印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る

判読できない印鑑の文字 「之」

2009年06月16日 | 印鑑の文字
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今日は天気が不安定なせいでしょうか、ご来店のお客様は疎らでした。一方で電話のお問い合わせや、FAXでのご注文が目立ちました。私どもの仕事、商売はメールよりもFAXのほうが、ご注文を受けやすいです。と言うのは、FAXにゴム印なり印鑑の押し型見本があると、サイズや、書体、などサンプルが原寸で提示されているからです。

接客をしていて、「この字はなんて書いてあるの?」とお客様から聞かれることがあります。その中で頻度の高い文字をシリーズでご紹介したいと思います。篆書(てんしょ)で、楷書からかけ離れていると、判読できない、または判読しにくい字。ということになります。

今回は「之」の字です。篆書だとまるで変わってしまいますね。個人の印鑑にはお名前で「雅之」さん「貞之」さんと使った場合には出てきますが、多くは角印の文末に「之印」と使うことがほとんどです。以前にもご紹介しましたが篆書は同じ文字でも数種あります。今回の「之」の字も「篆刻字林」には多くの文字が出てきます。どの字を選ぶかは、印を作る職人の好みと、他の文字とのバランスです。会社名の画数が少ない(カタカナ社名とか)なら、「之」も画数の少ない文字を選ぶし、社名の画数が多ければ、バランスで「之」の字も画数を多くします。次の理論として、1行に多くの文字を入れなければならないという場合、「之」の字の画数を少なくすれば、他の文字の領域を広く取ることができます。

見習い修行時代、彫る前に師匠に文字入れした印を見せながら、上記のことを学んできました。選字や布字(文字を配置すること)の学習も奥が深い、と感じています。


▲この角印は右上から「幸輝商会之印」と彫ってあります。左上の字が「之」字です。


▼「篆刻字林」の「之」の字のページです。かなり多くの字が出てきます。



八王子 印鑑 楽善堂のホームページ http://rakuzendo.com

楽善堂、gooのトップページ
http://blog.goo.ne.jp/rakuzendo



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