雑記

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連想

2015-10-31 01:52:37 | 雑記
父が譲らなかったことつながりで思い出したこと。

これもまた数十年前のこと。
私が小学校低学年ぐらいのころ、我が家には当時でも少なくなっていた豆炭炬燵があった。
冬になると母が毎日豆炭に火をおこして、謎な器具に入れて炬燵に入れていた。

その謎な器具は中に綿のようなものが貼り付けて?あって、その間に火のついた豆炭を挟むようになっていたのだが
その綿のようなものはグラスファイバーなのだという。
石綿の方が値段は安いのだが、石綿はガンになるから駄目だと父が許さないのだ、と母が言っていた。

それから数十年経って、数年前に労災などでアスベストの問題が騒ぎになったのだが
正直「今更?」と思った。
父は建築ではなく土木の人なので、仕事で建材としてアスベストを使うようなことはなかったと思う。
どこかで文献なりなんなりに触れて、石綿(アスベスト)は使うべきではないと判断したということで
そう判断するだけの情報は何十年も前にあったはずなのに、と。

そこまで考えて、逆なんだと思った。
あまり注目されないような情報に触れて、父が警戒していたということだろう。
他人が大丈夫だと言っても、自分の検証なしに丸呑みで信用することはしない人ではあるので
そう考える方が妥当な気がする。



基礎の話

2015-10-30 23:25:02 | 雑記
土木の計画畑にいると、建築の施工の話であるマンション傾斜の話はなんとなく他人事めいているんだけども。
基礎の施工とかボーリング調査とかという話を頻繁に目にするようになって、数十年前の話を思い出した。


私の父は土木の施工の人間で、個人事業主ではあったけど地元の土木関係の間では結構信用があったらしい。

何かの用事で市役所の都市計画課に行ったときに、新しく作る公共の建物の図面を目にする機会があって
ほうほう、と図面を見ていたと思ったらいきなり怒り出して
「この図面を引いたのは誰だ、これは建たない、沈むぞ」と主張し始めたそうだ。

その頃私は土木に興味もなかったので、細かい状況などは憶えていないのだけれど
父はその辺りで橋の施工をしていて、近辺の地盤の予備知識があったので
ここの地盤はこんなに堅くないはずだ、と。

市役所の人が「ボーリング調査もして、その結果に基づいて設計している」と言っても
「そのボーリング結果が間違ってる」と主張して譲らない。

父は「建築の人間」ではなく「土木の人間」で、橋とか道路とか堤防とかをメインで施工していた。
たまに砂防ダムとか防波堤とか上水道の配水施設とか。
仕事としてはその建物の工事に最初から最後まで全くかかわっていない。
話を聞いたとき、私は正直「何やってんだこの人」と思った。
「あんたの父ちゃんが『また』都市計画課で怒鳴っていた」と言われる子供の身にもなれと。


その後のいきさつはよく知らないのだけど、
その建物は結局ボーリングからやり直し、設計も変わったらしい。


大規模ゼネコンの内情はよく知らないけれども、たぶん全国津々浦々を転々としながら
似たような規模の建物を作り続けることになるだろうという気がするので
地域的な特性をナレッジベースのようなものとして積み上げるようなことはないのではないか、とか。

自分が作ったものを何十年も間近で見続けることの意味とか。

あれはあの人が作ったんだ、と言われ続けることとか。

本来無関係な事に首を突っ込む、ある意味「いっちょかみ」な人を許容する文化、とか。

コストがかかっても安全でしっかりしたものを作るべきだという意識があるかどうか、とか。
(エンジニアの技術力向上のための勉強もコストに入る)


いろいろなことが重なって、うちの地元のとある公共施設は不良施工を免れ、
件のマンションは傾いたということなのだろう。


父は『父親』としてはいろいろと面倒くさかったが、エンジニアとしては尊敬できる人だ。

確証バイアス

2015-10-07 22:26:32 | 雑記
かつて、奥さんに「お人好しで騙されやすい」と評された人がいた。

自分では疑り深いと思っていたみたいだし、
他人の間違いや勘違いなんかを見破ったと得意げに話しているような人だったんだけど
奥さんは「お父さんはお人好しで騙されやすい」と、にべもない。
私から見ても、確かに奥さんの言う通りだと思えた。

昔から自分の近くにいた人や、自分に都合のいいことを言ってくれる人を無条件に信用する癖があって
そういう人に対してきついことを言う人は彼の中では悪者だった。

結果として彼は、昔から親しくしていた人に数千万円を横領された。

発覚する何年も前からおかしいと言っている人が複数いた(奥さんも私もその中の一人だった)が、
言っている方がおかしいと決めつけて、情報を集めようとしなかった。
横領の可能性を指摘する税理士を交代させた。
金額がおかしいということを認識してからも、何とかしてその「親しい人」以外の人に原因を見出そうとして
何人かに「そこまでの話ではないだろう」と思えるような責任を押し付けた。


人間は自分を正しいと後押ししてくれる意見を正しいと思ってしまうもので
そういう方向性には「確証バイアス」という名前も付いているのだけれども
名前が付いたからといってそれが解決されるわけでもない。

確証バイアスが強くかかる人と比較的弱めにかかる人がいるが、
確証バイアスが強くかかっている人が権力者の位置についた場合は、可及的速やかに退避するか
そうでなければ諦めるしかない気がする。

自分の意見と違うことを言う人の話をまともに聞ける人って少ないよね。
まあ私もそうなんだろうけども、私は権力なんて持ってないしね。害は少ない。

なんとなく思い出した昔話。もう10年以上前になるんだなあ。