Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

球場ラヴァーズ

2010-09-23 13:10:36 | Weblog
広島生まれで海外と東京で育った戸石さんという女性研究者に教えていただいたコミック。いじめに遭っている女子高生が,ひょんなことから東京ドームのビジター側外野席を訪れる。野球のことなど何も知らない彼女が,そこでカープを熱狂的に応援する OL とアニメータに出会って変わっていく・・・。主人公はカープファンの女性たち。選手は登場しない(そこには「諸事情」があるようだ)。

球場ラヴァーズ 1巻
(ヤングキングコミックス)
石田 敦子
少年画報社

正直,涙なしには読めません。ですから電車のなかで読むのは禁物です。次々繰り出される「熱い」ことば・・・

 ケガしたうえであがいてんの
 あがく人嫌い? 私は好き
 大好き
 ・・・
 こんな大勢のド真ん中であがいている人がいるんだもん
 なんてみっともなく かっこいいんだろう

これは前田智徳について,3人のなかで最もファン歴の長い(広島生まれで最も年長の)OL・基町勝子が語ることば。ここでは紹介しないが,黒田博樹について書かれた箇所も同じくらい涙腺を刺激する。19年間優勝していない事実を突かれたとき,勝子は思う・・・

 優勝は遠く 望みはうすい
 でも でも
 なにかに「でも」 
 「でもさ」と思っている

淡い恋が実らなかったとき,球場に来て思う・・・

 どんなに恥ずかしいことがあっても
 打席は何度もまわってきて
 さあ と 立ち上がらなきゃいけなくて
 そのたびに始まるのよ 今日も 明日も
 ・・・
 負けても 打席は まわってくる
 大丈夫 鐘を鳴らせ 恥をかいても

そしてこうなる・・・
 
 チームごと あがいているカープが 好きよ

というわけで,このマンガは涙なくして読み通せないのである(オレだけ?)。

 目を逸らしていたら
 負けを観なくていいけど
 勝ちも見逃す
 観なきゃ今を

こういわれると,もう今年は観戦したくないな,と思っていた自分が恥ずかしく思えてくる。どんな状態でも球場で応援し続けることは,球団に誤ったシグナルを送るのではと考えていたのだが・・・。にしても,「たかが野球」に(あるいはサッカーでも相撲でも)なぜかくも熱狂する人々がいるのだろうか。巻末近くにこんなことばがある・・・

 野球を好きにならずにいられない
 始まりはいろいろ
 どんなきっかけでも どんな立場でも
 同じことで今 一緒に喜べる
 誰かを好きになる場所
 
人は好きになりたいから好きになるのであって,好きになるべき何かがあるから好きになるのではない。多分。
 

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