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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

判事ディード法の聖域 第22話「沈黙の侵略」 なぜイギリスでは暴動が起きるのか

2011年08月12日 | 娯楽

 

なぜ、日本人は福島原発事故でも破壊行動には出ず、避難所や仮設住宅でのひどい生活にも耐えるのか。

イギリスでは、どうして、市民が警察に射殺されたことで、全土を揺るがす暴動になるのか。

ずっと考え続けています。

 

私見では、その国の文化程度は、ミステリーの上手さと料理の美味さで計られる。

イギリスはミステリーはアメリカと並んで最高、料理はオランダ並みで最低。日本は料理は中国、フランス、イタリア、タイと並んで最高。ミステリーは。。。。

 

仕事から逃避すべく、ケーブルテレビをつけたら、AXNミステリー「判事ディード」の第22話でした。

題が「沈黙の侵略」。

何のことだかわかりますか?

なんと携帯電話の電磁波被害とイラクでの劣化ウラン弾被害の話だったんです!見えないから「沈黙の」なんですね。しかし、なんて大胆!!

5年も前の2006年放送のこの回で、携帯電話の電波塔から出る電磁波が、健康被害をもたらすと断言します。法廷で鑑定証人が低線量被曝の恐怖についても言及しています(WHO発表 携帯電話電磁波に脳腫瘍発がんリスク!総務省は「現時点で問題ない」 子ども携帯本当に必要?)。携帯電話と言えば、全世界の多国籍企業が関係するのにもかかわらずです。裁判所内部の圧力まで描かれていました。

この夫婦が原告です。

 

そして、イギリス軍がアメリカ軍と共にイラクに投下した莫大な劣化ウラン弾で子どもも孫も喪った老婆も登場します。判事ディードは、「劣化ウラン弾の半減期は45億年だ」と言って、このイラク女性の裁判がイギリスで出来るように手を尽くしたりするのです。

内務省はこれらの裁判を妨害するため、前者の原告には訴えを取り下げるように圧力をかけ、後者のイラク人老女はテロ防止法で捕まえてしまうのです。

 

しかも、このドラマを作ったのがイギリス国営放送BBCなんです!

信じられません。放送局がフィクションとは言え、財界に打撃を与え、軍の現実の犯罪を暴いて、官僚の恥部をさらけ出す。

日本のNHKがこんなドラマを万一作ろうとしたら、従軍慰安婦ドキュメンタリーをつぶしにかかった安倍晋三らウヨク政治家達が黙っていないでしょう。日本の場合、公共放送のNHKより民放の方がさらに腰が引けているのですから、情けない話です。

ケーブルテレビなどでご覧になれる方は、最後に番組情報を載せておきましたから、是非、この週末にご覧ください。最後の判決まで目を離せないはずです(女性の法曹関係者がほとんど主人公とややこしい関係があるという設定には目をつぶりましょう 笑)。

 

さて、本題です。

イギリスで暴動が起きて多数の死傷者が出ました。それ自体は、かの国の民度の低さを示しているかのようでもあります。他方、東日本大震災発生直後、東北の方々が静かに悲惨な状況を受け入れ騒がないことを、フランス人記者達が自分の国では考えられないと賞賛しました。

しかし、異議を申し立てるべき時に異議あり!というのは、社会を進歩させるには必要不可欠なことですよね。黙ったままで力あるもの達が反省して改善するなんてことはあり得ないわけですから。災害弁護士達が「東北の方々は大人しすぎる。もっと、行政に物申して欲しい」と嘆くようでは、被災者は政府や電力会社に踏みつけられたままになってしまいます。

「判事ディード」に見られる、タブーのなさ、豊かな批判精神が、今回のイギリスの暴動を招いたとも言えるのではないでしょうか。もちろん、徹底した非暴力主義の私から見れば、それが行き過ぎて、なんの責任もない方々の命と安全が脅かされ、奪われたのですから、手放しで賞賛するつもりはありませんが、イギリスと日本、どちらが健全な社会かと言われたら、日本に軍配を上げる自信も私にはありません。

