攻撃へ飛び立つことも可能かと追及。防衛相は「戦闘現場」以外での実施を否定しませんでした。
小池氏は「世界中の誰が見ても、米軍と一緒に戦争をやっているとしかみえない。明白な憲法違反だ」と断じました。
2015年7月30日(木)
戦闘地域での兵站
軍事攻撃の標的に 米軍の武力行使と一体
小池議員の追及 参院安保特委
戦争法案で自衛隊が「戦闘地域」に踏み込み、米軍への兵站(へいたん)活動を行えば、どうなるのか―。日本共産党の小池晃議員は29日の参院安保法制特別委員会で、米軍の報告書や自衛隊の内部資料を駆使し、「戦闘地域での兵站」の重大な違憲性、危険性を全面的に明らかにしました。
自衛隊内部資料が示すもの
武器使用 他国から見れば「武力行使」
小池氏は、自衛隊による武器の使用は外国から見れば「武力の行使」にあたると自衛隊の内部資料に明記されていることを明らかにしました。
小池氏が示した海上自衛隊幹部学校の作戦法規研究室による内部資料では、「我が国の考え方」として、武力攻撃発生までは「武器の使用」、武力攻撃が発生してからは「武力の行使」としています。
これは、憲法が武力行使を禁じていることから、自衛隊による海外での武器の使用はあくまで「自己保存のため」のものであり、「武力行使ではない」という従来の政府の説明です。
一方で、海上自衛隊の資料は「他国の一例」として、「Military Action」(軍事行動)の全ての過程における武器の使用を「Use of Force」と記しています。これに関して岸田文雄外相は「そのまま訳せば『武力の行使』になる」と答弁しました。自衛隊による武器使用は他国からは「武力行使」とみなされることが明瞭となりました。
衆院の審議では、志位和夫委員長が、「国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義はない」とする外務省文書を示して、「『武器の使用は武力の行使ではない』などという理屈は国際社会ではおよそ通用しない」と厳しく批判しました。今回は、自衛隊自身が、世界で通用しない議論であることを内部教育の資料に明記していたことになります。
小池氏は、「国会では一切説明していないことを自衛隊内で示していることは、国会と国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判。「陸上自衛隊、航空自衛隊でも同様の内部資料があるはずだ」と指摘し、国会への資料提出を要求しました。
弾薬提供 敵国から見れば「交戦国」
「世界中の誰がどう見ても、米軍と一緒に戦争をやっているとしか見えない」
海上自衛隊内部文書を示して、兵站活動拡大の問題を追及した小池氏。安倍晋三首相は、文書に具体例として明記された日米共同の潜水艦攻撃作戦が戦争法案で可能になると認める一方、「(米軍の武力行使と)一体化しない」と苦しい弁明に追われました。
中谷元・防衛相は小池氏の追及に対し、海自ヘリ空母(DDH)で燃料補給した米軍哨戒ヘリが再び敵潜水艦の爆撃に向かうことも可能との見解を示しました。
政府は衆院段階で、爆撃に向かう米軍等の戦闘機への給油シナリオは認めていましたが、対潜水艦シナリオが明らかになるのは初めて。
文書には、(1)米HS(=対潜水艦哨戒ヘリ)が敵潜水艦を探知(2)米部隊HS×2 追加投入 スワップ(=任務交代)(3)スワップした米HSが海自DDHに着艦し、燃料補給―などと部隊運用のシナリオが細かく記されています。
小池氏は同事例について、「誰がどう見ても、完全に米軍と一体になった武力行使ではないか」と首相の認識を重ねて追及しました。首相は「わが国としては、これは一体化しないと判断している」と従来の答弁を繰り返すのが精いっぱいでした。
何でも輸送・提供
さらに小池氏は、今回の戦争法案で、これまでできなかった米軍等への武器輸送や弾薬提供まで可能になることを指摘。法律上、自衛隊が運べない武器があるかと迫りました。
