最近あまりに時間がなく,ブログの更新をさぼっていた(twitter ではつぶやいていたが・・・)。その間,いろいろなことがあったが,特に東北大学の distinguished professor である照井先生からいただいた本の紹介を,これ以上遅らせるわけにはいかない。なぜなら,マーケティングサイエンス関係者にとって,これは大きなニュースだからだ。
これは照井先生とその教え子たちによる,マーケティングサイエンスを統計モデルの視点から概説した教科書である。いや,もっとわかりやすくいえば,この200ページにも満たないコンパクトなサイズの書物に,マーケティングサイエンスの「定番」といえるモデルが,基本的な公式が省略されることなく凝縮された,奇跡の入門書と呼べるかもしれない。
マーケティングサイエンス学会の会員はすぐにこの本を買い求め(もちろんぼくもその予定であった!),自分の知識に漏れがないか,チェックすべきだろう。R の使い方など,必ず新しい知識に出会うだろう。さらに,マーケティングサイエンスになじみはないが,それが何であるかを最小の努力で知りたい人にとっても最適な書である。
これを教科書として,マーケティングサイエンスの入門講義をするという誘惑に一瞬かられたが,著者が高校数学程度という数学リテラシーを,高校1~2年の段階で受験科目から数学を外した学生たちに求めていいか,なかなか悩ましい。理工系や一部の国立文系の学生,強い学習意欲を持つ社会人にとっては問題ないだろうが・・・。
この本では,Prodegy や MCI のようなマーケティングサイエンスの定番ないし古典といえるモデルから,階層ベイズのような最新の話題まで,幅広く紹介される。「定番」というのは,長い間,数多くの文献で引用されてきたという意味だ。実務でもかなり普及した手法なのかを問うと,なかなか厳しい現実を想起せざるを得なくなる。
ぼくは,これらのモデルのいくつかを実際に実務で適用した経験をもつ。それがそれ以上発展しなかったのは,自分が非力だったからとはいえ,モデルに何らかの制約があることも確かだろう。たとえば企業が自分が競争すべき市場を規定するのに,遷移確率や価格の交差弾力性は,本当に使える情報を与えてくれるだろうか・・・。
マーケティングサイエンスに関して,これまでの定番や古典に敬意を払いつつも,本当にいま現場で使えるものは何かを考えていかなくてはならない・・・ という思いがより深くなった。
これは照井先生とその教え子たちによる,マーケティングサイエンスを統計モデルの視点から概説した教科書である。いや,もっとわかりやすくいえば,この200ページにも満たないコンパクトなサイズの書物に,マーケティングサイエンスの「定番」といえるモデルが,基本的な公式が省略されることなく凝縮された,奇跡の入門書と呼べるかもしれない。
マーケティングサイエンス学会の会員はすぐにこの本を買い求め(もちろんぼくもその予定であった!),自分の知識に漏れがないか,チェックすべきだろう。R の使い方など,必ず新しい知識に出会うだろう。さらに,マーケティングサイエンスになじみはないが,それが何であるかを最小の努力で知りたい人にとっても最適な書である。
マーケティングの統計分析 (シリーズ 統計科学のプラクティス)照井 伸彦,伴 正隆,ウィラワン・ドニ ダハナ朝倉書店このアイテムの詳細を見る |
これを教科書として,マーケティングサイエンスの入門講義をするという誘惑に一瞬かられたが,著者が高校数学程度という数学リテラシーを,高校1~2年の段階で受験科目から数学を外した学生たちに求めていいか,なかなか悩ましい。理工系や一部の国立文系の学生,強い学習意欲を持つ社会人にとっては問題ないだろうが・・・。
この本では,Prodegy や MCI のようなマーケティングサイエンスの定番ないし古典といえるモデルから,階層ベイズのような最新の話題まで,幅広く紹介される。「定番」というのは,長い間,数多くの文献で引用されてきたという意味だ。実務でもかなり普及した手法なのかを問うと,なかなか厳しい現実を想起せざるを得なくなる。
ぼくは,これらのモデルのいくつかを実際に実務で適用した経験をもつ。それがそれ以上発展しなかったのは,自分が非力だったからとはいえ,モデルに何らかの制約があることも確かだろう。たとえば企業が自分が競争すべき市場を規定するのに,遷移確率や価格の交差弾力性は,本当に使える情報を与えてくれるだろうか・・・。
マーケティングサイエンスに関して,これまでの定番や古典に敬意を払いつつも,本当にいま現場で使えるものは何かを考えていかなくてはならない・・・ という思いがより深くなった。