ところで、火曜日に上戸彩主演の「絶対零度」というドラマを観たのですが、もう今となっては筋が思い出せないほどひどいものでした。

少なくとも、日本人が今のドラマ並みの批判精神では、「アラブの春」ならぬ日本の春は遠い、と思わざるを得ません。

 

 

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焦点:英暴動の拡大懸念色濃く、「アラブの春」との共通点も

ロイター 8月10日(水)18時34分配信

焦点:英暴動の拡大懸念色濃く、「アラブの春」との共通点も
拡大写真
 8月9日、ロンドンで始まった暴動は英国各地に拡大。若者たちがソーシャルメディアを駆使して仲間を集めるなど、「アラブの春」に共通する特徴も。写真は8日、ロンドン東部ハックニーの店で商品を略奪する暴徒ら(2011年 ロイター/Olivia Harris)
 [ロンドン 9日 ロイター] 男性射殺事件に端を発してロンドンから始まった暴動は英国各地に拡大。今回の一連の暴動では、参加する若者たちがソーシャルメディアを駆使して仲間を集めるなど、民主化を求めて若者が立ち上がった民衆革命「アラブの春」に共通する特徴も表れている。

【写真】英暴動、収まらぬ若者の怒り

 しかし、アラブ地域の若者たちが建設的な変化を望んだのに対し、英国の暴動は略奪行為や感情を爆発させることにフォーカスしている点など、明らかな相違点もある。

 世界を見渡せば、失業率を悪化させた金融危機が、若者全体に自分たちが求めるものとは程遠い機会しか与えられていないと感じさせ、若者が未来への希望を見いだせないところまで来ているのかもしれない。

 先進国で金融危機が起これば、ほぼ確実に未経験労働者らがしわ寄せを受け、新卒者の求人から工場労働の求人に至るまで、若者から雇用機会を奪ってしまう。少子高齢化社会で増え続ける社会保障費を支える世代の若者にとって、経済の低迷は満たされない感情を増幅させている。

 暴動が起きたロンドン東部ハックニーの電気技師、エイドリアン・アンソニー・バーンズさん(39)は、「とても悲しく思う。しかし、若者は職も未来もない。(暴動に参加した)若者たちは、われわれとは違う世代で何も気にしない。事態は始まったばかりだ」と話した。

 <緊縮>

 今回の暴動では、特に二つの要素が勢いに拍車をかけたとみられている。1点目はソーシャルメディアの普及で、即座に仲間を呼び組織的な暴動が行われた。2点目は経済的変化で、以前から存在した窮状を悪化させた。

 英国では、財政再建のために打ち出された緊縮財政策によって、すでに顕在化していた社会問題がさらに深刻化。緊縮財政策では、青少年支援事業など「必要がない」とされた公共サービスへの予算が大幅にカットされた。

 ソーシャルメディアの活用に関しては、今回は主にスマートフォン「ブラックベリー」の匿名メッセージ機能が利用され、若者たちの暴徒化をあおった。また加熱するメディア報道が、別の地域の若者を便乗させた。この事象はエジプトの民衆革命が衛星放送の報道やツイッターなどによって各地に拡大した点と共通する。

 英諜報機関の政府通信本部(GCHQ)の元高官で、現在は王立統合防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員を務めるジョン・バセット氏は、「政変が起こったカイロや略奪のあったトットナムに限らず、ソーシャルメディアが国家と個人との間のパワーバランスに変化をもたらしているようだ」との見解を示した。

 またバセット氏は「今の世の中には、ソーシャルメディアとともに生きる若い世代と、強い自信を持てない警察官や官僚の世代が存在する」と続けた。

 経済成長期において政府は、暴動に対処するため治安部隊への予算を拡大させるか、暴動が沈静化した後、被害を受けた地域への補償を行う措置を取ってきた。

 ただ、こういった措置は、市場などが求める緊縮財政策の対応に追われている国々では、実施が困難になってきている。財政危機の渦中にあるギリシャやスペイン、イタリアでは、ロンドンのような混乱はみられないものの、若者が政府への抗議の先頭に立っている。