中谷元・防衛相は「特別にはない」と答弁。「米軍のミサイルも戦車も運べる」と小池氏が指摘すると、防衛相は「除外した規定はない」と述べました。
さらに小池氏が、ロケット弾や戦車の砲弾などあらゆる弾薬の提供もできるようになると追及すると、防衛相はここでも、「特に排除している規定はない」と認めました。
政府が4月に与党協議に示した資料によると、提供可能な弾薬とは「銃弾、砲弾、爆弾、爆薬等であって、『武器』にあたらないもの」としており、防衛相答弁でこの内容が裏付けられました。
小池氏は「これらの活動は、他国の武力行使と一体の活動、もしくは武力行使そのもので、敵国から見れば日本は明らかに交戦国だ」と強調しました。
米軍の文書が示すもの
兵站 “テロに最も弱い”
「兵站(へいたん)」がどれほど危険な活動なのか、米海兵隊の「海兵隊教本」が次のように記しています。
―兵站は大量の物資、巨大な距離、短い対応時間に対応しなければならず、兵站は他の機能以上に、常とう手段、計算、さらに予測を用いる。
―これらの活動のすべては、予想外の出来事、われわれの間違い、あるいは敵の行動によって、容易に影響され、妨害される。
―兵站の部隊、設備、施設は単なる攻撃対象ではなく、軍事行動の格好の標的である。
米海兵隊の「エネルギー戦略と実施計画」(2010年)でも、「コンボイ(輸送車隊)は伝統的戦闘や非対称の攻撃(テロ攻撃など)に脆弱(ぜいじゃく)で攻撃目標になる」と記されています。
ようするに、兵站は軍事攻撃の格好の標的であって、テロのような無秩序、突然の攻撃に最も弱いということを米海兵隊がはっきりと認めているのです。
小池氏がこうした兵站の実態を一つひとつ示して認識をただしたのに対し、安倍首相は「安全が確保されない限り、後方支援(兵站)を行うことはない」などと答弁。小池氏は「対テロ戦争の実態に目を背けた議論だ」と厳しく指摘しました。
燃料・水の補給 死傷者数 深刻
兵站の危険性を示す具体的なデータがあります。米陸軍環境政策研究所が2009年9月にまとめた報告書です。書き出しはこうです。
「戦場での燃料・水の補給は命がけ」
同報告書によると、2003~07米会計年度の5年間だけで、イラクとアフガニスタンでの補給任務での死傷者数は、陸軍だけでイラクで2858人、アフガンで188人、あわせて3000人を超えています。補給物資の50%は燃料、水が20%、その他30%です。
そのうち、アフガンで07年度に行われた燃料輸送と水輸送では、それぞれ24回に1人、29回に1人の割合で死傷者がでています。
報告書は「イラクとアフガンにおける補給任務での死傷者数は深刻である。米陸軍の死傷者の10から12%を占めており、その大多数は燃料と水の輸送に関係している」とはっきり記しています。
小池氏はこうした現実を突きつけ、「対テロ戦争の現場では、兵站ほど狙われやすい。この実態を認めないのか」と追及しました。これに対して、安倍首相は「自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定したうえで、後方支援を行う」と答えました。
しかし、法案は「円滑かつ安全に実施できるように」区域を指定すると書いてあるだけです(「重要影響事態法案」第6条の3、「国際平和支援法案」第7条の3)。
そこで、小池氏は「自衛隊が現実に活動を行う期間について『戦闘がないと見込まれる場所』という言葉はどこに書いているのか」と問いただすと、政府は答弁不能におちいり審議が中断。中谷元・防衛相はしぶしぶ「記述はない」と認めました。
小池氏は「条文にないことをあるかのように発言する。こういう態度が国民の不信を招いている」と厳しく指摘しました。
即席爆発装置 死者の60~80%
安倍首相は「安全を確保したうえで、後方支援(兵站)を行うことは可能」と言いますが、対テロ戦争の現場で通用する話ではありません。