 <不満>

 ロンドンに拠点を置くコンサルティング会社AKEのアナリスト、ルイーズ・タガート氏は、「暴徒化する若者たちの不満は共通している。英国だけの話ではない。当局が問題に対処しなければ、暴動がさらに拡大する危険もある」と警鐘を鳴らす。

 暴動鎮圧対策の一つとしてロンドンの警察当局は、暴動に参加する若者たちの親に対し、子どもたちの暴力的行為を抑えるよう訴えている。これについて専門家らは、家族や地域社会が一体となって取り組むことが事態改善につながるとみているものの、解決には抜本的な対策が必要だと強調する。

 ソーシャルメディア自体も短期的ではあるが、解決策の一つとして利用されている。ロンドンの住民らは9日、ツイッターを使って「暴動クリーンアップ」作戦の実行を呼び掛けたほか、あるウェブサイトでは、身元の特定に役立ててもらおうと略奪犯の写真が掲載された。

 政権崩壊にまで至った「アラブの春」から得られた教訓の一つは、暴動鎮圧に武力を行使しても効果的ではないということ。中東シリアの治安部隊は、反政府デモ弾圧で数百人を殺害したが、デモのうねりを鎮めることはできていない。

 社会心理学者で行動経済学者でもあるピーター・ブッツィ氏は、「政府はソーシャルメディアと地域社会の代表者らを通して、若者と向き合う必要があり、希望のメッセージを発するべきだ」とした上で、「現代の問題の多くは、社会経済と文化的融合の欠如に起因しており、それが喪失感などを生んでいる」と解説する。


 これから先、短期的には警察をはじめ経済界や政界は、さらなる暴動に備える必要がありそうだ。来夏にはロンドン五輪を控え、政党の党大会も都市部で開催される予定になっており、これらのイベントは暴動発生のリスクを考慮した上での開催を迫られる。

 IHSジェーンズの欧州治安問題担当アナリスト、カリーナ・オライリー氏は「背景に経済的、政治的要因があるが、これは真に『政治的』と呼ぶことはできない」と指摘。「これは虚無的であり犯罪行為だ。怒りに満ちた貧困層の若者は、暴動は実行可能で罰を逃れられるものだと感じている」と若者の感情を分析した。

(ロイター日本語ニュース 執筆:Peter Apps記者、翻訳:野村宏之、編集:本田ももこ)
 
 

伝統的な英国の法廷を舞台に、人間味溢れる切れ者判事が正義の判決を下す!
マーティン・ショウ主演、BBC発の本格法廷ドラマをAXNミステリーで日本独占初放送!



本作は、イギリスBBCで2001年~2007年に放送された英国法曹界を舞台にした法廷ミステリー。

伝統的な赤いローブと"かつら"を身にまとった、英国ならではの法廷シーンと、古いルールやしきたりに捉われることなく、正義のために闘うジョン・ディード判事の一匹狼的スタイルは、平均で680万人を超す視聴者を惹きつける大ヒットTVシリーズとなった。
ジョン・ディードは、格式と伝統を重んじる英国法曹界において、例え自身に危険が迫ろうとも、正義を追求し続ける革命児とも呼べる人物。
マーティン・ショウは、そんなジョン・ディードを艶やかに演じ、本作放送時、BBCがWebサイトで行った「最も素晴らしいTV俳優」に輝いた。

  • 11/08/13(土)06:00 【字】 第22話「沈黙の侵略」
  • 11/08/13(土)18:00 【字】 第22話「沈黙の侵略」
  • 11/08/14(日)26:00 【字】 第22話「沈黙の侵略」
  • 11/08/18(木)20:00 【字】 第23話
  • 11/08/18(木)21:00 【字】 第24話
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    2 コメント

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    だから保守党はダメなんだ (ray)
    2011-08-12 19:33:10
    どちらかというとイギリスを誉めたつもりだったんですが、やはりウヨクはどこでもウヨクなのでしょう。


    SNSの使用制限辞さず=暴動めぐり、「二重基準」の批判も-英

     【ロンドン時事】中東反体制デモで「市民の新しい武器」と欧米で絶賛されたインターネット交流サイト(SNS)に対し、英政府が使用制限も辞さない姿勢を示している。英国で発生した暴動でSNSが略奪行為に利用されているための非常手段だが、市民の自由弾圧を追及されてきたイランやシリアは英国の「二重基準」を批判し始めた。
     英警察によると、神出鬼没の暴徒はSNSで「略奪スポット」を知らせ合い当局の裏をかくように破壊を繰り広げた。英紙ガーディアンによれば、SNSや携帯端末の登場で「街の不良は数年前には考えられなかった強力な通信手段を手に入れた」(野党労働党議員)と指摘する声も上がっている。
     キャメロン首相は11日、SNS最大手フェイスブック、簡易ブログのツイッター、多機能携帯端末「ブラックベリー」の通信機器大手リサーチ・イン・モーション(RIM)の3社に対し、掲載内容に責任を持つよう警告した。メイ内相が近く3社と話し合う。
     ただ、SNSは悪用ばかりではない。AFP通信によると、SNSを使って暴徒の写真を送信し合うなど市民が自衛に利用する例もあった。「略奪者を捕まえろ」というサイトも誕生。暴徒を撮影した写真が掲載された。ただ、人違いなど問題が起きても、誰が責任を持つのかはあいまいだ。
     一方、イランのアハマディネジャド大統領は10日、「英政府は市民の声に耳を傾け、自由を尊重すべきだ。アフガニスタンやリビアを侵略している場合ではない」と英国非難を始めた。シリアのジャファリ国連大使も同日、国連本部で「ロンドンやバーミンガム、ブリストルで起きたことは、シリアで起きていることに比べれば微々たるものだ。しかし、世界はキャメロン首相には暴徒を『犯罪者』と呼ぶことを許し、同じ言葉の使用をシリアには認めない」と訴えた。(時事通信 2011/08/12-15:55)
    返信する
    アインシュタインも目の玉が飛び出るほど驚いた翻訳ソフト邦訳の出版騒動 (cafeの珍説)
    2011-08-13 01:43:04
     そう言えば、3日、4日前にテレビ・ニュースで、アインシュタイン関係の著述翻訳本が、英語の外国語ソフト利用で、日本語になっていない翻訳の印刷となって、出版になり本屋に並んだから、AMAZON.COMと読者のクレームとなり出版元が回収したと、報道されていました。

     これも、日本文化の粋を物語る、変な犯罪か、または飛び切りの今後に、伝統邦訳文化の再発となるのかも、、、翌日に読売新聞記事となっていましたので、ご覧の方もいることでしょう。

     これなんかも、その著作権法違反を越えて、刑事上の犯罪行為の面も否定できない。しかし、何よりも一種のコミックと言えない訳でもないから、ヘンテコリンナ事件に、腹を抱えて笑っちゃった。

     これでは如何様にも、著作権法以前の課題だから、知的財産法を専門とする大学教授、その他の司法専門家が、お手上げの事件となっている。むしろ、この本を購入した人が、返本に応じたので、市場に見当たらないとのこと。多分、高値の奇観書籍となって、邦訳、出版など業界犯罪の歴史と、その高価版の塗り替えになることでしょう。

     このテーマは、どう料理したら、褒められるのでしょうか?

     監修者と編集者の間で、大喧嘩をしていたのではないかと言うのが、モッパラなトラブルの原因という説もあり!また、ホントの理由は、夫婦喧嘩だという新説もチラホラ。
     
     さーてどうなのでしょうか?司法試験、弁理士試験の何れでも、出題はないでしょうが、話題には事欠かないのでしょう。
    返信する

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