対テロ戦争の現場では、アフガンでもイラクでも最も多くの死傷者を出しているのは、路肩などに仕掛けられるIED(即席爆発装置)による突然の攻撃によるものです。
独立系ウェブサイト「アイカジュアルティーズ」は、アフガン戦争でのカナダ軍の死亡者(事故や自殺など非敵対的理由を除く)131人のうち105人(80%)がIEDと自爆テロによるものとし、ドイツ軍、デンマーク軍、イタリア軍でも60~75%がIEDなどによる死亡者と報告しています(下表)。銃撃などによる犠牲者はむしろ少数です。
イラク戦争時に「非戦闘地域」だとして陸上自衛隊が駐屯していたサマワでも、自衛隊の車両がIED攻撃を繰り返し受けていたことが、陸自が作成した「イラク復興支援活動行動史」に記録されています。
トラックを走らせていたら突然の爆発で吹き飛ばされる―あらゆる場所が一瞬に「戦闘現場」となるのが対テロ戦争の実態です。
それでも安倍首相は「イラクではIEDや自爆テロによって諸外国に犠牲者は出ていたが、わが国は一人も犠牲者は出ておらず、安全確保の仕組みは十分に有効だった」などとして、今後も同様に安全確保すると強弁しました。
小池氏は「イラクでは犠牲者が出なかったと言うが、(イラクで自衛隊の活動範囲を)『非戦闘地域』に限っていたものを『戦闘地域』まで拡大するのが今度の法案だ」と反論。「対テロ戦争の兵站で『安全な場所で行うから大丈夫』などという議論は成り立たない」と指摘しました。
対テロ戦争 犠牲者 10倍に拡大
アフガニスタンでの対テロ戦争は何をもたらしたのか。小池氏は「第一に無辜(むこ)の市民の甚大な犠牲だ」と指摘しました。
国連発表のアフガン戦争で犠牲となった民間人は14年末までで2万1415人(07年から発表)。今年も4カ月間で1000人近くが犠牲となっています。
アフガン戦争が生み出したこうした悲劇は、憎悪を呼び新たなテロを世界中に拡散させています。14年の世界におけるテロの死者数は4万3512人で、アフガン戦争前の2000年の10倍にもなっています。(グラフ)
そしてアフガン戦争は今なお戦火を広げ続けています。米軍は同国にいまだ約1万人が駐留。戦争の期間は、ベトナム戦争を超え米国史上最長となっています。
日本が戦後初めて海外で行った兵站支援は、アフガン戦争での米軍支援のためのインド洋での給油支援でした。しかし、この活動は「非戦闘地域」に限られ、一人の死者も出しませんでした。
小池氏は「法案が成立すれば、米国はアフガン戦争へ支援を求めてくるのは間違いない。現実に今も続いている戦場に自衛隊の若者が入っていく。これが法案の最大の現実的な危険性だ」と強調。「ひとたびこのような活動に自衛隊が入れば、海外での武力行使に道を開くことは明白だ。明らかに憲法違反であり、廃案にするしかない」と主張しました。
|
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
なんだかんだいって国会で一番活躍する政党は共産党ですよ。
当ブログへのコメントへの注意書き。
あまりお答えできませんがコメントを歓迎しています。 記事に批判的でも一向にかまいませんが、必ず記事を読んでからコメントしてください(笑)。
名誉毀損・プライバシー侵害・わいせつなど違法なもの、人を不愉快にする・品が悪いもの、感情的なもののみ承認しません(URLがある場合、そのリンク先を含む)。
コメントにはお一人お一つ必ず固定ハンドルネームをつけてください(このブログ限りの物でも結構です)。
「通行人」とか「通りすがり」とか「名無し」とか「匿名希望」などの無個性なものではなく、必ず個性的な素敵なのをお願いします。
以上のようなハンドルネームのないコメントは原則として承認いたしませんので、よろしくお願いいたします。
とはいえ、堅苦しいことは言いませんので、どんどんコメントをお願いいたします!